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[No.1690]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2017年09月14日[No.1690]号

おじぃ、おばぁのアイドル

 祭りやショッピングセンターの舞台で芸を披露する、「マイケル中本」という人がいるそうです。多才な芸でお年寄りの人気を集めているらしいので、どんな人か教えてください。

(那覇市 おばぁ孝行しますさん)

おじぃ、おばぁのアイドル!?

 マイケル中本!? 聞いたことが有るような無いような……。敬老の日間近ですし、「おじぃ、おばぁ孝行したい」調査員。まずは潜入調査からということで、JAおきなわ小禄支店ホールでマイケルさんのショーがあると耳にし、見学しました。
 この日は「年金友の会定期総会」が行われており、年金受給者、つまり60歳以上の人生の先輩が大勢集まっていました。

歌って踊る独演会

 ショータイムが始まりステージに登場したのは、なんと2㍍くらいの身長がありそうな男性! そんな大男が琉装の女形になっていて、一目見ただけで笑えます。達者なウチナーグチ(沖縄方言)で自己紹介し、わずか数分で観客の心をつかんでいました。

 三線を弾きながらマイケルさんが歌うのは、「肝(ちむ)がなさ節」他沖縄民謡。続けて昭和歌謡曲のメドレータイムに。「青い山脈」や「赤いハンカチ」などをカラオケで歌うと会場内は大合唱となり、「拍手がごちそう」と話すマイケルさんの笑顔につられ拍手が巻き起こりました。最後はおはこの「早変わり一人舞い」。曲が変わるごとに舞台上で衣装を変えていく姿に目を奪われ、コミカルな振り付けに笑った楽しい時間でした。

 歌に踊りに方言トーク、お年寄りが好むサービス精神あふれるショータイムに、みんな夢中。たくさんのおじぃ、おばぁが「楽しかったさ〜、笑ったね〜」とニコニコしながら、会場を後にしていましたよ。マイケルさんに会ってみたくなり、勇気を出して楽屋を訪問。一体どんな人なのでしょう!?

介護福祉士辞め芸能活動

 笑顔で迎えてくれたマイケルさんに、盛りだくさんの舞台はどのように考えているのか質問。

 「来場者の年齢層などを事前確認して選曲します。ショーを始めて約6年ですが化粧や内容は反応を見て変えてきました。東京での大衆演劇鑑賞も勉強になります」とマイケルさん。妻の尚美さんが観客目線で意見し、歌や踊りを一緒に研究。マネージャー役も務め夫婦二人三脚で活動しているそうです。

 「夫は最初、かっこいい男踊りにこだわっていました。でも思い切って女形になり、喜劇風に仕上げて良かったと思っています。舞台のことはけんかのような雰囲気で話し合っていますよ」と笑う尚美さんですが、マイケルさんの一生懸命な姿を認め支えています。

 大勢の人を楽しませるマイケルさんは、子どもの時から陽気な性格だったのでしょうね?

 「実は引っ込み思案で、人前でカラオケを歌うのも嫌でした。でも社会経験を経て変わり、前職の介護福祉士だった時にデイケアに来るお年寄りとウチナーグチで話して踊りや歌を披露し、行事の余興を考えるのが楽しくなっていったんです」

 そんなマイケルさんは、2011年発生の東日本大震災の報道を見聞きして人生を変えました。

 「この先どうなるか分からない。好きなことをしようと決め、芸能活動に本腰を入れるため介護施設を辞めました。仕事は自分で作るという言葉を胸に、手作りのチラシを配ってお仕事をいただいてきたんです」

 現在は敬老会などの各行事、商業施設の舞台に引っ張りだこになったマイケルさん。月一回開催のイオンタウン南城大里公演は立ち見客が出るほど盛況で、今年3月には50年前の名曲「くずれ格子」をリバイバル録音してCDデビューを果たし、順調に活動中ですが、県内全域や県人会のあるハワイにも活動を広げていきたいとのこと。「おじぃ、おばぁに笑いと元気を届けたい!」という思いがパワーの源になっています。

 ウチナーグチ100㌫のマイケル中本さんの舞台を、身近なおじぃ、おばぁにも見てもらいたくなった調査員でした。



●マイケル中本ショー(入場無料)
 9月23日(土)14時 ひやみかちマチ グヮー館(那覇市平和通り)
●問い合わせ・余興のご相談は
 ☎080-1734-7373

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