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[No.1373]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2011年07月21日[No.1373]号

去年のいつごろからか、三重城の海の近くに柱だけが並んだような妙な形の建物があって気になっています。いったいあれは何なんでしょう。調べてください。

去年のいつごろからか、三重城の海の近くに柱だけが並んだような妙な形の建物があって気になっています。いったいあれは何なんでしょう。調べてください。(2011年07月21日掲載)

奇妙な建物の正体教えて
(那覇市 40代女性)

 問い合わせに県営団地の近くから見えるとあったので、調査員、さっそく行ってみました。ありましたよ~、にょきにょきと地面から柱が生えたような奇妙な建造物。おもちゃのブロックの突起が伸びちゃったような形。海に面したところみたいだから、港関係のお役所に聞いてみよう!

 海底沈埋トンネルだ!

 やってきたのは、内閣府沖縄総合事務局の那覇港湾・空港整備事務所。第三工事課長の吉平健治さんにお話を伺うことができました。「あれは、海底沈埋トンネルの換気塔なんですよ。三重城側と空港側の2箇所にあります」。海底沈埋トンネル? そういえば、若狭のあたりから空港への新しい道を造っているのは知っていたけれど、それに関係しているのかしらん?

 「そうです。空港への道路は那覇ふ頭を通らなければならないんですが、普通に橋を架けたのでは、大型船の通行の邪魔になります。船の邪魔にならないほど高い橋を架けると今度は飛行機の進入路の邪魔になる。それで海底沈埋トンネルを造ることになったのです」。

 なるほど。でも、沈埋って聞いたことがないけど、普通のトンネルと違うんですか?

 「普通に穴を掘り進めながら工事をしていくシールド工法だと、角度や深さとのバランスで、もっとずっと長い距離のトンネルになってしまいます。それで、あらかじめ陸上で造った函を海に沈めて埋める方法を採用することになったんです」。

 吉平課長によると、トンネルは、幅約37メートル、高さ8.7メートル、長さ90メートルの函8つからできていて、本土の造船ドッグで二重構造の鋼板製の函を造って、船でひとつずつ沖縄へ運んできたのだとか。

 函の前後は鋼板で蓋がしてあって、海に沈めても水が入らない構造。沖縄に着いてから、二重になった壁の間にコンクリートを流し込んで完成したとのこと。このとき、海に函を浮かせた状態でコンクリートを打つ方法が取られて、これは世界初の技術なんだとか。ほかにも、地震の揺れを吸収するためのベローズ継手が世界で初めて実用化されたり、最後に沈めた函をつなぐキーエレメント工法が開発されたり、実は最新技術がたくさん盛り込まれたトンネルなんですね。

 都市景観のためのデザイン?!

 話を元に戻して、換気塔。あれは何であんな形をしているんですか?

 「あれはデザインです。空港に近いこともあって、都市景観を考えてあのような形状になったんです。日の出から日没まで影の形が変わりますし、夜はライトアップされるときれいですよ」。

 ほほ~、光と風と影を表現していたんですね。圧迫感を与えないためにスリムにしたのか。確かに神秘的でかっこいいですもんね。「でも、形だけではなく、非常に重要な機能も持っているんですよ。トンネル内の空気をきれいにして外へ出すために、高さ10メートルの排風機の中ではプロペラが1分間に450回転しています。排気は除塵フィルターを通して外へ出されますが、騒音を防止するために消音器も付いています。塔の下にはタンクがあって、トンネル内の排水をためてポンプアップしたり、消火用水も準備されています。トンネルを管理維持するための部屋も換気塔内にあるんですよ」。

 奇妙な建造物なんて言っちゃったけど、海底沈埋トンネルの心臓部であり頭脳でもあったんですね。いや、恐れ入りました。


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空港側の換気塔。出っ張って見えるのが展望室


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