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[No.1965]

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「島ネタCHOSA班」2023年01月01日[No.1965]号



 漫画好きの読者です。最近父から那覇市銘苅に「naha昭和漫画図書館」 という場所があると聞きました。昭和時代の漫画が楽しめそうな名前にワク ワクしています。どんな場所か調べてください。

(沖縄市 夕日のマンガン)

昭和の漫画が読める図書館!?

 昭和時代の漫画は、今も読 み継がれる名作がたくさんあ りますよね。そんな昭和の漫 画がそろう図書館があるとは 初耳です。ネットで検索する と、なは市民活動支援センタ ー2階のレンタル事務所の一 角にあることが判明。さっそ く現場に向かいました。

世代交流の場に

 出迎えてくれたのは、館長 の知念忠彦さん。「学生時代、 漫研(漫画研究部)に所属して いました」といい、漫画に関す る知識も豊富です! 8畳ほど のスペースにある本棚には、 手塚治虫や鳥山明、藤子不二 雄、赤塚不二夫、石ノ森章太郎 などの作品の他、漫画に関す る資料的な本も並びます。手 のひらサイズの「豆本」やおな じみのキャラクターのフィギ ュアも展示されていて、レト ロな世界が広がります。

 「naha昭和漫画図書館」 は昭和漫画をコンセプトに2 022年6月にオープン。知 念さんが所属するまちづくり の市民団体「なは市民協議会」 が活動の一つとして運営して います。なは市民協議会のメ ンバーや館内に設置している 募金箱に集まった寄付金に支 えられているそうです。「個人 や小規模な組織が運営する図 書館を『マイクロライブラリ ー(小さな図書館)』と呼んで います」と知念さん。近年、こ のような図書館が全国的に広 まっているそうです。

 設立のきっかけを聞くと「子 どもたちが漫画離れしている ので、後世に伝えていきたい という思いで始めました。昔 の漫画であればお年寄りの居 場所にもなるし、世代をつなぐ 場所にもなってくれればとい うのも一つのきっかけでした」

 なは市民協議会では、漫画 図書館の他にも、車で巡回す る「移動図書館」、公園などの 野外で読書が楽しめる「パー クライブラリー」という活動 も展開。本を通じた地域の居 場所や交流の場づくりにも取 り組んでいます。

 所蔵する本は、知念さんが 所有していたものや寄付でも らったもの、ネット通販で買 ったものなど。全国の古本屋 を回って収集したりもするそ うです。「最近も少女漫画が少 ないと指摘され、漫画古書店 で段ボール3箱分仕入れてき ました」。さらにバラエティー に富んだ品ぞろえが期待でき そうですね。

レアな蔵書も読める算

 貴重な本もあるのではない でしょうか。

 『週刊少年サンデー』や『週 刊少年マガジン』『少年ジャン プ』の創刊号があります(サン デー以外は復刻版)」。ビックコ ミックの創刊号(復刻版)、手 塚治虫が作った雑誌「COM」 の創刊号も置いてあります。

 手塚治虫の初期作品もあり、 「有名な作品『新宝島』は、3 つぐらいのバージョンがあり、 全部オチが違うんです」との こと。日本漫画に多大な影響 を与えた作品ですが、納得が いかず描き直していたとは!

 他にも、秋本治のデビュー 当時のペンネーム「山止(やま どめ)たつひこ」名義のままの 『こちら葛飾区亀有公園前派出 所』や昔の漫画雑誌の付録漫 画、元の持ち主の落書きが入 っているものも。

 「漫画を知っている人が来る とレアさが分かるはず」とほ ほ笑む知念さん。貴重な本も あるため、貸し出しは行って いませんが、図書館前の共有 スペースでゆっくり読むこと が可能です。

 「開館が不定期というのが弱 点です」という知念さん。館長 の他に「ちょいボラ館長」とい う3人のボランティアがいる そうで、それぞれの都合に合 わせてスケジュールを組んで います。現在は数時間単位で 開けていますが、「今後は、ボ ランティアを増やしていきたい」 と抱負を語ってくれました。

 昭和の漫画や文化、歴史を 知る上でも貴重な場所を見つ けた調査員。さまざまな世代 が集まる新たな居場所として 広まってほしいと願い現場を 後にしたのでした。



naha昭和漫画図書館
那覇市銘苅2-3-1 なは市民活動支援センター2階
入場無料(募金箱への300円寄付も募集)
開館日時はFacebookを参照

昭和の漫画が読める図書館!?





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昭和の漫画が読める図書館!?
館長の知念忠彦さん
昭和の漫画が読める図書館!?
昭和の漫画が読める図書館!?
図書館内には昭和時代の漫画が並びます
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