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[No.1991]

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「島ネタCHOSA班」2023年07月06日[No.1991]号



 沖縄旅行の下調べをしていた県外の友人が、うるま市の面白い喫茶店を見つけ ました。地元で栽培された小麦を自分で焙煎(ばいせん)して、麦茶として飲むこ とができるそうです。ぜひ調べてください。 

(那覇市 ウイートニー・ヒューストン)

地元産小麦で麦茶の焙煎体験⁉

 地元産の小麦を使用した麦 茶の焙煎(ばいせん)体験とは 面白い試みです。訪れたのは、 うるま市勝連にある「宿&喫 茶アガリメージョー」。畳敷き の店内は祖父母の家を訪れた ような、懐かしさを覚える空 間です。店主の眞榮里良人さ んに話を聞きました。

 店名の「アガリメージョー」 は眞榮里家の屋号とのこと。 長男家系で生まれ育ち、実家 を継いだ眞榮里さんは「何か 面白いことをしたいという気 持ちに駆られて」実家を改装。 「地域の文化を楽しむ泊まれる 喫茶店」をコンセプトに20 19年にオープンしました。 仏壇も残しているため、お盆 や正月、シーミーなどは休業 し、親戚が集まるそうです。

体験通して文化を楽しむ

 そんなユニークな同店のメ ニューの一つが、麦茶の焙煎 体験「本気の麦茶」。使用する のは、伊計自治会が中心とな り、2016年に約 50 年ぶり に復活栽培させた伊計島産の 無農薬小麦です。

 眞榮里さんは、うるま市内 の離島の地域おこしに関わる 団体が前職。前職を通して小 麦栽培を復活させた伊計自治 会の玉城正則会長と出会い、 小麦から麦茶もできるという ことを教えてもらっていまし た。「焙煎してみたら楽しく て、香りが良く、おいしかった んです。焙煎を体験してもら い、伊計島の話などもトータ ルで伝えた方が価値が高いと 思って」メニュー化しました。

 「本気の麦茶」というネーミ ングには本気で続けていくと いう思いと、「島おこしに取り 組む伊計自治会長の本気の姿 を応援したい」という思いな どが込められています。売り 上げ(1000円)の半分を伊 計自治会に寄付しているとい い、合計の寄付金はこれまで に 10 万円に達したそうです。

 さっそく焙煎を体験させて いただきましょう! あらか じめ9割ほど焙煎された小麦 を仕上げていくというシステ ムだそう。まずフライパンで 小麦を煎(い)っていくと、す ぐに香ばしい香りが漂い始め ます。少したつと小麦がフラ イパンの上で動き出しました が、眞榮里さんいわく今回は 「恥ずかしがりやの小麦」との こと。小麦の粒がポップコー ンのようにはじけることもあ るそうです。5分ほどで焙煎 が完了するとミルで粗めに挽 (ひ)き、急須に入れ、抽出し て出来上がりです。

 ホットとアイスの両方を飲 み比べができ、まずはホット をいただくと、香ばしくて、ほ んのり甘みも感じます。次に アイス。麦の茎で作った麦わ らストローで飲みます。アイ スはさらに甘みを感じます。 工程の合間の眞榮里さんのト ークも好評で、小麦のこと、伊 計島のこと、眞榮里さんの思 いなどを知ることもできます。

「小麦コーヒー」も誕生

 同店では「小麦コーヒー」も 提供。「本気の麦茶の副産物」 だといい、失敗から偶然開発 につながったもので、焙煎を さらに深煎りにした小麦を使 ったコーヒー風味の「穀物コ ーヒー」です。

 そちらも飲ませてもらうと、 香ばしく、すっきりとした苦 みもあり確かにコーヒー感覚 で飲むことができます。マイ ルドで飲みやすい豆乳ラテも 提供。ノンカフェインなので、 お子さんや妊娠中の方にもお すすめです。

 地域の文化も体験できるア ガリメージョー。実家を守り ながら、文化やここでしかで きない体験を発信している本 気のお店でした。



地元産小麦で麦茶の焙煎体験

宿&喫茶アガリメージョー
うるま市勝連平敷屋3661番地
☎090-1710-4106
営業時間:11時30分~16時
定休日:不定休
https://efg9042314.wixsite.com/e-fg

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地元産小麦で麦茶の焙煎体験
眞榮里良人さん
地元産小麦で麦茶の焙煎体験
仏壇のある店内。ナポリタン、コーヒー、ぜ んざいなどのメニューも。Wi-Fiも完備
地元産小麦で麦茶の焙煎体験 地元産小麦で麦茶の焙煎体験 地元産小麦で麦茶の焙煎体験
小麦をフライパンで煎(い)っ て、ミルで砕き、お湯を注いで 完成。ホットとアイスを飲み比べ ることができます
地元産小麦で麦茶の焙煎体験
小麦コーヒー(右)と 小麦珈琲の豆乳ラテ
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