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[No.1539]

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「島ネタCHOSA班」2014年10月09日[No.1539]号

県産ハマグリ、本土と同じ?

 私は県外出身です。以前、沖縄の友人と海でハマグリを採りました。そのハマグリが、白くて小さくて、本土のものとはずいぶん違いました。これもハマグリなのでしょうか?

(浦添市 移住1号さん)

県産ハマグリ、本土と同じ?

 沖縄でハマグリ? やはり県外出身の調査員も聞いたことありません。本当に沖縄にハマグリがいるのでしょうか? いるなら食べてみたい! 海辺の生き物に詳しい「しかたに自然案内」代表の鹿谷麻夕さんに聞いてみましょう!

アサリやシジミも…

 県産ハマグリはありますか?

 「沖縄にもハマグリと名が付く二枚貝が数種類います。ただ本土で食べられてきた、日本在来種のハマグリやチョウセンハマグリとは違う種類です」

 やっぱり違うのですね。

 「ハマグリと付く、沖縄の貝の一つがイソハマグリです。最大で3㌢ほどにしかなりません。南方系で寒い地方にはいませんが、沖縄では各地の砂浜にいる種類です」

 イソハマグリはハマグリではない…。混乱しますね。

 「ハマグリは和名。世界共通の学名を見ると違いが分かりやすいですよ。ハマグリ、チョウセンハマグリはどちらもMeretrix(メレトリックス)というグループに分類されます。一方、イソハマグリはAtactodea(アタクトデア)というグループです。同じ二枚貝ですが属するグループが違います」

 「沖縄では二枚貝をアサリ、ハマグリと呼ぶことがあります。あまり違いを区別しないのですね。和名でも、グループは違うのに見た目が似ているものに対して似ている名前をつけてしまうことがあるんです」

 沖縄には他にオミナエシハマグリもいるそうです。これもハマグリとは違う種類。イソハマグリとも違うそうです。ハマグリに限らず、オキシジミ、リュウキュウアサリなどもいますが、シジミやアサリとは違う種類とのこと。面白いですね〜。「巻き貝にはチンボーラーやモーモーなど、ウチナーグチの呼び名がある種類がいますが、二枚貝を指すウチナーグチはあまり聞いたことがありません」と鹿谷さん。なぜですかね。新たな疑問が湧いてきます。

わざわざ取らない

 沖縄のハマグリについて理解を深めた調査員。本土の潮干狩りのようにハマグリ狩りをしたくなりました。そこで自然のイノーが残る浦添市港川に自治会長の銘苅全郎さんを訪ねました。港川のイノー「カーミージーの海」でもハマグリを採っているのですか?

 「ハマグリはいますが、採った記憶はありませんね。私が小中学生だった60年ほど前は、ティラジャー(マガキガイ)やメーメーンナ(クモガイ)がたくさんいたから、わざわざ砂を掘ってまでハマグリを採る必要もなかったんですよ」

 そうなんですか! ところでハマグリはウチナーグチで何というのですか?

 「口を開く貝を総じてンナグヮーと読んでましたよ。採って食べないから名前も分からないな〜。ハマグリは最近の呼び方ですよね」

 呼び名がないのは、他の海の幸が豊富だったからなのかもしれませんね! 感動したところで、ハマグリ狩りへ。

 「ちょっと待ってください。カーミージーの海は都会のそばにある貴重な自然。以前はいろいろな種類がたくさんいましたが、今は埋め立てなどで激減しています。みんなが採ると資源がなくなるだけでなく生態系そのものが崩れます。だから自治会では観察はしても、魚介類をとって食べることはしていないんです」

 そうなんですか。そうえば、鹿谷さんも「開発でイソハマグリがすむ砂浜が少なくなり、今は準絶滅危惧種に指定されている」と言っていました。確かにイソハマグリ自体が貴重なのかも…。残念だけど、ハマグリ狩りは断念します!

 鹿谷さんは「イソハマグリに限らず、これから産卵する小さな貝や魚は、元の場所に戻してあげて」とも言っていました。採りすぎに注意して、海の恵みとの共存を続けたいと思った調査員なのでした。



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県産ハマグリ、本土と同じ?
鹿谷麻夕さん
県産ハマグリ、本土と同じ?
イソハマグリ(しかたに自然案内・提供)
県産ハマグリ、本土と同じ?
比べてみましょう! 上)沖縄の二枚貝。(左から)イソハマグリ、オキシジミ、リュウキュウアサリ 下)よく食べられる(左から)中国産ハマグリ、島根県産シジミ、熊本県産アサリ。日本在来のハマグリ自体が絶滅の危機にあり、現在売られているほとんどが中国産のシナハマグリです
県産ハマグリ、本土と同じ?
銘苅全郎さん
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