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[No.1961]

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「島ネタCHOSA班」2022年12月08日[No.1961]号



 先日、那覇中央郵便局に足を運んだ時、2階に「沖縄郵政資料センター」という施設 があることに気が付いたので、立ち寄ってみました。沖縄の郵便の歴史が分かり、また琉 球切手など貴重な資料もたくさんあり、勉強になりました。皆さんにもこの施設をぜひ知っ てほしいので、島ネタCHOSA班でも紹介してください。

 (那覇市 ジョー・ネンガ)

沖縄郵便の歴史を知れる施設!?

 那覇中央郵便局には何度か 足を運んだことがあるものの、 「沖縄郵政資料センター」には 気が付かなかった調査員。ま ったくもって不覚です!

 沖縄郵政資料センター

 というわけで、気合いを入 れ直して調査に臨むことにし た調査員。さっそく、壺川の那 覇中央郵便局へ。

 2階に上がると税関がある のですが、その隣(北側)が沖 縄郵政資料センター。開館時 間は平日の 10 〜 16 時まで。予 約なしで、無料で見学が可能 です(団体は要予約)。

 調査員を出迎えてくれたの は、センター長の金城功(いさ お)さん。金城さんに案内して いただきながら、順路に沿っ て展示を見ていきましょう。

 まず驚かされたのは、琉球 王国時代の通信事情の紹介か ら展示がスタートしているこ と。うーん、スケールが大き い! 船が近づくと、火と煙で 合図を伝える「のろし」を上げ て、島から島へと伝えていた 様子などが、ジオラマの映像 を交えて楽しく学べます。ジ オラマは子どもたちにも人気 だとのこと。

 続いて、近代郵便制度が始 まった明治時代の展示。「本土 では前島密が近代郵便制度を 広めましたが、沖縄では、真中 忠直(まなか・ただなお)が最 後の琉球国王・尚泰王の協力 のもと、郵便制度を広げてい きました」と金城さん。真中忠 直は「沖縄の郵便の父」と言わ れる人物なので、ぜひとも覚 えておきたいところ。

苦難の歴史映す展示

 ここまでが展示スペースの 半分で、残り半分は戦後の事 情について。焼け跡の中から 再スタートした郵政事業の復 興の歴史を振り返ります。

 調査員の目に入ってきたの が、赤いポスト。ちょっと小ぶ りで、不思議な形をしていま す。「これは、米軍が廃棄した アセチレンガスのボンベを利 用した代用ポストです。戦争 で郵便局舎やポストなど全て が破壊され活用できなくな り、あるもので工夫して作っ たわけですね」。なるほど、先人 の苦難と知恵がうかがえます。

 そのほかの見どころは、戦 後の郵便業務の復興期に発行 された「久米島切手」。米軍が ザラ紙にガリ版刷りで印刷し、 局長が一枚ずつ押印した久米 島切手は、130シート発行 され、そのうち144枚しか 利用されなかったそう。なか でも、「エンタイア」(実際に投 函され、消印が押された切手) は世界にここだけ、1通しか 現存しないという大変貴重な 資料です。

 展示を締めくくるのは、米 軍統治下の 27 年間に、248 種が発行された琉球切手。代 表的な切手をパネルで展示す るほか、248種のうち、現在 収集されている切手の一覧も 展示されています。

 「琉球切手は1966年ごろ にブームが頂点に達し、郵便 局には多くのマニアが押し寄 せました。投機対象ともなり、 最終切手となった 72 年4月 20 日の切手趣味週間(ユシビン)の 発売には、約2万人が琉球郵 政庁のある那覇東郵便局に集 まり、レッカー車や警察も動 員する大混乱になったんです」 と、金城さんは興味深いエピ ソードを紹介してくれました。

 「琉球王国から始まり、明治、 そして戦後に至るまでの沖縄 郵政の貴重な資料が一堂に展 示されている施設は、他には ありません」と金城さん。

 「展示物を通し、先人が歩ん できた苦難の歴史を記憶にと どめてもらいたいですね」と 話してくれました。

 折しも 12 月は年賀状シーズ ン。投函ついでに那覇中央郵便 局に足を延ばし、施設を見学 してみてかいかがでしょうか。





見学のご案内
那覇市壺川3-3-8 那覇中央郵便局2階
開館時間 10~16時
休館日 土曜・日曜・祝日および毎年12月29日~1月3日
☎098-854-0255
入場無料

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