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[No.1657]

  • (金)

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「表紙」2017年01月26日[No.1657]号

父娘日和

父娘日和 42


脚本家 山田 優樹さん
シンガー 山田 なづさん

音楽は父との大切な絆

 ホラー作品「オキナワノコワイハナシ」や、特撮ヒーロー作品「琉神マブヤー」など、沖縄を舞台にしたヒットドラマを手がけた脚本家、山田優樹さん(50)。現在高校1年生の娘・なづさん(16)は、小学生の頃からR&Bやヒップホップを聴いて育ち、中学1年生の時には、オーディション番組「X FACTOR OKINAWA JAPAN(エックス・ファクター オキナワ ジャパン)」 で、洋楽中心のナンバーを熱唱。抜群の歌唱力で視聴者を驚かせた若き実力派シンガーだ。「父とは大好きな音楽のことを一緒に話せるのがうれしい」となづさんは笑う。



娘が受け継ぐ洋楽好きの血

 参加者たちがパフォーマンスを披露し、自らの才能を試すオーディション番組「エックス・ファクター オキナワ ジャパン」。山田なづさんは3年前、この番組に出演した。

 なづさんは当時、中学1年生。あどけなく清楚な少女が、ステージに立ちマイクを握ると、13歳とは思えないハスキーボイスで、ソウルフルなナンバーを情感たっぷりに歌い始める。

 見た目とは裏腹ななづさんのパワフルな歌声は評判となり、ファイナルステージに進出。県内外の約2千組もの応募者の中からトップ9に選ばれ、その姿を観客と審査員に印象付けた。

 この時なづさんが歌い上げたのは、クリスティーナ・アギレラやアデルなど、ディープなR&Bの曲。中学1年生としては驚かされる選曲だが、いずれもなづさんが聴き込んでいた曲。小学校の時から、父の影響もあり、洋楽の世界にどっぷり浸っていたという。

子ども扱いはしない

 「音楽や映画に関しては、なづを子ども扱いしたことはないですね。僕がいいと思うものだったら、何でも見せたり聴かせたりしていました」

 なづさんの父親、山田優樹さんはそう話す。優樹さんは、「オキナワノコワイナハシ」「琉神マブヤー」「ハルサーエイカー」など、沖縄発のドラマを手掛けた脚本家。一方で、若い頃からミュージシャンとしての活動も続け、現在も浦添市のライブハウス「グルーヴ」で、月1回のペースでステージに立っている。

 沖縄市で生まれ育った優樹さんが聴くのは専ら洋楽。2000年に誕生した一人娘のなづさんも、自然と洋楽に親しんで育った。

 優樹さんが、小学生だったなづさんに携帯音楽プレーヤーを買い与えた時も、R&Bのアデルやヒップホップのブラック・アイド・ピーズなど、当時の洋楽ヒットチャートを入れて渡した。

 ある時、なづさんと車に乗っていた優樹さんは、娘が洋楽の曲を英語で口ずさんでいることに気付く。「なんと、あるアルバム13曲をまるごと覚えていた。当時は英語も勉強していないので、完全に耳で覚えてコピーしていたんですよ。子どもってすごいなと思いましたね」

 その後、小学5年生の時に見たレディー・ガガのライブDVDに衝撃を受け、「自分もこんなふうになりたい」と歌手になることを決意。合唱団に参加して歌のトレーニングを開始、優樹さんと一緒にステージに立つようになった。

 前述のエックス・ファクター出演後は、県内のライブハウスから声がかかるようになり、ステージで歌声を披露しているほか、ポップバンド「Oyashilaz(オヤシラズ)」のボーカルとしても活躍している。

音楽が好きでよかった

 なづさんは現在、普天間高校の1年生。「娘はまじめな努力家。勉強も部活も、自分で目標を決め、それに向かって努力できるのがいいところ」と優樹さんは娘を評する。

 父娘の絆を強めるのは、やはり音楽。「大好きな音楽の話を父と一緒にできるのがうれしい。友達とも話せないいろいろなことが話せる」というなづさんの言葉に、「仕事にはならなかったけど、僕は音楽を好きでよかったと思う。なぜなら、音楽はなづにいい影響を与えているから。娘のおかげで、それが何であれ、好きなことを続けるのはいいことだと分かりましたね」と優樹さんもほほ笑む。

 家にいる時はほぼ一日中歌っいるというほど歌に夢中のなづさん。将来は、韓国やロンドンに行き、活躍したいと抱負を語る。なづさんのパワフルな歌声が、世界に響き渡る日が楽しみだ。

(日平勝也)





プロフィール

やまだ・ゆうき
 1966年生まれ、沖縄市出身。高校卒業後、バックパッカーとしてヨーロッパやアジアを放浪した後、県内企業のコピーライターとして勤務し、テレビ番組・CM等の制作に携わる。2002年にフリーとなり、ホラードラマ「オキナワノコワイハナシ」、ヒーロー特撮「琉神マブヤー」「ハルサーエイカー」などの脚本を担当。その一方、浦添市勢理客のライブハウス「グルーヴ」に月1回のペースで出演するなど、音楽活動も続けている

やまだ・なづ
 2000年生まれ。現在、普天間高校1年生。13歳の時に出演したオーディション番組「X FACTOR OKINAWA JAPAN(エックス・ファクター オキナワ ジャパン)」で、クリスティーナ・アギレラやアデルなどの曲をパワフルに歌い上げ、2000組以上の応募者の中からTOP9の座を獲得。現在は、県内のライブハウスでステージに立つほか、サキマジュン、ミゲルと結成するポップバンド「Oyashilaz(オヤシラズ)」のボーカルとして活躍
撮影協力:ライブハウス「groove(グルーヴ)」

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山田 優樹さん 山田 なづさん
数年前まで、よく父娘でライブで共演していたという山田優樹さん、なづさん父娘。「最近はあまり共演をしてないけど、また一緒にステージに立てたらいいなと思っています」と優樹さん=浦添市勢理客のライブハウス「グルーヴ」にて 
写真・村山 望
山田 優樹さん 山田 なづさん
父・優樹さんの横で、優樹さんと同じように小さな手でギターを抱える1歳のなづさん
山田 優樹さん 山田 なづさん
なづさんが歌手を志した小学校5年生のころ
山田 優樹さん 山田 なづさん
なづさんがボーカルを務めるバンド「Oyashilaz(オヤシラズ)」のメンバーと共に
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