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[No.1554]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2015年1月29日[No.1554]号

えっ、冬にブドウ狩り

 先日、知人から不思議な話を聞きました。県内で、冬にブドウ狩りができる場所があるというのです。興味があるので、ぜひ調べてください! 

(那覇市 となりのトトロさん)

えっ、冬にブドウ狩り!?

県内のブドウといえば、夏がシーズン。冬にブドウ狩りとは一体…!?

寒い季節が旬

 手がかりは「ブドウ狩り」というキーワードのみ。ダメもとで、インターネットで「沖縄 ブドウ狩り」と検索してみました。検索結果の上位に出てきたのは、今帰仁村のブドウ園。が、季節は7月とあります。「やっぱり冬にブドウ狩りなんて…」と、諦めかけた調査員。しかし、続きの画面を見てみると、「冬季限定 ブドウ狩り」という検索結果が!

 場所は南城市の知念海洋レジャーセンター。ええっ、それって、海のそばなんじゃ?

 それもそのはず、ここで狩ることができるのは、果物のブドウではなく、「海ブドウ」。10月から5月中旬の冬季限定で海ブドウ狩りが楽しめるとのこと。海ブドウが大好物の調査員は、ヨダレをふきふきさっそく現場に向かいます。

 出迎えてくれたのは、屋比久敬裕(けいゆう)さん。海ブドウをより身近に感じてもらい、消費を盛り上げていこうという目的で、2006年に県内で初めて海ブドウ狩りを企画したご本人です。

 「海ブドウについては、世の中に知られていないことが多いんですよ」と屋比久さん。いわれてみれば、調査員も、知識がほとんどありません。ええっと、海ブドウというからには、海に生えているんですよね?

 「いえ、もともと海ではなく、海水の混じる河口やマングローブの沼地などに自生しているんです」

 ええっ、そうなんですか?海岸で収穫するというイメージがあったのですが…。

 「現在、市場に出回っている海ブドウの大半は、鉄筋のビニールハウス内の水槽で養殖されたものなんですよ」

 ビニールハウス!? びっくりです!

 「海ブドウは茎が弱く、台風のうねりで簡単にはがれてしまいます。そのため、ハウスで守る必要があるんです。海水をポンプで引いてくるので、ハウスは海のそばに建てられます」

 どのくらいで育ちますか?

 「夏は9週間、冬は約12〜14週程度です。冬のほうが成長が遅いのですが、その分、粒がぎっしり詰まり、海ブドウならではのプチプチした食感が際立ちます」

 なるほど、冬が旬ですか〜。

地元のリピーターも

 さて、ここで海ブドウ狩りのコースを体験してみました。所要時間は約30分。養殖方法についてパネルを使いながら分かりやすく解説してもらった後、水槽に手を入れ海ブドウを摘み取ります。

 「まずは茎の根元をつかんで引きずり出してください」というアドバイスに従って、ズルズルと茎を引っ張り上げると、茎にくっついた海ブドウの房が次々に姿を現しました。面白〜い!!

 茎から房を手で摘み取り、カップにどんどん入れていきます。「これくらいでいいかな、と思う量に、少しプラスするのがおすすめです」と屋比久さん。もっと収穫しておけばよかったと後悔することが多いのだとか。

 収穫の後は、お待ちかねの試食タイム。海辺のテラスで、摘み立ての海ブドウをお好みでシークヮーサーのドレッシングにつけていただきます。うーん、プチプチした食感がたまらない! おいしゅうございました〜。

 観光客や修学旅行生がメーンのお客さんですが、地元の海ブドウ好きも多く訪れるとのこと。海ブドウをたくさん食べる機会は意外に少ないので、県内のリピーターが多いというのもうなずけますね。調査員も、また行きま〜す!!

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えっ、冬にブドウ狩り
屋比久敬裕さん
えっ、冬にブドウ狩り
海ブドウでぎっしりの水槽。近くのビニールハウスで養殖され、収穫期を迎えた海ブドウが運ばれています
えっ、冬にブドウ狩り
水槽に手首を入れ、茎を根元から引きずり出してから、茎についた房を丁寧に摘み取っていきます
えっ、冬にブドウ狩り
摘んだ海ブドウは、海辺のテラスで試食できます。名古屋から訪れた観光客の吉村弘美さんも「プチプチ感が半端ない!」と大満足
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