沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1798]

  • (火)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2019年10月17日[No.1798]号



 以前、やんばるの山を登った時に地面にドングリが落ちていました。ドングリがあることにも驚いたのですが、友人によると、沖縄には日本一大きなドングリがあるとのこと。ぜひ調べてください。

(宜野湾市 ビッグ・チェスナットさん)

日本一大きなドングリ!?

 沖縄にドングリがあるなんて初耳の調査員。しかも、日本で一番大きいものが存在するなんて驚きです。さっそく、ドングリに詳しい沖縄キリスト教短期大学保育科教授の照屋建太さんの元を訪ねました。

 大学時代からドングリの研究をしていたという照屋さん。研究のきっかけは、大学に入学した年の森林実習で沖縄にもドングリがあるとことを初めて知り、衝撃を受けたことだそう。それ以降、ドングリとドングリを加害する昆虫の関係について研究していたといいます。

県内に6種類生育

 沖縄には本当にドングリがあるんですね。

 「沖縄には6種類のドングリの木があります。ブナ科のイタジイ(スダジイ)、マテバシイ、オキナワウラジロガシ、ウラジロガシ、アマミアラカシ、ウバメガシです。最初の4種類は、酸性土壌の国頭マージという赤土のエリアに自生しています。アマミアラカシは、石灰岩地の岩場に多く見られ、ウバメガシは伊平屋島と伊是名島に分布しています」

 実際に5種類のドングリを見せてもらうと、オキナワウラジロガシは他と比べてダントツの大きさです。形も樽型でどっしりしていて、かわいいです。

 「オキナワウラジロガシのドングリのサイズは日本一で、一般的な大きさは長さ3㌢、直径2〜3㌢程あります。西表島や久米島などに生育するものはもっと大きいです」と照屋さん。

 オキナワウラジロガシに俄然(がぜん)興味が湧いてきた調査員。どんな植物なのでしょう。

 「ブナ科の常緑高木で、最大で樹高15㍍以上になります。葉の裏が白っぽいことから『沖縄裏白樫』という和名になっています」

 漢字で見ると覚えやすい!

 「オキナワウラジロガシは琉球列島固有種で、琉球列島の奄美大島以南にしかない樹木です。奄美大島、徳之島の他、県内では沖縄本島、久米島、石垣島、西表島が産地になります」

 それらの島々にしかない貴重な固有種なのですね。そろそろ実が成る頃でしょうか?

 「だいたい10〜11月にドングリが成熟します。枝先から地面に落ちてくるのは11月がピーク。でもたくさん落ちているイタジイなどと比べると少ないです」と照屋さん。

昔は食料として利用

 オキナワウラジロガシは開花して実が熟すまで2年弱かかるそう。花が3月に咲いて、翌年の秋にドングリになるのだそうです。実り方にばらつきがあり、たくさんなる年と少ない年があるといいます。原因は解明されていないらしく、まだまだ謎が多いようです。

 オキナワウラジロガシの見た目は栗みたいで一見おいしそうですが。

 「オキナワウラジロガシは苦み成分であるタンニンがたくさん含まれているので渋いのが特徴です。宜野座村の遺跡から出土するなどして、貝塚時代の人たちが食べていたことが分かっています。昔は水にさらし、あく抜きをして、食べていたようです。イタジイだけは甘みもあり、堅い皮をむいてそのまま食べてもおいしいですよ」

 食料資源として昔の人々の生活を支えていたとは、感慨深いです。

 「沖縄にはすてきなドングリがあります。それを知って、ドングリに興味持ってもらえたら。そしてそれを育む森や自然を大切にしていく気持ちにつながっていけばうれしいです」と照屋さん。

 身近な自然に目を向けることが大切ですね。今回は沖縄にあるドングリについて知ることができた調査員。あらためて沖縄の自然の奥深さを実感しました。



このエントリーをはてなブックマークに追加


日本一大きなドングリ
照屋建太さん
日本一大きなドングリ
(左から)イタジイ(スダジイ)、ウラジロガシ、アマミアラカシ、マテバシイ、オキナワウラジロガシ
日本一大きなドングリ
枝にドングリがついた状態のオキナワウラジロガシの標本
日本一大きなドングリ
貝塚から大量に出土したオキナワウラジロガシ(宜野座村博物館)
>> [No.1798]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>