沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1615]

  • (金)

<< 前の記事  次の記事 >>

「表紙」2016年04月07日[No.1615]号

父娘日和

父娘日和 1



親子芸人・こなぱぱ
与那覇 はじめさん(芸名 パパ)
与那覇 小夏さん (芸名 こなつ)

毎日の生活がコント

 実の父と娘による異色のお笑いコンビ「こなぱぱ」。初舞台はなんと、娘の与那覇小夏さん(芸名 こなつ・15)が7歳の時。父の与那覇はじめさん(芸名 パパ・43)との息の合った掛け合いが人気を集め、小夏さんが高校生となった現在まで、舞台やテレビ、ラジオを通して人々に笑いを与え続けている。生後10カ月から小夏さんを男手一つで育ててきたはじめさん。「僕らは親子だからいつも一緒にいる。練習時間は驚くほど短いけど、2人の会話が漫才みたいになっている。その意味では毎日が練習。そこが他のコンビと違うところかな」と笑う。



男手一つで育てた娘との絆

 個性的な芸人たちがひしめく沖縄のお笑い界にあって、ひときわ異彩を放つ親子芸人「こなぱぱ」。大柄な父・はじめさん、小柄で愛らしい娘・小夏さんが、親子ならではの息の合った掛け合いで人々を笑わせ、和ませる。

 「コントのネタは、2人のなにげない会話から拾っている」とはじめさん。「例えば、僕が言った『歌手になりたい』という言葉を小夏が『ガスになりたい?』と聞き間違えるといったやりとりが普通に面白い。父娘のなにげない会話がそのままネタになるのがこなぱぱの強み」と話す。



7歳で芸人デビュー

「自分にとって、小夏は『いるのが当たり前』という存在。いないと困る」と話すはじめさん。その言葉に、小夏さんも「私も同じかな。パパがいないと一人になっちゃうもん」と返す。

 実は、こなぱぱの2人は父子家庭。小夏さんが生後10カ月の時、はじめさんは妻と別居。以来、男手一つで仕事と家事一切をこなし、小夏さんを育ててきた。

 「小夏が幼稚園に入るまでは、日中と夜間2つの保育園の費用をまかなうため、豆腐店とパン屋さんの勤務を掛け持ち。ほとんど寝る暇もなく、仕事が終わったら小夏を夜間保育に迎えに行き、駐車場で仮眠を取ってからまた仕事に向かう、といった生活だった」と多忙を極めた生活を振り返る。

 小夏さんが幼稚園に入ると、ようやく仕事を豆腐店の勤務だけに絞ることができ、生活が少し落ち着いた。はじめさんは、今までの分も取り返そうと、小夏さんと一緒に多くの時間を過ごすようになった。

 2人がお笑い芸人としてデビューしたのも、そのころだ。きっかけは、小夏さんが7歳の時、はじめさんが演芸集団FECのオーディションに申し込んだこと。

 友人の結婚式の余興をきっかけに、人を笑わせる面白さに目覚めたというはじめさん。小夏さんが幼稚園に通い始めると、お笑い芸人になる夢をかなえようと人気コンビ「ゆうりきや〜」が講師を務める講座に参加。卒業公演後、「お笑いを続けたほうがいい」と勧められ、オーディションへの応募を思い立った。

 「でも、自分はその時30歳を過ぎていたから、誰もコンビを組んでくれない。どうしようかと思っていた時に、小夏がいた(笑)」

 2人でままごとのようにコントの練習をし、オーディションで披露したところ、見事合格。それから半年で舞台に立ち、あどけない小夏さんの姿に喝采が集まるようになった。

家族だからいつも一緒

 7歳で初舞台を踏んだ小夏さんも、この春にはもう高校生。小学5年生からはブラスバンド部での活動も始め、中学時代はブラスバンド部、勉強、お笑いの3つをこなす多忙な毎日を送った。だが、どんなに忙しくとも、お笑いをやめようと本気で思ったことはないという。

 そんな娘に、父は「お笑いも部活も途中であきらめず、どんなにボロボロになっても結果を出す。小夏、お前すごいな」とエールを送り、小夏さんも「パパは塾の時とか、どんなに睡眠時間が短くても迎えに来てくれる」と少し照れながら話す。

 「他の人から見たら、自分たちの会話のすべてがコントみたいに見えるはず」と笑う2人。 「こなぱぱは、練習時間の短さには自信がある(笑)。でも、親子だから2人はいつも一緒にいる。その意味では、毎日が練習なのかな」  小夏さんの高校受験による昨年末からの活動休止期間を終え、この春、新たなスタートを切るこなぱぱ。これからも、父娘ならではの掛け合いが観客を沸かせてくれるに違いない。

(日平勝也)



プロフィール

よなは・はじめ (芸名 パパ)
 1972年石垣島生まれ、北谷町育ち。結婚式の余興で人を笑わせることに目覚め、豆腐店に勤務しながらお笑い芸人を志す。2007年、男手一つで育てた1人娘の小夏さんと演芸集団FECのオーディションを受け、合格。親子芸人「こなぱぱ」としてデビューし、舞台・テレビ・ラジオで活動を続ける

よなは・こなつ (芸名 こなつ)
 2000年生まれ。生後10カ月から、父・はじめさんに男手一つで育てられる。7歳の時、はじめさんと共に受けたFECのオーディションに合格。はじめさんとコンビを組み、お笑い芸人「こなぱぱ」として活動を続ける。小学5年生から山内小学校、次いで山内中学校の吹奏楽部でも活躍。今年の4月、高校に入学

出演予定
FEC定期公演お笑い劇場 次回4月16日(土)19時〜(30分前開場) 那覇市ぶんかテンブス館4階 テンブスホール
こなぱぱのブログ
http://feckonapapa.ti-da.net/

このエントリーをはてなブックマークに追加



与那覇 はじめさん小夏さん
娘が父を「よしよし」と慰める、コントで人気のポーズをとる与那覇はじめさん(左)と小夏さん。小夏さんが7歳の時、初舞台を踏んだ思い出の場所「テンブスホール」にて=那覇市牧志の那覇市ぶんかテンブス館
写真・村山 望/撮影協力・那覇市ぶんかテンブス館
与那覇 はじめさん小夏さん
生後間もない小夏さんを抱くはじめさん
与那覇 はじめさん小夏さん
2008年、まだあどけない8歳の小夏さんと。父娘2人で決めポーズ!
与那覇 はじめさん小夏さん
2012年、小夏さん12歳。テレビ番組のロケ中のひとコマ
>> [No.1615]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>