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[No.1823]

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「表紙」2020年04月16日[No.1823]号

県内発家具ブランド
TMS(ティー エム エス)

細部にストーリーが宿るものづくり

 TMSは、友田雅俊さんと玉城智志さんが設立した家具ブランドだ。シンプルながら使いやすいデザインで買う人の「一生もの」になるような製品を企画・生産している。県産の木材使用にも意欲的だ。他分野の工芸やアートとも積極的につながりを持つようにしていることも、一般的な「家具屋さん」とは一味違う。二人に、ものづくりに対する思いを聞いた。

 友田さんと、職人の玉城さんはもともと浦添工業高校デザイン課の同級生。卒業後、服飾業界でデザインと製品の企画を仕事にしていた友田さんと、木工職人として修行を積んだ玉城さんが「沖縄を代表する家具ブランドに」と決意して立ち上げたのがTMSである。

こだわりつつもシンプルに

 製品企画やコンセプトなどディレクションを友田さんが、実際の家具製作は、玉城さんが手がける。全ての製品に共通しているのは「シンプル」であること。どんな部屋の雰囲気にも合い、長く使っても飽きのこないデザインを大事にしている。シンプルと言っても、作りが簡素というわけではない。普遍性のある造形の中に使う人への配慮をまとめている、という点がTMS製品の魅力だ。椅子やテーブルならば、体を安心して預けられる形状、収納家具は家事の最中でもアクセスしやすい角度を確保している。

 シンプルさと機能性の両立は、簡単な作業ではない。2人は実際の木材でミニチュアの模型を作り検討を重ねるそうだ。加えて友田さんは、「玉城は技術があるので、放っておくと凝って作り込んでしまう。そこをコントロールするのも僕の役目です(笑)」と話す。

 先月20日〜24日には、宜野湾市のギャラリー「PIN─UP」で、ブランド初となる展示会を行った。会場には、受注生産を行う家具の見本と共に、オリジナルの衣服や、県内の工芸作家やアーティストとブランドがコラボした作品がならんだ。

 「ただ家具を見てもらうだけでなく、僕らのバックグラウンドも知ってほしい。そこから共感も得られると思うので」

 友田さんは、製品だけでなく作り手にも親近感を持ってもらいたい、と考えているそうだ。

機能性だけじゃない

 「このダイニングテーブルはイジュ製。県産の木です。目立たない部分ですが、木の耳(辺材)をあえて使っている箇所もあるんですよ。木一本ごとの曲がりや木目を生かしています」

 職人として家具作りに打ち込む玉城さんは、製品の特徴について話すと止まらない。木材の質感、各部のディテール、使用する金属の部品に至るまで細かな気配りをしながら、前述の通りシンプルなデザインにまとめているのだから心憎い。木の表皮に近い「耳」と呼ばれる部分は、直線的なデザインのテーブルなどのワンポイントに。これは愛着が湧くような工夫だ。玉城さんは「初めて触れる人は『えっ』っておどろくんですが、説明すると気に入ってもらえるんです」と楽しげに言う。

 イジュやドゥスン(オガタマノキ)など県産の木材は、金武町にある企業組合「キンモク」から供給してもらっているというTMS。県産の木材を広め、持続的な生産をサポートできれば、という思いもあるそうだ。友田さんは「デザインにストーリー性を加えることを大事にしています」と話す。機能性以外の部分も見て、製品を選んでほしいそうだ。玉城さんも「製作した家具は補修もするので、一生ものの家具を提供します。毎日、『早くおうちに帰ろう』っていう気持ちになれますよ」と続ける。

 暮らしを豊かにするTMSの製品たち。ぜひじかに触れ、二人と話してその良さを知ってほしい。

(津波典泰)



TMS
〒901-0511 八重瀬町港川128
HP:tms-okinawa.com
インスタグラム: @tms.okinawa

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TMS(ティー エム エス)
TMSはディレクションを手がける友田雅俊さんと、職人の玉城智志さんのコンビが手がけるブランド。現在は受注生産で家具作りを行う。2人の後ろにあるのは県内出身のペインター、Denpaさんとコラボした自社看板 写真・村山 望 撮影協力・PIN-UP
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イジュを使用したダイニングテーブルとチェア。イジュならではの柔らかい木目がうつくしい
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イジュの木本来の曲がりを生かしたダイニングテーブル(撮影協力・ON THE SAME HOTEL)
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木目や、造形の微妙な部分など、家具の細かい特徴を紹介する玉城さん。玉城さんはオーダーメードで家具、建具を受注する「玉城木工商店」としても活動中。TMSの名称は「玉城木工商店」や二人の名前の頭文字が基になっている
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服飾デザイナー「thimodama(ティモダマ)」としても活動する友田さんの作品『トワル・ド・ジョイ』
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イジュの木で造形し、藍染め作家の大城拓也さんが染めた花台。実際に使う場面をイメージできるように、陶芸作家・嘉数郁美さんの花瓶を合わせた
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