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[No.1582]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2015年8月13日[No.1582]号

タイムスリップする店の正体は

子どもと一緒に行けるちょっと変わった店があるとママ友から聞きました。そこは懐かしいグッズがたくさんあって、子どもから大人まで楽しめるそうです。子どもがまだ幼く、遠くに行けないので調べてもらえませんか。

(沖縄市 メロンパンナさん)

タイムスリップする店の正体は!?

 懐かしいグッズを置いているとは、どんな場所なのでしょうか? 投稿によるとその店は、西原町にある「門の家(じょうのや)」とのこと。さっそく、調査に出掛けてみましょう!

予想外の宝箱!?

 地図を持って車で県道29号を走らせていると、店の案内表示板を発見しました。そこを曲がるとちょうちんが掛かった居酒屋風の建物が…。入り口には「めんそーれ」と記された看板があり、横には古いポストがあります。店へと続く階段には「金鳥かとりせんこう」や「コカ・コーラ」、「たばこ」と書かれたひと昔前の看板が飾られ、踊り場には、製薬会社のゾウのキャラクターもいます。

 店の戸を開けると、子どもと大人の団体が次々に出てきました。その人数に押されながらも中に入っていくと、外からは予想できない宝箱のような世界が待っていました。

昭和の時代へようこそ!

 オーナーの砂川昌二郎さんが出迎えてくれました。さっそくこの質問をしてみました。

 あの…失礼ですが、こちらは何の店ですか?

 「沖縄そばの店だよ。最初から変わったそば店を作ろうと思ってね」

 そう言って砂川さんは店内を案内してくれました。

 「この大きな機器は、今は見なくなったジュークボックス。昔はコインを入れてよく歌ったものだ。今もちゃんと音が出るし、この古いタイプを持っている人は少ないと思うよ」

 曲を掛けると、歌謡曲が広い店内に響き渡りました。

 今でもしっかりと曲を奏でるとは驚きです!

 「これは、ぜんまいで曲が流れるレコードプレーヤー、真空管テレビにラジオ、そして、銀行や農協の昔の看板、琉球新報販売店の看板もあるよ。ショーケースに入った『平凡』と書かれた今はなき雑誌、味の素は缶に入って販売されているのが一般的だった。足の低い勉強机は、学校で使われていたもの。壁に掛かっている物は、沖縄の本土復帰前に店に掲げられていたAサイン証」

 博物館にありそうなレアな物から石けんや歯ブラシなどの日用品まで、所狭しと展示され、まるで昭和にタイムスリップしたかのような空間が広がっていました。

 いつから収集するようになったのか聞いてみました。

 「30年以上前から趣味で集めているよ。青春時代はステレオが欲しくても買えなかった。宮古島から那覇に移り、仕事をしてから質店などで欲しかった物を買えるようになり、それ以来、骨董品を集めている。古い物は、昭和の良き時代を思い出すんだよね。収集品が年々増え、倉庫に寝かせていたけれど、客に喜んでもらいたいから開店時から置いているよ」

 店にはチャイルドルームがあり、子連れ客に人気なのも納得ですが、今まで壊されたりすることはあったのでは?

 「実はありました。顔で笑って心で泣いています」

 砂川さんの大らかさに感心するばかりです。

 コレクションの中で特にお気に入りは、不二家の「ペコちゃん」だと話します。ショーケースには、歴代のペコちゃんやグッズが一面に並び、その年の流行が分かります。

 また客席もいろりやちゃぶ台などを利用していて、レトロな空間で味わう料理は格別です。あっさりとした沖縄そばやオリジナルタルタルソースのチキン南蛮は、子どもからも人気だといいます。

 昭和の街や暮らしが生き生きと再現されている「門の家」に、ほっこりとした気持ちになり、夕日を背に店を後にした調査員なのでした。



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タイムスリップする店の正体は
初代の「ペコちゃん」を持つ砂川昌二郎さん。骨董品をこよなく愛す
タイムスリップする店の正体は
収集品が所狭しと展示され、子どもから大人まで楽しめる店内
タイムスリップする店の正体は
人気の沖縄そばとチキン南蛮セット
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