沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1840]

  • (木)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2020年08月13日[No.1840]号



 5月28日付の琉球新報本紙で、沖縄食糧の若手社員の方が「上級米飯食味評価士」に合格した記事が載っていましたね。試験の様子など、もっと詳しく知りたいです。ついでにおいしいお米の炊き方についてのアドバイスがあれば教えてもらいたいです!

(那覇市・おむすびさん)

全国2人目のお米の評価士が沖縄に!?

 お米が目覚めて踊りだす天気予報でおなじみの沖縄食糧。先月には、創立70周年を迎えたというニュースも新聞紙面をにぎわせましたね。

 その沖縄食糧で、今年、「上級米飯食味評価士」に合格したのが同社品質管理部に所属する宇良浩乃進(ひろのしん)さんです。調査員は、宇良さんに直接お話を聞こうと浦添市の沖縄食糧に向かいました。

25歳の好青年

 さて、ここで上級米飯食味評価士とはどのような資格なのかご紹介しておきましょう。

 資格の認定を行うのは、日本精米工業会。高い知覚能力を持ち、さまざまな米飯(ご飯)の味を的確に評価できる人に与えられます。驚きなのは、その難易度。合格者が出たのは全国で15年ぶり(!)、なんと宇良さんが2人目で、県内初なのだそう。

 そんなすごい資格を持つのはいったいどんな人なんでしょうか。グルメ漫画「美味しんぼ」の海原雄山のようないかつい人物をイメージしていた調査員ですが、姿を現したのは爽やかな好青年。年齢は25歳と聞きびっくり! しっかりした口調で、調査員の質問に答えてくれました。

 那覇市で生まれ育った宇良さん。「祖父が農業をしていて、小さい頃から手伝っていました」とのことで、その経験を通して食のありがたみを感じていたといいます。

 琉球大学農学部を卒業後、「毎日食べるお米の仕事に携わりたい」との思いから沖縄食糧に入社。今年で入社4年目だそう。

 何か子どもの頃から味覚に関する特殊なトレーニングをしていたということはなく、入社後、米飯食味評価士の初級資格を受験し、続いて上級資格の取得を志したことをきっかけに、「常にお米を意識しながら食べ始め、真剣に向き合うようになった」と話します。

認定試験の様子は?

 さて、ここで、上級米飯食味評価士の認定試験の様子について聞いてみました。

 試験は年1回。選考条件は2つあり、1つは米食味評価精度試験。課題となるお米について、「におい」「光沢」「粘り」「硬さ」を9段階で評価し、総合評価を判定するという課題が与えられます。求められるものは正確で客観的な評価。「まず、においをかいで、艶と光沢を確認します。硬さ、粘りも慎重に見極めますね」と宇良さん。毎食お米を慎重に味わい、感覚を鍛えていったそうです。

 2つ目の条件は、日本精米工業会の「米飯食味評価基本マニュアル」に基づく報告書の作成。

 問題はその数で、なんと50件以上(!)の作成が求められます。テーマも自分で考えなければならず、この作業に半年ほど要したそう。ひええ〜、本当に取得が大変なんですね。

 ちなみに受験資格も、日本精米工業会が定める一定の基準をクリアした事業所にしか与えられず、沖縄食糧は現在全国で18しかない事業所の一つなのだそう。「今回の合格は、会社の恵まれた環境や、先輩方のサポートがあったからこそ」と宇良さんは強調。資格は2年毎に更新が必要なので「油断はできない」と気を引き締めます。

 さて、最後に宇良さんにおいしいお米の炊き方を聞いてみると―。「好みは人それぞれなので、どれが正解とは言えません。ただ、お米と水の分量をしっかり計ってからお米を炊けば、水の量による炊きあがりの違いが分かるようになります。いろいろな条件を試して、自分の好みを見つけて召し上がっていただくのが一番ですね」。うーん、なるほど! 調査員もやってみます。

 「お米は主食としてなくてはならないもの。そのお米に携われているのが幸せ」と宇良さん。「これからもしっかりお米に向き合っていきたいですね」と頼もしい笑顔を見せてくれました。



このエントリーをはてなブックマークに追加


全国2人目のお米の評価士が沖縄に?!
宇良浩乃進さん
全国2人目のお米の評価士が沖縄に?!
お米の味をチェックするのも宇良さんの大切な仕事です=浦添市の沖縄食糧(提供写真)
>> [No.1840]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>