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[No.1713]

  • (金)

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「表紙」2018年02月22日[No.1713]号

ザ夫婦

ザ・夫婦(み〜とぅ) 46


木下サーカス 団員
下地 和也さん 下地 典子さん

夢と感動を届ける二人

 26日(月)まで豊見城市の豊崎タウン特設会場で開催中の木下大サーカス沖縄公演(琉球新報社主催)。下地和也さん(40)と典子さん(36)は、共に木下サーカスのベテラン団員として活躍する夫婦だ。和也さんは空中ブランコショーとオートバイショー、そして足芸、典子さんはつりロープショーやシルクパフォーマンスの華麗な演舞で客席を魅了する。さらに「一丁ばしご」では、夫婦でスリル満点の芸を披露。息もぴったりの演技が、観客に夢と感動を与えている。



息もピッタリに観客を魅了

 約7㍍もの高さがあるはしごを一人の男性が足で支え、もう一人の女性がはしごを登っていく。息をのんで観客が見守る中、女性は見事にはしごのてっぺんにたどりつく。

 そして、はしごの先端に立ったり、体を逆さにしたりとスリリングな芸を披露。客席からの拍手喝采を浴びる――。木下大サーカスのプログラムの一つ、「一丁ばしご」の演技だ。

 はしごを支える男性は下地和也さん、登る女性は典子さん。別の女性がはしごを登る場合もあるが、二人が揃う日には夫婦で息のあった演技を見せる。

厳しい練習乗り越え

 二人はともに、木下サーカスのベテラン団員。和也さんはことしで入団24年目、典子さんは17年目を迎える。

 石垣島出身の和也さんは、小学生の頃名古屋に移り住んだ。仕事を探しているとき、サーカスの公演を見て入団を決意。その1年後に、空中ブランコショーの演者としてステージに上がった。続いて、巨大な鉄の輪の中をバイクで縦横無尽に走り回るオートバイショー、さらには足芸を習得。芸の幅を広げていった。

 足芸とは、文字通り足を使った芸。前述の一丁ばしごや、100㌔近い障子を一人が足で支え、その上でもう一人が筆で文字を書くなどする芸「葛の葉(くずのは)」があり、非常に難しい芸とされている。下地さんは、3年かけて足芸を会得した。

 「最初の1年間は、ずっと90㌔の袋を足で上げ下げする訓練をして筋肉を鍛えました。歩けなくなるまでやりましたね」と和也さんは当時の厳しい練習の様子を話す。

 典子さんは、兵庫県出身。学生時代に接客のアルバイトで木下大サーカスの公演に関わるうちに、「自分も舞台に立ってみたい」と思うようになり入団を決めた。ダンスから芸の訓練を始め、ロープやシルクの布にぶらさがって演舞するつりロープショーやシルクパフォーマンスを習得。司会でも活躍をはじめた。

 「入団してきた時、彼女は右も左も分からない女の子だったけれど、頑張っていた」と和也さんは振り返る。二人はいつしか引かれ合うようになり、2009年に結婚。一丁ばしごの芸は、結婚後に二人で組むようになったという。

情熱は未だ冷めず

 「彼のすごいところですか?全部ですね。辛抱強くて、自分がやりたいと思ったことは、とことん追求していく。尊敬しているし、今でもかっこいいと思います」と典子さんは和也さんに全面的な信頼を寄せる。

 一方、和也さんも「彼女は自分を変えていくことができる人。自分よりも芸に対する姿勢がストイックで、尊敬できる部分がいっぱいある」とほほ笑む。

 「若い時はけんかもしたけれど、それでお互いを理解し合って今に至っています」と典子さん。今では、火種になりそうな発言は避けるなどお互いに配慮し合い、けんかすることもほとんどないそうだ。

 「二人の性格は違うし、生活習慣も違う。それだからこそ、お互いにいろいろなことを補い合って生活している。感謝しています」(典子さん)、「お互い同じ仕事をしているので、休みの日も同じ。普通の夫婦だったら嫌がると思うけど、休みの日には、バイク好きな自分をツーリングに快く送り出してくれる。優しいですよ」(和也さん)

 4年前には息子の鳴海(なるうみ)君も誕生し、二人の幸せな日々の様子がうかがえる。

 一方で、芸に磨きをかけ続ける姿勢は変わらない。和也さんは、「24年近くやっていても、未だに情熱が冷めることはありません」と真剣な目で語る。

 沖縄公演も残すところあとわずか。舞台の上で輝く二人の姿を、ぜひ見にきてほしい。

(日平勝也)



円満の秘訣は?

和也さん・典子さん:  休みの日には、お互いに束縛せず、好きなことをしてもらう。あとは、空気を読み合って、相手が忙しそうな時はサポートするなど、互いのことを思い合うのが円満の秘訣だと思います。

プロフィール

しもじ・かずや: 1977年生まれ。石垣島出身、小学生の頃名古屋に移り住む。95年、木下サーカスに入団。空中ブランコショー、オートバイショーのほか、特に難しいとされる足芸「一丁ばしご」・「葛の葉(くずのは)」を担当。2009年、典子さんと結婚

しもじ・のりこ: 1981年生まれ。兵庫県出身。2002年頃、木下サーカスに入団。つりロープショーやシルクパフォーマンスのほか、司会も担当。09年に和也さんと結婚後は、夫婦で一丁ばしごの芸にも取り組んでいる

木下大サーカス沖縄公演 2月26日(月)まで開催
開演時間:23日(金)=13時・15時40分、24日(土)=11時・13時40分、25日(日)=10時10分・13時・15時40分、26日(月)=11時・13時40分 ※22日(木)は休演日
入場料:おとな2900円、こども1900円 ※前売券の販売は終了しました※指定席ご希望の場合、追加料金がかかります
会場:豊見城市 豊崎美らSUNビーチ手前 豊崎タウン特設会場(駐車場あり)
問い合わせ:木下大サーカス沖縄公演事務局
☎098(856)0045

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下地 和也さん 下地 典子さん
木下大サーカスの豊崎タウン特設会場のテントにて、サーカスの舞台衣装に身を包みポーズを決める下地和也さんと典子さん=豊見城市豊崎 
写真・村山望
下地 和也さん 下地 典子さん
一丁ばしごの演技に臨む和也さんと典子さん。和也さんが足で支えるはしごをの上で、典子さんが演技する(写真提供:木下サーカス)
下地 和也さん 下地 典子さん
息子の鳴海君と共に
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