沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1687]

  • (金)

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「表紙」2017年08月24日[No.1687]号

ザ夫婦

ザ・夫婦(み〜とぅ) 21


琉球ガラス工房 glass32(グラス32) 具志堅 充さん
ロイヤルセラピスト協会指定スクール 7colors(セブンカラーズ) 具志堅佳子さん

2人で支えるガラス工房

 戦後、物資不足の沖縄で廃瓶を利用して生まれた琉球ガラス。琉球ガラス職人の具志堅充さん(41)は現在も廃瓶を原料にした昔ながらの琉球ガラス作りにこだわる。代表作「青の洞窟」は具志堅さんが試行錯誤の後に生み出した「具志堅ブラック」を使った色が特徴だ。「琉球ガラス工房 glass32」を開設して4年。妻の佳子さん(44)はベビーマッサージなどの資格取得スクール「7colors」を主宰。自分と同じように働く母親を応援する傍ら充さんを支え続けている。



協力し合い工房を営む

 約1300度の窯からの熱気に包まれた工房で黙々と作品を作り上げる琉球ガラス職人の具志堅充さん。

 充さんがガラス工芸の世界に足を踏み入れたのは1999年。サーフィンが大好きだった充さんが知人のガラス作家、豊島ルリ子さんにサーフボードの修理を依頼されたのがきっかけだ。「豊島さんの工房が週休2日で、勤務時間は正午から。そんな職場だったらサーフィンができると思い、働かせてもらうようになった」と振り返る。

 次第にガラス作りの魅力に引かれていった充さん。「難しくて全然扱えきれないので、上手になりたいという思いが出てきた」と振り返る。

 幾つかのガラス工房で技術を磨いた後、独立を決意。「どうしても廃瓶を使った伝統的な製法で作りたかった」。ガラス工房「清天」の松田清春さんの下で、独立準備をしながら再生ガラスを学び直し、2014年8月に工房をオープン。独自の作品制作を続ける。

 独立は妻、佳子さんの願いでもあった。「人がやらないことばかりするので、独立した方が世界の具志堅への近道だと思っていた」とほほ笑む。

縁の下の力持ち

 京都出身の佳子さんは、沖縄好きが高じて19年前に移住。具志堅夫婦の出会いは、サーフィンがきっかけだった。友人から「知人にサーフィンがうまい人がいるから教えてもらいに行こう」と誘われた。

 ところが「あまりに下手過ぎて、危ないからやめた方がいいと言われ、海水浴で終わった。習いに来たのに教えてくれないし、人の名前も覚えないし、話さない。失礼な人という印象だった」と佳子さん。しかし、お酒が入ると、普段はシャイな充さんは陽気になり、話すように。数年の交際の後2009年に結婚。息子の一世(いっせ)君(7)も誕生した。

 結婚後、佳子さんは、ベビーマッサージセラピストの資格を取得。出産を控えていたときに勉強を始め、2010年、育児スタートとともにスクールを開校した。「いずれ工房を手伝いたい。そのときまでに経営を含め、いろいろな勉強をしておきたかった。当時、新生児の命が捨てられる事件もあり、母親たちをサポートする場所を作りたいと思った」と話す。現在は、資格取得スクール「7colors」を主宰。午前中は教室、午後は工房で接客や経理など、縁の下の力持ち的な業務を担当している。

 そんな佳子さんに「自分ができることは作品を作ることぐらいなので、それ以外の仕事をカバーしてくれて助かる」と充さんは感謝する。

寡黙な夫、明るい妻

 充さんの代表作「青の洞窟」は、深い青色が特徴だ。「具志堅ブラック」といわれるこの色は試行錯誤ののち、誕生した。

 「当時、黒の商品を作っている工房がなかったので、やってみたかった」と充さん。佳子さんも「琉球ガラスは派手な明るいイメージがあるので、最初は黒なんか絶対売れるわけがないと周りに反対されていた」と続ける。今では模倣品も作られるほど人気だ。

 充さんについて、佳子さんは「ピュアな人。子どものころってわくわくしていて何でもできるって思っているけど、そのまま。できないとか思っていないし、できなくても何とかしようともがいて、結局できてしまうからすごい」と話す。

 佳子さんを「明るくてやさしい人」と評する充さん。寡黙な充さんに対して、自らを「しゃべり担当」という佳子さんは、充さんの思いをしっかり理解し、夫の作品の魅力を発信している。「ウチの主人すごいでしょって言うのは得意。関西人のノリであちこちに自慢しています」と笑う。

 オープンから3年。工房には、充さんの作品を求め、国内外から人々が訪れる。充さんは「今をしっかりとやっていくのみ。一生勉強しないといけない」と話す。家族や仲間の支えを背に作品を作り続ける。

(坂本永通子)



円満の秘訣は?

充さん:けんかしたら折れる、逃げる(笑)。
佳子さん:ほどよい距離を保つこと。お互いに自分自身の時間を作るのがいいと思う。

プロフィール

ぐしけん・みつる:1975年生まれ、 名護市出身。 99年5月「glass art 游」にて、ガラス職人人生のスタート。幾つかのガラス工房、工場長などを務めた後、2013年ガラス工房清天の松田清春氏に師事。14年8月「琉球ガラス工房glass32」設立。現在、スタッフ(職人)1人と生産業務を担当。受賞歴も多数。11年沖縄県工芸士 第88号に認定

ぐしけん・よしこ:1973年生まれ、京都府出身。98年沖縄移住。万座ビーチホテル、Dream Planet International Schoolなどに勤務。2009年9月に出産後、ロイヤルセラピスト協会にて認定講師の資格取得。ベビーマッサージ講師育成、親子教室&資格取得スクールを主宰

琉球ガラス工房 glass32 名護市宮里7-19-29内
☎0980-52-7899
〔HP〕 http://glass32.com/

7colors 名護市宮里7-19-15
☎098-957-1580
〔HP〕 http://7colors.pw/

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具志堅 充さん 具志堅佳子さん
工房の前に座る充さんと佳子さん。窯や型も含めて工房は充さんの手作りだ。佳子さんが手に持つのは自らが体験で作ったグラス。自宅では充さんが愛用しているという=名護市宮里「琉球ガラス工房 glass32」
写真・喜瀨守昭
具志堅 充さん 具志堅佳子さん
一世君の満産祝いのとき。2010年
具志堅 充さん 具志堅佳子さん
独立から約1年半後工房内にて (撮影/ガラス女子)
具志堅 充さん 具志堅佳子さん
工房で作業する充さん。「大らかだけど作品に関しては細かいところにまでこだわる」と佳子さん
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