沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1682]

  • (土)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2017年07月20日[No.1682]号

「手づくり郷土(ふるさと)賞」ってどんな賞

 浦添市内で、「手づくり郷土賞」と書かれた碑を見かけました。どんな基準でどういった場所が選ばれる賞なのでしょうか? 気になるので調査をお願いします。

(宜野湾市 ふるさと自慢ありますさん)

「手づくり郷土(ふるさと)賞」ってどんな賞!?

 確かに気になる名称ですね、「手づくり郷土賞」。何を手づくりするのでしょうか? インターネットで調べてみると、現在今年度の応募を受け付け中とのこと。問い合わせ先の「沖縄総合事務局・開発建設部」を訪ねてみました。

国土交通省が創設

 調査員を迎えてくれたのは、建設行政課長の松井洋さんと景観環境事業調整官の下地朝治さん。「手づくり郷土賞」は国土交通省が主催し、1986年に創設。今年度で第32回を数える全国規模の賞だそうです。

 「自然・歴史・伝統文化・産業など地域の貴重な資源を利活用し、魅力ある地域づくりに関わった団体を表彰するのが『手づくり郷土賞』です。地域の皆さんが協力し、環境を整え美観を維持する活動により魅力ある地域づくりに向けた取り組みを表彰しています」と松井さん。

 下地さんが「応募用紙は国土交通省ホームページからダウンロードできます。団体の活動期間が3年未満だったり、社会資本との関わりがなかったりする場合などは応募対象外になりますが……」と話を続け、沖縄総合事務局としても募集を行っていると教えてくれました。

 過去の沖縄地区の受賞歴を聞いてみると……。

 「例えば竹富町の家並みが受賞しました。琉球王朝時代からの遺産や生活風習を、島の人々が守り育てている地区です。島の人々は道を清掃し花木の手入れをして、自然と調和する美しい集落のたたずまいを残し続けています」と、松井さん。

 「人と風土が育てた家並み」として評価された竹富町は、記念すべき第1回「手づくり郷土賞」を受賞。それから約20年後の2005年度には、大賞にも輝きました。「手づくり郷土賞」を受賞した後も長期にわたって活動を継続している団体は、大賞部門に応募できるそうです。きれいな家並みの維持に努める竹富町の人々の、努力が実ったのですね。

 そのほか市道3号線(浦添市)、備瀬のフクギ並木(本部町)などが受賞しています。

自分たちの町を手づくり

 2016年度は那覇市の「国場川こいのぼりまつり」が受賞し注目を浴びたとのこと。1997年発足の「国場川に清流を取り戻す会」が、子どもたちのふるさとづくりをテーマに約20年にわたり継続した活動を行ったこと。老若男女を問わず、幅広い参加者により活動が支えられていることが評価されました。

 「5月には手づくりのこいのぼりを飾るなど地域が一体となったイベントを行い、募った寄付金で桜の苗木を購入して植樹をし、皆さん楽しそうに参加しています」と下地さん。

 手づくりのこいが空を舞う姿や、自分たちの手で植えた桜でお花見できるのは子どもたちに夢を与えます。県内のこのような地域活動が国土交通大臣に表彰され、全国に知られるのは喜ぶべきことですね。

 今年度の「手づくり郷土賞」は9月1日まで応募できます。

 「清掃活動や環境づくりをボランティアなどでされている方は地域のためにという思いが強く、表彰を意識していないと思いますが……」と話す、松井さんと下地さん。

 確かにその通りですが、地道な活動が認められたら励みになるのも事実。受賞者は東京都内で開催される発表会に招待されます。なにより自宅近くやよく利用するなじみの場所が、脚光を浴びるのはうれしいこと。受賞を機に交流の場や観光スポットとなり、にぎわうかもしれませんね。3年以上地域活動を続けている団体の方は、応募してみてはいかがでしょうか?



このエントリーをはてなブックマークに追加


「手づくり郷土(ふるさと)賞」ってどんな賞
沖縄総合事務局 開発建設部の松井洋さん(左)と下地朝治さんに話を聞きました
「手づくり郷土(ふるさと)賞」ってどんな賞
2016年度「手づくり郷土賞」に選ばれた、那覇市の「国場川こいのぼりまつり」
「手づくり郷土(ふるさと)賞」ってどんな賞
中城村の「古道ハンタ道と世界遺産」も郷土愛が認められ、2013年に表彰された
>> [No.1682]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>