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[No.2022]

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「島ネタCHOSA班」2024年02月08日[No.2022]号



 大宜味村喜如嘉に新しくできた古本屋さんがあります。雰囲気の良い場所で、ユニークな 取り組みもいろいろとやっているみたい。どんなお店か調べてくれませんか?

(名護市 バーバーヤダマ)

校舎を利用したやんばるの古本屋さん

 自然が近くてのどかな喜如 嘉集落。本を手に取る場所と して、理想的な環境ではない でしょうか。

 少し調べてみると、お店の 名前は「山ブックス」である ことがわかりました。旧喜如 嘉小学校の校舎を利用し、工 芸店やサウナなども入居する 複合施設「喜如嘉翔学校」に あります。店主の崎山朴(さ きやま・すなお)さんに連絡 を取り、お店に向かうことに しました。

開業のきっかけ

 那覇から約2時間車を走 らせた調査員。喜如嘉翔の校 門を抜け、廊下を歩き、小学 生に戻ったような気持ちで山 ブックスにたどり着きました。 お店のスペースはもともと用 具室だったそう。算数の授業 や運動会で使う備品が入って いた頑丈な棚に、古本が並べ られています。

 「学校に入れるワクワク感 も大事にしています」

 崎山さんが笑顔で教えてく れました。1992年生まれ の崎山さんがお店をオープン したのは昨年 10 月。きっかけ は、前職の大宜味村観光協 会で携わった2つの仕事でし た。一つは、旧津波小学校の 校舎内に残されていた本を一 般向けに配布したイベント。 廃棄予定の本を救う意味合 いがありました。もう一つは、 地域のクラフト作家などを 集めた「芸術縁日」というイ ベント。運営するだけでなく、 自分も何か作りたい、と思い 立った崎山さんは『やん話 (ば)る』と名付けられた小冊 子を、編集し発行しました。

 いずれのイベントも多くの 人から反響があり、「本を求 めてやんばるに人が来るん だ」という実感を得たそう。 そこで開業を決心したんで すね。古書店開業時のノウハ ウは、沖縄市にある「波止場 書房」のオーナー・花城美和 子さんから多くを教わったそ うです。

 「共同書店」できます

 お店のユニークな特徴の一つ に「共同書店」というものが あります。これは店内の書棚 の1スペースを月額2980円でレンタルできる 仕組み。レンタルし た人は「棚主」と 呼ばれ、読み終わっ た本やおすすめの 本を販売できま す。本棚の名前、 本の値段も自由に つけることができ、 売り上げも棚主の ものです。

 すでにレンタルさ れているスペースを のぞいてみました が、どれも個性豊 か。眺めていると 「この棚主さんはど んな人だろう?」 と楽しく想像してしまいま す。草網みや芭蕉布で作った しおりを販売している棚主も いるようです。「本が売れた棚 主さんには、売り上げを報告 するんですけど『やったー!』 とよろこびの声が返ってきま す」と崎山さん。

 共同書店の仕組みがある と、さまざまな人がお店に関 わることができます。遠く離 れた場所からでも、やんばる のお店に愛着を持ってもらえ るようです。

 「おもしろい本屋だなぁ、と 思ってもらえるイベントを定 期的にやっていきたいです」

 最後に崎山さんが意気込 みを伝えてくれました。今後 も本を中心にしたアイデア で、お店の魅力を増やしたい そうです。ぜひ一度足を運ん でみてください。

 共同書店の棚主もまだま だ募集中です。



山ブックス
大宜味村喜如嘉2083(喜如嘉翔学校)
営業時間:11時〜18時
定休日:火・水曜
メール:yamabooks.okinawa@gmail.com
インスタグラム: @yama.books
※共同書店の申し込みはメール、またはInstagramのDMから

〈イベント情報〉
「本ともっとバザール」
古書とグルメ、雑貨の集まるイベントに山ブックスも出店します。
場所:プラザハウスショッピングセンター2F(沖縄市久保田3丁目1‒ 12)
期間:2月10日(土)〜12日(月)
時間:11時〜16時

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“校舎を利用したやんばるの古本屋さん"
右側の棚は山ブックスの 商品、左側は共同書店です。 沖縄本を中心に、絵本、マン ガ、実用書がそろっています
“校舎を利用したやんばるの古本屋さん"
喜如嘉翔学校の校 舎を背景に店主・崎山 朴さんを撮影。手には 自身が中心となり発行 した短編集『やん話る』 と、しおりとして配布し ている手書き用の「貸 出カード」
“校舎を利用したやんばるの古本屋さん"
実際に小学校の図書館で 使われていたロータリーケー スを店内のインテリアに
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