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[No.1695]

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「表紙」2017年10月19日[No.1695]号

ザ夫婦

ザ・夫婦(み〜とぅ) 29


隠れ家カフェ 清ちゃん オーナー 島田 修二さん
シーグラス作家 島田 春奈さん

常識にとらわれない役割分担

 浦添市港川、カーミージーと呼ばれる海岸のそばに建つ「隠れ家カフェ 清ちゃん」。島田修二さん(46)と春奈さん(40)の夫妻は、この店を世間の常識にとらわれない役割分担で切り盛りしている。修二さんは得意のエスニック料理、春奈さんは店内の内装や力仕事を担当。春奈さんは、海岸で拾ったガラス片(シーグラス)を素材にアート作品を制作するシーグラスアート作家でもある。「修さんといると、自分が自分らしくいられる」と春奈さんは笑顔で話す。



相手を受け止め支え合う

 「例えば、友達の家族を呼んでビーチでバーベキューするとしますよね。器材を運んだり、場所を作ったりするのは私。料理は修さんが準備してくれます」

 車のドライバーから力仕事までこなし、子どもたちと海岸で遊ぶ役割を引き受ける春奈さん。一方、修二さんは「友達の奥さんたちと一緒に料理をしている」のだという。

 「男の仕事・女の仕事という固定観念はあまり持っていません。得意な方がやるのがいいという考えです。だから楽ですよ」と二人は笑う。

 毎日の家事においても、春奈さんが洗濯、修二さんが料理をはじめとするその他の仕事を担当している。

 二人が5年前から営む「隠れ家カフェ 清ちゃん」でも、同じように役割を分担する。実は、修二さんは35歳の時に患った脳出血の後遺症で、右半身に少しまひがある。料理はできるが、スピードが出ない。そのため、前日から当日の朝まで6~8時間かけて修二さんが仕込みをしておき、春奈さんらスタッフがそれを温めてお客さんに提供している。

入院が二人の転機に

 二人が恋人となったのは、修二さんが脳出血で入院した時だった。

 当時、修二さんが弟と一緒に働いていた居酒屋の常連客だった春奈さんは、当時ハマっていたグスクめぐりの話題をきっかけに、修二さんと親しく話すようになった。

 「グスクの話をすると引かれることが多かったんですが(笑)、修さんは食いついてくれた」。やがて二人は遊び仲間となり、修二さんが好きだったアウトドアに何度も一緒に出かけ、仕事の悩みも相談するようになった。

 ただし、友達の一線をなかなか踏み越えることができなかった。そんな状況を変えたのが、修二さんの入院。お見舞いに行った時、修二さんが「前に進んだ?」という言葉をかけてくれた。

 「入院前、私は当時の仕事のことで悩んでいて、修さんに相談していたんです。一人で起き上がれないような状態なのに、私の心配をしてくれていた。感動しましたね」

 ほどなく、春奈さんが修二さんに愛を告白。2年後の2009年に、二人は結婚して夫婦となった。

やりたいこと応援

 「修さんは、私のことを全部受け止めてくれる。私がやりたいと思ったことを否定したことは一度もない。一緒にいると、自分が自分らしくいられると感じます」。そんな春奈さんの言葉を受けて、修二さんは「まずは相手を受け入れる。何も聞いていないのに、否定することはできませんよね」と続ける。

 春奈さんがビーチで拾ったガラス片に感銘を受け、独学でシーグラスアートの制作を始めた時も、修二さんはインターネットで参考になる情報を見つけるなど、積極的にサポートした。

 大好きな海の環境を守るためビーチクリーン活動にも取り組む春奈さん。今年から、県内各地でゴミ問題への啓発を組み込んだ作品の展示会を開くようになった。その際に、LED照明の設置が必要となった時にも、修二さんが工作を引き受けてくれたという。

 春奈さんの目標は、シーグラスアートをもっと広く知ってらうため、沖縄美ら海水族館と那覇空港に飾ること。その夢も、修二さんが後押ししてくれている。

 修二さんは六人きょうだいの次男、春奈さんは三人姉妹の末っ子。春奈さんは「修さんは何でも言うことを聞いてくれるお兄ちゃんという感じ」と笑い、修二さんは「彼女は行動力がすごい。いつも笑顔で笑っているから、みんなが集まってくる」と話す。

 自然にお互いを補い、支え合う二人の姿に、心が温かくなった。 

(日平勝也)



円満の秘訣は?

修二さん: まずは相手を受け入れて、最初から否定しないこと。
春奈さん: 楽しむこと。楽しまないと関係は続けられません。

プロフィール

しまだ・しゅうじ: 1971年生まれ、那覇市出身。26歳の時、弟が店長を務めていた居酒屋で料理人として働き始める。2009年に春奈さんと結婚。12年、浦添市港川に「隠れ家カフェ 清ちゃん」をオープン。

しまだ・はるな: 1977年生まれ、那覇市出身。2006年、ビーチで拾ったガラス片(シーグラス)に感動。数年後シーグラスアート作品に出会い、見よう見まねで2年かけて最初のシーグラスアート作品を完成させる。「隠れ家カフェ 清ちゃん」に約20点の作品を展示中。ビーチクリーン活動にも取り組み、今年から、県内各地でゴミ問題を一緒に伝える展示会を開いている

※10月31日(火)まで、沖縄トヨペット 港川店でシーグラスアート展を開催中

隠れ家カフェ 清ちゃん
浦添市港川543 ☎098(927)8398



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島田 修二さん 青木 由香さん
島田修二さん、春奈さん夫妻は、浦添市港川で「隠れ家カフェ 清ちゃん」を営む。店内には、壁一面に春奈さんがシーグラスを素材に制作したアート作品の数々を展示。春奈さんが手にしているのは、シーグラスで作った自作のランプシェード
写真・喜瀨守昭
島田 修二さん 青木 由香さん
付き合い始めたころ、修二さんの誕生日に二人でお祝い
島田 修二さん 青木 由香さん
「清ちゃん」店内に飾られた春奈さんのシーグラスアート作品。シーグラスの形には一切手を加えず、幾つものガラス片を組み合わせて海の生き物を描き出す
島田 修二さん 青木 由香さん
修二さんが仕込んだアジアン・エスニック料理は「清ちゃん」の名物。修二さんの人柄を感じさせる奥深い味わい
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