沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1689]

  • (火)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2017年09月07日[No.1689]号

名護市に手作りの博物館

 先日、名護市の国道58号を走っていると、「民俗資料博物館」と書かれた手作り感満載の大きな看板がありました。個人で運営しているようです。どんな博物館なのか興味があるので、ぜひ調べてください。

(宜野湾市 デージ・マージさん)

名護市に手作りの博物館!?

 その看板、調査員も見かけたことがあり、気になっていました! どんな博物館なのか、調査に行くしかないでしょう!!

昔の沖縄にタイムスリップ

 名護市親川にある民俗資料博物館に着くと、館長の眞嘉比朝政(ちょうせい)さんが迎えてくれました。

 博物館は本館と戦争にまつわる資料を展示する別館があり、想像していたよりも広いです。

 さっそく本館に入ると、そこは別世界。現代から過去の沖縄にタイムスリップしたかのようです。農機具、衣類、蓄音機、アイロン、カメラ、ランプなど古民具が所狭しと並びます。

 方言札や730標識、通貨(軍票)など、実物を初めて目にした調査員。説明文もたくさん付いているので、学びながら、当時の暮らしを垣間見ることができます。所蔵数を聞くと「約2万点あります」と眞嘉比さん。個人で集めたというからさらに驚き。公設の博物館に劣らない、充実した施設です。

 元名護市消防長だった眞嘉比さんが古民具を集め始めたのは、定年退職後。「1年間はぶらついていました。何かいいことがないかと思っていたときに、たまたま使い親しまれてきた品物が捨てられるのを見て、時代の波にのまれて消えていくものを、どうにかして後生に残せないかなと思ったのです」と振り返ります。

昔の生活 後世に伝えたい

 眞嘉比さんは1997年から古民具の収集を開始。初めはどうやって集めていいか分からなかったといいます。「リサイクル店に行っても見つからず、フリーマーケットでやっと少しずつ昔の品々が見つかりだしました」。ほかにも収集家やマニアがいて、競い合いながら手に入れたそうです。退職金を使ったり、土地を売ったりして私財を投じ、いろいろなものを買いあさったといいます。

 10年かけて集めることを目標にしていた眞嘉比さんでしたが、8年で展示できるほどになり、2005年に博物館をオープンしました。

 なんと、建物2棟も土間以外全部手作り。「1人で建てるのに、6年かかりました」と話す眞嘉比さん。毎週末はフリーマーケット、平日は家作りの日々だったといいます。

 昨年3月からオープンした別館は戦争に関する資料を展示する「戦争資料館」。バルカン砲、機関砲、爆弾、戦時中の新聞、召集令状など、貴重な品々が展示されています。これも収集を始めてから出会った収集家たちのネットワークから手に入れたそう。

 今ではほかの博物館から借し出しを依頼されることもあると話す眞嘉比さん。2万点に上るコレクションの数々を見れば納得です。「足りないものが判明したらすぐ探しにいきます」と話します。

 取材当日、「国場生老会」のメンバー67人(!)が那覇からバス2台で見学に訪れていました。館内では「懐かしいね」「これ使っていたよ」と当時の思い出話に花を咲かせます。別館の戦争資料館から出てきた人は「戦時中の『召集令状』や『千人針』などの実物を見て、当時幼かったけど、自分の父親がああやって召集されたのかと思うと胸にじんときました」としみじみと語ってくれました。

 当時実際に使っていたものを見ながら昔を学び、思いをはせた調査員。とても貴重な時間が過ごせました。皆さんも昔の沖縄を経験してみてはいかがでしょう。



民俗資料博物館
名護市山田628
☎0980–58–3355
入館料大人500円(子ども200円)

このエントリーをはてなブックマークに追加


名護市に手作りの博物館
眞嘉比朝政さん
名護市に手作りの博物館
広い館内に古民具が多数並びます。「短時間では見きれないね」という人も
名護市に手作りの博物館
「アイスケーキ」売りの自転車と人力車(上)や「方言札」(左下)、「730(ナナサンマル)」の標識などを展示。沖縄の歴史を垣間見ることができます
>> [No.1689]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>