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[No.1569]

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「島ネタCHOSA班」2015年05月14日[No.1569]号

沖縄でタイの水掛け祭り

タイの水掛け祭りが琉球大学で行われていると聞きました。友人によると、毎年4月ごろにあるそうです。興味があるので調べてください!

(宜野湾市 ワンダーガールさん)

沖縄でタイの水掛け祭り!?

 水を掛け合うあの祭り!? キャンパス内で、びしょぬれになるのでしょうか? 半信半疑の調査員ですが、とにかく調査開始です。

 琉球大学に問い合わせると、「はい、本大学で毎年行われています」との返事。今年は去る4月26日(日)に開催されました。問い合わせた日は、開催日の1週間ほど前。企画会議が行われると聞き、直撃調査開始です。

正月を祝う伝統行事

 さっそく、タイ語が飛び交う会議中の部屋を訪れました。祭りを主催しているのは、琉球大学に在籍する在日タイ人留学生協会沖縄支部のメンバー。14人のタイ人留学生に加え、今年はラオス人留学生3人も参加しているそう。国際交流を目的に同会が毎年開催してるこのイベントは、対外的な宣伝はあまりせず、学生ができる規模でやっているとのこと。メンバーの1人、社会学の博士課程で学ぶスットプラータナー・ドゥアンケーオさんに水掛け祭りの由来などを聞いてみました。

 「水掛け祭りはタイの旧正月『ソンクラン』の期間中に行われる行事です。今年のソンクランは、4月13日から15日の3日間です」

 もともと、水掛けがメーンではないそうですが、今では、ソンクランといったら水掛け祭りとして知られるようになり、世界各地から多くの観光客がタイに集まるそうです。

 世界的に知られているんですね。でも、なぜ水を掛けるのでしょうか?

 「水を掛けるのは、祝福や敬意を払うという意味もあります。ソンクランの時は、年長者の手や仏像などに、ジャスミンの花などで香りを付けた水を注ぐ風習があります」

 また、4月はタイで最も暑い時期にあたり、猛暑を和らげるためでもあるそう。当日は、バケツや水鉄砲などに入れた水を掛け合うといいます。

 誰にでも掛けていいのでしょうか?

 「ルールはありません。『やめてー!』と言ってもバシャバシャ掛かってきますよ」

 携帯電話など、ぬれないように気を付けないと大変そうですね。

 「容赦なく水を掛けられるので、防水対策をしないと、大変なことになります。参加するときは気を付けてくださいね

容赦ない水掛け合戦

 撮影用のカメラが心配な調査員でしたが、恐る恐る当日に行ってきました。西原町の琉球大学国際交流会館で行われたイベントには、日本人学生の他に、他国からの留学生も参加し、国際色豊かな顔ぶれでした。

 祭りは10時頃スタート。ゲストの年長者たちの手に、香りのついた水を注ぐ儀式から始まり、伝統舞踏やムエタイ、歌などのパフォーマンス、ゲームなど盛りだくさんの内容。本格的なタイ料理も振る舞われました。そして、午後3時過ぎ、クライマックスの水掛け祭り。気温も上昇し、水掛けにはもってこいです。

 スタートの合図と同時に、参加者はバケツやコップ、水鉄砲、ホースを手に持ち、悲鳴や歓声を上げながら、すごい勢いで水を掛け合います。調査員もカメラを守るため逃げ回りながら撮影しました。参加者は皆びしょぬれ。結局、調査員も背中から水を掛けられましたが、暑かったので、気持ち良かったです。何だか童心に返ったような気分。陽気な国民性と猛暑のタイならではの祭りを堪能しました。

 今回参加した、琉球大学亜熱帯農林環境科学科3年、ボリビア出身の橋本安樹さんは、「ボリビアでもカーニバルなどで水を掛け合う習慣があるので懐かしかったです」と笑顔。同観光産業科学部観光科学科3年の鎗分七海さんは「こういう年齢や人種に関係ないお祭りが、もっとできたら楽しいですね」と満喫した様子。

 調査員も異文化を知ることができた上に、祭りの熱気も体感でき大満足。もっと外国の文化を学び視野を広げたいと思ったのでした。

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沖縄でタイの水掛け祭り
スットプラータナー・ドゥアンケーオさん
沖縄でタイの水掛け祭り
在日タイ人留学生協会沖縄支部のメンバーたち
沖縄でタイの水掛け祭り
伝統舞踊を披露するタイ人の留学生
沖縄でタイの水掛け祭り
歓声をあげ、水を掛け合う参加者たち
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