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[No.1529]

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「島ネタCHOSA班」2014年07月31日[No.1529]号

刺し身屋で売る物は

 沖縄には「刺し身屋」がありますね。県外出身の私は、魚屋や鮮魚店は知っていますが、刺し身屋は初めて知りました。刺し身以外は売っていないんですか?

(浦添市 Yさん)

刺し身屋で売る物は?

 小さい時、「刺し身屋ーに行ってきて」とよくお使いを頼まれました。トレーに並べられた赤々としたマグロの刺し身は、プロが調理済みでお手軽。今でもよく食卓に上ります。

 ネットで「さしみ・サシミ・屋・店」を検索すると、離島を含め県内で30件ヒットしました。結構ありますね。その中に、「海産物料理店」に分類された一軒が。どんな店か興味津々で出掛けました。

地元の鮮魚

 本部町渡久地の本部町営市場内にある「政良(せいりょう)さしみ店」。店主の荻堂弘子さんは2代目です。「この店は、政良おじーが戦後始めた店なんです。体調を崩されたので、12年前に継いだんですよ」

 荻堂さんは渡久地政良さんと親戚ではありませんが、近くで鮮魚店を営んでいたので、とてもかわいがられたそう。そこで、「跡を継いでほしい」と請われたそうです。

 店内で話を聞いていましたが…、刺し身は見当たりませんね。「はい。お願いされれば作りますが、基本的に刺し身は売ってません。ここは、刺し身を『食べさせる』店なんです」

 政良さんは仲買人で、当時は「刺し身」+「ご飯」というシンプルなメニューを出していた食堂でした。現在は魚汁や煮付けなどもありますが、食堂で唯一「さしみ」が付く「さしみみそあえ」(800円)を注文。シチュー皿ほどの深さの器に山盛りの刺し身とキュウリ、大根などのみそあえが出てきました。冷たくてさっぱりしており、夏にぴったりの一皿です。

 「有名な本部のかつおの他、その時のセリにあるもので作っています。酢みそあえは鮮度を保つので好んで食べられていて、わさびの他にみそをサービスしてくれる店が多いですね」と荻堂さん。鮮度が命なんですね。

店で揚げてます

 もう一つ、刺し身屋ーへのお使いの楽しみがありました。そう、「うちなー天ぷら」です。検索でヒットした店に「天ぷらありますか?」と問い合わせたところ、「いやー、やってないね」「注文しないとないさー」という店が多い中、「はい、ありますよ。毎日昼ごろから揚げています」という店を発見。浦添市勢理客の「さしみ屋魚よし」です。

 看板は「さしみ屋」ですが、カツオやマグロ、ビタロー(キンセンフエダイ)、グルクン(タカサゴ)など一尾魚がずらりと並んでいます。

 大きな鍋でうちなー天ぷらをチャラチャラーしている大城理努(りーど)さんは、「県外では、客がお願いしないと魚をさばいてくれないと聞きますね。さばいたとしても冊のままが多いらしいですよ。刺し身はお祝いなどのニーズも多いし、自分でさばける人が少ないので、沖縄は魚屋を刺し身屋ーって呼ぶんじゃないかな」と話します。

 「魚の天ぷらは、多少筋がある方がおいしいんですよ。刺し身屋にとってはさまざまな部位を生かせるので合理的ですよね」と大城さん。1パックにぎっしり入って324円。揚げたては格別でした。

 今回、調査する中で「刺し身屋兼居酒屋」の存在も浮上。鮮度の良い刺し身で一杯。たまりませんな。

 海に囲まれた沖縄。もっと魚を食べようと思った調査員でした。



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刺し身屋で売る物は
年季の入った看板=本部町渡久地の政良さしみ店
刺し身屋で売る物は
さっぱりとしたみそあえ=政良さしみ店
刺し身屋で売る物は
天ぷらを手にする大城理努さん=浦添市勢理客のさしみ屋魚よし
刺し身屋で売る物は
おいしそうなマグロの刺し身=さしみ屋魚よし
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