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[No.1669]

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「表紙」2017年04月20日[No.1669]号

ザ夫婦

ザ・夫婦(み〜とぅ) 3


ハルサーミュージシャン アイモコ  アイロウさん
モコさん

「純粋」「世話好き」のマッチング

 「ヒンガー(汚れた格好)のミュージシャンが気になって世話を焼かずにいられなかった」「僕らのステージを盛り上げるすごい女性タレント」。アイロウさん(41)とモコさん(41)は、互いにインパクトを受けた福岡県での出会いから14年、今やハルサーミュージシャンとして人気の夫婦だ。結婚当初から大宜味村に移り住み畑を耕して暮らすも、極貧生活。「アイロウくんとだったら貧乏も楽しいはず」と、モコさんが思う通り、2人は抜群の相性で結ばれている。



畑からミュージシャン採れた

 2人の出会いは、2003年。RKB毎日放送(福岡県)の売れっ子タレントだったモコさんは、沖縄からやってきたフォークデュオ「アイロウ&タカ」を自身の番組の準レギュラーに迎えた。モコさんのライブの盛り上げ方は強烈だったと、アイロウさん。

 服装や寝る場所にすら無頓着なミュージシャン、それがアイロウさんだった。番組を重ねるうちに、モコさんはアイロウさんが心配で身の回りの世話を始めた。

 06年、2人は結婚。ただ、出だしから波乱である。アイロウさんは音楽事務所と裁判中で、音楽から足を洗うつもりでいた。「沖縄で農業をやろうと、持ちかけたら簡単に乗ってくれた」

 アイロウさんの両親が定年後に大宜味村で始めた畑仕事をモコさんとともに手伝うことに。その畑で収穫した作物はやがて、ミュージシャンとして再生する糧となった。

ライブとパパイア漬物

 それにしても、ちゅうちょのないモコさんの沖縄移住である。

 05年の福岡県西方沖地震を体験した上に、「アイロウくんは農業を始めると生き生きした。畑をやっていれば食いっぱぐれはないだろう」と見込んだという。

 経験のない大宜味村でのハルサー(農家)暮らし。やはり、出だしから波乱の2人である。作物を植えてから収穫できるまでは収入がないことを知らなかった。「タレント時代の預金通帳も心電図かと思うくらいの急降下。もう歌うしかない」

 意を決した2人は、つてをたよりに大阪の沖縄料理店へ向かった。そこでは毎日誰かがライブを開いていた。アイロウさんたちも頼み込んで月に2週間ほど住み込みでステージに立ち、沖縄民謡を歌った。アイロウさんが三線とギターを弾く、モコさんが三板(さんば)をたたき歌い、モノマネを披露した。現在の「アイモコ」のスタイルが出来上がった。

 1年半のライブ期間中、沖縄に戻っては自前の野菜を料理店に卸した。島らっきょうの皮をむき、パパイアの漬物も手作りして商品化。

 「ミュージシャンはライブの後にCDを販売するが、私たちは島らっきょうやパパイアの漬物を売った」。何もCDを売るだけがミュージシャンではない。「ハルサーミュージシャン」はこうして生まれた。

「尊敬」と「大好き」

 今年、結婚11年目の2人。「いい感じの骨董品を拾った」と、モコさんは言う。年代物の焼き物の話ではない。「磨けば光る」と、アイロウさんが返す。間髪入れず、「今ごろか」とモコさんのツッコミ…。

 「結婚当初、裁判費用でモコちゃんの貯金を崩したのは僕」と振り返るが、根がポジティブのアイロウさん。「あんたの裁判だよ」というくらい、飄々(ひょうひょう)としていた。そんな状況でもにこにこして、両親を助けようとするアイロウさんを「貧乏でもつらいことがあっても、この人となら大丈夫かもしれない」と、モコさんは思った。お金で買えないものをいっぱい持っているアイロウさんが大好きなのだ。

 ふと同時に懐かしい曲を歌い出したり、好きなものが似ていたり、2人は結婚前から似通う感覚を持ち合わせていた。男ばかりの5人兄弟の末っ子のアイロウさんを長女で育ったモコさんがリードする。「モコちゃんを本当に尊敬しているんだ」と、アイロウさん。

 一方、音楽活動はアイロウさんがプランナーでかじ取りをする。「20秒に音楽性を凝縮するCMソング、キャッチーなものが好き」と笑う。

 音楽は切り離せないという2人、10年を節目に畑から新たな創造の分野へ挑戦する。

(伊芸久子)



円満の秘訣は?

アイロウさん: モコちゃんはなんでもできる。笑いのセンスも素晴らしいし、家の電気の配線、電化製品の組み立ても。結婚当初から尊敬する気持ちが変わらずにあることですね。

モコさん: なんでしょうね(考え込む…)。結局アイロウくんのことが大好きってこと。ワジワジーしたり、何か投げつけたいと思ったりしても、自己解決として「この人好きなんでしょ」と思ったら揉(も)めるのは無駄ですね。

プロフィール

アイロウ: 1975年生まれ、那覇市出身。18歳の時に高校のバレー部の後輩とフォークデュオ「アイロウ&タカ」を結成。福岡での音楽活動時にモコさんと出会い、2006年結婚。現在も大宜味村で農業をしながら、タレント活動や楽曲提供などを行う
モコ: 1975年生まれ、長崎県壱岐出身。RKB毎日放送(福岡)でレポーター、番組司会を務める。2006年アイロウさんと結婚後、大宜味村に移住し農業をはじめる。イベントやテレビ出演、ラジオパーソナリティー、司会と幅広く活動中

アイモコ 
主な楽曲「ウチナーグチかぞえうた・おおきなわ」
テレビレギュラー番組/「エイカーズ グランドマスター」(沖縄テレビ)4/21(金)19:00〜放送スタート
ラジオレギュラー番組/「ハルサーミュージシャン アイモコの音楽農園」ROK(ラジオ沖縄)(土)11:00〜13:15
「アイモコのアタイグヮーラジオ」(FMやんばる)(水)19:00

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アイロウさん モコさん
大宜味村在住11年。大宜味村第一号ふるさと観光大使を務めるアイモコの2人。道の駅おおぎみの店頭に並んだトマトを絶賛のモコさん、泥付きダイコンをお薦めのアイロウさん=道の駅おおぎみ
写真・村山 望
アイロウさん モコさん
「モコちゃんに負けない得意技を」と、アイロウさんがハマっているチャーハン。調理師ミュージシャン誕生の兆し?
アイロウさん モコさん
結婚式の前撮り写真。モコ、ほっそり 2006年 福岡
アイロウさん モコさん
大阪の沖縄料理店「轟屋」さんにはステージ出演、野菜納品共にお世話になりました 2007年 大阪
アイロウさん モコさん
シークヮーサー畑での草刈り作業。まだまだへっぴり腰
2008年 大宜味村
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