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[No.1862]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2021年01月14日[No.1862]号



 紫外線に負けずに育った県産の植物は、さまざまな健康パワーを秘めています。今回、島ネタCHOSA班は、ある身近な植物の葉を煮出して飲む本島北部の「いしまき茶」の情報をキャッチ。動脈硬化を予防し、糖尿病のリスクを低下させる可能性があるというのですが…!?

「いしまき茶」の健康パワーを解明!?

 これが本当なら「肥満県」と呼ばれるようになって久しい沖縄県民にとっては朗報ですが、果たして…!?

身近な植物を利用

 読者の皆さんから「ゆくしよ〜?」との声が聞こえてきそうですが、情報の出どころはしっかりしていますよ。

 それは、昨年、イギリス栄養士会のオンラインジャーナルに発表されたとある論文。英語で書かれていますが、タイトルを翻訳すると「沖縄の高血圧および脂質異常症における、オオイタビの治癒力と有益な作用の可能性」(共著)となります。

 とはいえ、英語の論文とあってはなかなか歯が立ちません。そこで、論文の著者の一人である医療法人陽心会・大道中央病院の権田憲士院長にお話を聞くことにしました(権田院長は、福島県立医科大学の特任教授でもいらっしゃいます)。

 インタビューの当日、ニコニコと笑顔で登場した権田院長。まず、オオイタビとはどんな植物なんでしょう?

 「民家の石垣や壁などにつるを伸ばして覆うクワ科の植物です。街中にも生えていますから、見てみますか?」

 ええっ、そうなんですか。ぜひぜひ、ということで、オオイタビに覆われた壁に案内してもらうと…。あれれ、本当に街中でもよく見かける植物ですね(写真参照)。こんな身近な植物に、秘められた力があるとは驚きです!

 でも、どうしてオオイタビに注目したのですか?

 「当院の利用者の方から、オオイタビを煮出した『いしまき茶』に、血圧を下げる効果があるかもしれないと聞いたことがきっかけです」

メタボや高血圧等を改善

 聞けば、名護など本島北部地域では、かつてオオイタビをお茶代わりに飲むという風習があったそう。オオイタビが壁や石に巻き付く性質があることから、地域では「いしまき茶」と呼ばれていたそうです。

 「オオイタビの効能を調べるために、高血圧や脂質異常症、肝機能障害、痛風などの数値が少し高めで、薬の処方までは必要としない方々の同意を得て、オオイタビのお茶を1日約200〜300㍉㍑飲んでもらいました」

 その結果、3カ月後にはコレステロール値が明らかに改善。肥満度も低下し、血圧、尿酸などの数値も有意に低下したことが分かったそうです。「この調査結果は、オオイタビのお茶に、動脈硬化を予防して糖尿病のリスクを下げる可能性があることを示唆しています」

 オオイタビが健康にプラスの影響を与えるメカニズムには未解明な部分も多いそうですが、健康に有益に働く抗酸化物質が関与しているのではないか、とのこと。

 「沖縄の植物は、抗酸化物質が豊富。オオイタビにはルチンを含む4つのフラボノイド配糖体が同定されています」と権田院長は話します(ちなみにフラボノイドとは、抗酸化作用が強く、人間の生理調整機能に働きかけることから健康との関連が注目される成分です)。

 ただ、風味のほうはいまひとつということもあってか、最近はオオイタビのお茶を飲む風習もなくなってきたそう。飲用の方法はオオイタビの新芽を摘み水洗いして、7分ほど煮出したお茶を飲むという簡単なものですが、いくつか注意点も…。

 まず、オオイタビと酷似しており見分けがつきにくい「ヒメイタビ」だと効能がないこと。また植物には毒性のものもありますから、事前に詳しい方に相談を。それと他人の敷地から勝手に葉を摘んで利用するのは違法になるのも気を付けたい点ですね。

 ともあれ、地域に伝わる知恵に、現代医学から裏付けが与えられたというのは素晴らしいことですね。今後、研究がさらに進めば商品化の見込みもあるかもしれませんので、大いに期待しましょう!



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「いしまき茶」の健康パワーを解明
医療法人陽心会・大道中央病院院長、福島県立医科大学特任教授の権田憲士さん
「いしまき茶」の健康パワーを解明
オオイタビに覆われた壁=那覇市内
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