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[No.2019]

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「表紙」2024年01月18日[No.2019]号

那覇の中心にある大衆劇場
那覇市ぶんかテンブス館「木曜芸能公演」

ジャンル問わず気軽に鑑賞

 伝統芸能・クラシック・ジャズ・ポップス・落語・お笑い・舞台劇・プロレスなど、エンターテ インメントのさまざまなジャンルの公演を開催しているテンブスホール。毎週行われてい る「木曜芸能公演」は、「1時間程度で気軽に鑑賞できる」と好評だ。入場料金が割安(一 般1500円)なのも、人気の理由だろう。「ふくらしや」出演者と関係者の思いを聞いた。

 沖縄が誇る伝統技芸「歌 三線・琉球舞踊・空手」を 披露する「ふくらしや」公演。 歌三線による「かぎやで風」 で祝宴ムードに幕開けし、 柳 や梅の花の枝を持ちながら華 やかに舞う「柳(やなじ)」、 上地流空手道最高峰の型「三 十六(さんせいりゅう)」へと 続く。

 スクリーンに演目名とコメン トが映し出され、照明の切り 替えで進行する流れで、詳し く解説する場面はない。

 花笠をかぶりつらい恋を表 現する舞踊「伊野波節(ぬふ ぁぶし)」、「釵(さい)」という 武器を使った上地流空手、満 たされない女心を所作で演じ る舞踊「諸屯(しゅどぅん)」 と続き、全演目が終了。色鮮 やかな紅型に身を包んだ舞 踊家たちの優雅な舞いと迫力 あふれる空手の演武が交互に 披露され、その対比と響き渡 る歌三線の音色に魅了され た。琉球技芸の世界に没入で きる約1時間であった。

舞台と客席が近いホール

 4カ月に1回定期的に開 催される「ふくらしや」は、 演目そのままに演者が替わる ことが特徴的だ。見どころを 聞いた。

 「三線のみの演奏で器楽伴 奏は入れず、舞踊家と一対一で 舞台に上がる形式は本公演 ならではです。ぜひ足をお運 びください」(竹田さん)

 「シンプルな演出で技量が 試され、勉強になる公演です。 受け継がれている伝統芸能に 触れると、明日から頑張ろう と元気が出るはずです」(照 喜名さん)

 「空手の間にやわらかな琉 舞が入るので、見て良かった とより思っていただけるので はないでしょうか。気軽にご 来場ください」(竹波さん) 「沖縄の文化に触れる機会は 普段は少ないと思いますので、 鑑賞して素晴らしさを感じて ください」(嶽元さん)

 「琉球舞踊の中でもヘビー な3曲を披露していますが、 初心者でも見やすいという声 を聞き安心しました。仕事帰 りにでも楽しんでいただけた らうれしいです」(西村さん)

 「琉球古典音楽と空手、そ して琉球舞踊は沖縄文化の 礎だと思っています。それが 1時間に凝縮された舞台は 見応えがありますので、ご堪 能ください」(喜屋武さん)

 「舞台と客席の距離が近い のがテンブスホールの特徴で す。踊っている息遣いが伝わる と緊張しますが、それを楽し むのもありだと思っています。 紅型の柄や道具も近くで見 て、お楽しみください」(佐渡 山さん)

何でもありの会場に

 「琉球の古典芸能をコンパク トにして幅広い年齢層の方、 そして外国人の方にも気軽に 楽しんでいただけるのが『ふ くらしや』です」と話すのは、 那覇市ぶんかテンブス館副館 長の渡口宣一郎さん。「バトン をつなぐ」というコンセプトの 下、演目そのままに演じ手を 替える方式にしたそうだ。

 「流派が違う場合もありま すし演じ手が替わることで、 毎公演楽しんでいただけると 思います。歌と演奏はマイク をあまり通さず、生音に空気 感を足しています」とこだわ りも教えてくれた。琉球の伝 統を重んじる思いも込められ ているようだ。

 本公演を含む「木曜芸能 公演」は今後も進化を続け そう。

 「ウチナー芝居や組踊など、 何でもありの大衆劇場です。 若手育成につながったり実験 的な内容を試みたりなど新 しい企画も応援します。那覇 の真ん中で毎週やっています ので、気軽にお越しください」 と渡口さん。

 沖縄発エンタメがグッと身 近になりそうだ。

(饒波 貴子)



テンブスホール【木曜芸能公演】
開場18時30分/開演19時
●2月1日「ふくらしや」( 琉球古典音楽・舞踊・空手)
●2月8日「ゆいゆいシスターズ in テンブス」( 沖縄民謡)
会場:那覇市牧志・那覇市ぶんかテンブス館4階
料金:一般1500円/高校生1130円/小中学生・シニア※750円(※那覇市在住65歳以上対象・身分証明書を持参)
問い合わせ:☎098-868-7810



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那覇市ぶんかテンブス館「木曜芸能公演」
沖縄の言葉で「おへそ」を意味する「テンブス」。 その名前に由来する、国際通りの中心にある「テ ンブスホール(那覇市ぶんかテンブス館4階)」 で、毎週木曜日19時に開演するのが「木曜芸能 公演」。さまざまなジャンルの演目が行われてい る中、琉球王朝から受け継がれる三つの技芸を 披露する「ふくらしや」公演を中心に取材を進め た=2023年10月5日 那覇市・テンブスホール ※「ふくらしや」は「かぎやで風」の歌詞にあり、喜 びやうれしさを表す言葉
写真・村山 望
那覇市ぶんかテンブス館「木曜芸能公演」
●琉球古典音楽
安冨祖流絃聲会 左から竹田祐規さん、照喜名朝國さん
那覇市ぶんかテンブス館「木曜芸能公演」
●上地流空手道
琉球古武道琉志会 安謝修武館
左から竹波優理遼さん、嶽元眞志さん
那覇市ぶんかテンブス館「木曜芸能公演」
●琉球舞踊
左から西村綾織さん(玉城流喜納喜利の会)、 喜屋武愛香さん (真境名本流英美の会)、 佐渡山也子さん(島袋流千尋会 )
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