沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1991]

  • (木)

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「表紙」2023年07月06日[No.1991]号

骨董品とフレッシュな農産物あります
リサイクル金城

地域の人が集うリサイクル店。店内の様子を紹介

 沖縄自動車道金武インターチェンジを降り北上すると、すぐに左側に見えてくる「リサ イクル金城」。外観を見て、気になっていた人もいるのではないだろうか。古いものに囲 まれ、ついつい長居してしまう、不思議な魅力を持った場所だ。店内のベンチに腰掛け て、お客さんたちとおしゃべりをしつつ、関係者たちにインタビューした。

 いしじゃゆんたく市場と隣 接して建つ「リサイクル金城」。

 店内に並ぶのは、陶器、古 着、置き物や装飾品、食器、は く製など、古今東西の古いも の。メインとなるのは実用品で はなく、骨董品や、懐かしさを 感じさせる品々である。初めて 訪れる人は、近年の商業施設 では感じない趣に身構えてし まうかもしれない。しかし、商 品をじっくり眺めていると、古 いものならではの個性に気付 くはずだ。気になる商品があれ ば、店主・金城武久清(ぼくせ い)さんや妻の睦子さんに尋ね てみよう。

漁師をしながら開店

 「店で一番古いのはおっとー (武久清さん)だよ」

 年代物の商品は何かと質問 した記者に、睦子さんが冗談で 切り返すと、居合わせた人々の 笑いに包まれた。店内に設置さ れたベンチとテーブルでは、お 客さんや、夫妻の親戚・友人が くつろぎ、おしゃべりを楽しん でいく。骨董マニアと思わしき 人もやってきて、自身のコレク ションについて語りだした。こ こでは初対面の人同士も打ち 解け合っており、記者も自然と 話に交わる。店は憩いの場に なっているようだ。

 会社役員を経て、潜水器漁 の漁師をしていた武久清さん。 リサイクル金城を開店したの は約 19 年前のこと。仕事の傍 ら、趣味で集めていた骨董品を 販売しようと思い立ったのが 始まりだった。

 当時、自身が収集していたの はカーミ(やちむんの甕)や船 の置き物。これに加え、石臼(い しうす)や石油ランプなど、お 年寄りの家で処遇に困ってい た古道具を買取ることで、品 数を増やしていった。これまで によく売れたのは、古いキャ ンプ用品やホラ貝(県外の山伏修行者向け)、外国の硬貨だ と言う。

リメーク品と農産物も

 店内の一角には、リメークし た古着や小物を売るスペース もある。こちらを手がけるのは 従業員の具志堅早苗さん。紫 虎(しと)という作家名で活 動、収集やディスプレーに止ま らない、リサイクル品の楽しみ 方を提案している。ちなみに具 志堅さん、「もともとリサイク ル金城の常連客だった(笑)」と いう。店に通ううちに武久清さ ん、睦子さんと親しくなり、2 年前から働き始めたそうだ。

 店では、果物や野菜も取り 扱っている。これから夏にかけ て主力商品となるのはパイナッ プル。地域の農家から仕入れて いるほか、武久清さん自身も東 村で栽培している。収穫期は具 志堅さんと共に、朝4時に畑 まで出かけるそうだ。収穫した パイナップルは、その日のうち に店頭に並ぶ。

 古いものと農産物、地域の 人々が集まることで、リサイク ル金城には、いつも新しい話題 がある。そんな環境にいるの で、武久清さんは「働いている 時が楽しい」と笑顔で教えてく れた。   

(津波 典泰)



リサイクル金城
金武町金武8238‐13
☎ 098‐968‐2917



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リサイクル金城
金武町にあるお店「リサイクル金城」には、時を重ねた品々がずらりと並ぶ。「どうやって撮るか?」 とわいわい話し合った結果、店主の金城武久清(ぼくせい)さん(中央)、妻の睦子さん(右)、従業 員の具志堅早苗さん(左)は、それぞれ一押しの商品を手に写真に収まった。店では地域の果物 や野菜も扱っている。3人とのおしゃべりを目当てに訪れる人も多いようだ
写真・村山 望
リサイクル金城
きんじょう・ぼくせい。1954年 生まれ。潜水器漁師として約 35年活躍し、10年前に引退。 イノシシ駆除の仕事も請け負う ほか、7000坪の畑で農業に携 わる。地域の農家や個人商店 から声がかかれば、手伝いにも 出かけて行くバイタリティーあ ふれる人物だ。リサイクル金城 のある土地は、町の中心地から 離れているため電気水道が通 るのが遅かった、と昔のことも 教えてくれた
リサイクル金城
店内に並ぶ商品たち。掘り出し物を求めて、長時間過ごす人もいる
リサイクル金城
この時季は店頭にパイナップルが並ぶ
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