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[No.1824]

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「表紙」2020年04月23日[No.1824]号

子どもたちの声が響く公民館
普天間三区自治会

人が集まる公民館へ 普天間三区自治会

 自治会は、多岐にわたる地域の課題に向き合い、行政だけでは手が届かない細かい部分を補完するなど、安心して暮らせる町づくりのためにさまざまな活動をしている。たとえば、環境美化、子どもたちの登校見守り、防犯パトロールなど。また、それらに加え、子どもの健全な育ちを見守る「子どもの居場所づくり」を始める自治会も少しずつ増えてきた。今回は、子どもの育成に力を入れる自治会の一つ、宜野湾市普天間三区の自治会長・渡名喜庸松(ようしょう)さんに話を聞いた。

 普天間三区公民館を訪ねると、真っ先に子どもたちの元気な声が聞こえてきた。それぞれバドミントンをしたり、おもちゃの車に乗ったり、駆け回ったり…。その様子を見守る自治会長の渡名喜庸松さんは、時に大声で注意することもあれば、冗談を言って笑わせたりもしていた。

居場所づくり

 「もともとこのあたりは、普天間の開放地(返還軍用地)といわれ、宜野湾市で最初のころに区画整理をした地域なんです。当時は、土地の何㌫は公園にしなければならないといった決まりもなかったので、この周辺には公園がありません。だから、ここが遊び場なんですよ」と渡名喜さんは話す。

 同自治会では「子どもの居場所づくり」を週2回実施。子どもが自由に活用できる居場所を用意し、大学生ボランティアによる学習支援や食事の提供もする。

 「学童にも入れない、塾にも通っていない、家に帰っても親がいない、そんな子どもたちを預かりたい」との思いから始まった取り組みだ。

 今年度からは、乳児から未就園児の子どもと保護者が集う「子育てサロン」もスタート。

 「人が集まれば情報交換もできるし、困りごとがあれば先輩のお母さん方に話を聞いてもらうこともできます。公民館の2階では高齢者対象の『ミニデイサービス』もやっているので、もしよかったらお子さんと一緒に2階に上がって、おじいちゃんやおばあちゃんたちと過ごすのもいいですよ」と話す。

自治会の安定に寄与

 渡名喜さんは、自治会長に就任して21年目。これまでを振り返り、「自治会員が激減したことが残念」だという。

 「昔は一緒に自治会をつくったメンバーと団結心を持ってスタートしたんですけどね。世代の移り変わりとともに公民館の利用価値も、見いだされていないのかもしれない。やはり、どれだけの人が足を運び、利用してくれるかで、この公民館の価値が決まると思います。とにかく人が集まる公民館にするためには、いろいろ仕掛けていかないといけないですね」と日々、アイデアを練りながら、自治会の安定に寄与するべく活動中だ。

 敬老会や生年祝い、百歳祝い、餅つき会にグラウンドゴルフ大会。昼間の夏祭り、夕方から始まる公民館屋上でのビアガーデン…。さまざまな行事に加え、常時サークル活動も展開される。

 渡名喜さんは、「自分たちの住む地域にこういう場所があるということを、ぜひ知ってもらいたい」とアピールした。

 自治会の書記を務める古波蔵つや子さんによると、「会長はフットワークが軽く、即行動の人。宜野湾市の自治会の中で一番古くて、子どもたちにも慕われています。誰にでも垣根なく話し掛けるので、子どもたちは友達感覚で『渡名喜さ〜ん、遊ぼう』と言って来るんですよ」と笑う。

 さらに、「ここで働くようになって、いろんな人とつながりができました。幅広い年代の人と話すこともできるので、いろいろと勉強にもなります」と話し、今後も地域に貢献していきたいと結んだ。

 自治会に関わりがなくても、その活動について考え、周囲を見回してみると新たな発見があるかもしれない。

(﨑山裕子)



普天間三区自治会
宜野湾市普天間2-10-1
☎︎ 098-892-2327
※4/20(月)〜5/6(水)まで休館予定

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普天間三区自治会
普天間三区自治会の会長・渡名喜庸松さん(中央)と書記の古波蔵つや子さん(右下)、支援員、地域の子どもたち 写真・村山 望
普天間三区自治会
公民館の広場で遊ぶ子どもたち
普天間三区自治会
餅つき会
普天間三区自治会
十三祝いを迎えた子どもたちによるかぎやで風
普天間三区自治会
年2回の区内清掃
普天間三区自治会
学習指導をする大学生ボランティアと子どもたち
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