沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1824]

  • (土)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2020年04月23日[No.1824]号



 沖縄市照屋の銀天街商店街にある「高田爬虫(はちゅう)類研究所」が気になっています。ぜひ調べてください。

(宜野湾市 マイク・パイソンさん)

謎の「爬虫類研究所」に潜入!?

 「高田爬虫類研究所」ですか。商店街にそんなミステリアスな所があったとは! さっそく調査に行ってみましょう。

 現場に到着すると看板には「高田爬虫類研究所 爬虫類・両生類専門店ディノドン」と書かれています。扉を開けると、室長の大谷勉さんが出迎えてくれました。恐る恐る見回すと、さまざまなヘビやカメたちがそれぞれのケージの中で穏やかに過ごしております。ほっ。

爬虫類の生態調査がメイン

―ここはどんな所ですか。

 「あくまでも爬虫類の研究所です。研究費を稼ぐためにペットショップと有料の展示室(500円)を備えています」

―研究所ではどんな活動をしているのでしょう。

 「さまざまな機関から依頼を受け、沖縄に生息する両生・爬虫類の生態調査などを行っています。その他にもやんばるの自然観察ガイドなども務めています」

 時々、調査やガイドなどでやんばるに滞在することがある大谷さん。現在は調査などで忙しいため、飼育数を縮小しているそう。それでも約50匹の爬虫類の他、餌用のコオロギなども1人で育てています。

―爬虫類を飼うのは大変そうなイメージですが。

 「温度やライトなど基本的なことを設定してしまえば手間が掛かりません。爬虫類は食いだめできるので、半月ぐらいの旅行は平気。毛もないので犬や猫に比べて掃除も楽ですよ」と大谷さん。

 気になるのが「高田」という名前。高田爬虫類研究所は爬虫類研究者で「ヘビ博士」として知られる高田栄一さんが東京で創設した研究所とのこと。

 大谷さんは1971年に大阪府の高田爬虫類研究所常設館に入所後、各地の常設館勤務を経て、1975年に沖縄こどもの国にできた爬虫類館に派遣されたといいます。当時は「大きなワニなども含め1人で1000匹飼育していました」というから驚きです。

 その後、2003年に高田爬虫類研究所沖縄分室として独立。かつて日本各地にあった常設館もなくなり、現在は研究所を継承。分室ではなく「高田爬虫類研究所」となりました。

 大谷さんは爬虫類に関する書籍も約10冊出版し、爬虫類・両生類情報誌「クリーパー」での連載も担当。爬虫類の知識が豊富です。

沖縄のハブを中心に展示

 展示室の中も見せてもらいました。沖縄に生息するハブを中心に展示。サキシマハブは個体変異が激しく、個体により模様や色が違うなど、実物を前に大谷さんが解説してくれました。

―かまれたりしたことは?

 「毒ヘビにかまれたことはないです。人間が嫌がることは動物も同じ。ヘビも1カ月くらいすると飼い主の扱い方とかにおいとか動きとかで分かってくれます。そこまでいけば大丈夫です」

 店内のケージはすべて大谷さんの手作りです。その他にも、ワニの牙で作ったピアスやストラップ、タイピンのほか、蛇の脊椎でできたストラップなども制作。以前飼育していたワニから抜け落ちた牙や交通事故などで死んでしまったハブからアイデアが浮かんだそうです。爬虫類好きにはたまらないグッズです!

 大谷さんはハブ酒作りもするそうで、生きた健康なハブを使って、しっかりと下処理しているため、臭みのないまろやかな味になるそう。

 実際に爬虫類を見ながら大谷さんの話も聞くことができるこの研究所は、爬虫類好きには魅力的な空間のはず。調査員も爬虫類の扱い方や餌の管理、ハブ酒の作り方まで興味深い話が聞けて有意義な時間を過ごすことができました。



高田爬虫類研究所
沖縄市照屋1-15-3 2階
☎080-9647-7031
※調査活動などで外出する場合あり。要事前連絡

このエントリーをはてなブックマークに追加


謎の「爬虫類研究所」に潜入!?
ペットコーナー。飼育の指導もしてくれます
謎の「爬虫類研究所」に潜入!?
ペットコーナーで見つけたマダガスカル産のテングキノボリヘビ(上)
謎の「爬虫類研究所」に潜入!?
ペットコーナーで見つけたギリシャリクガメ(右)
謎の「爬虫類研究所」に潜入!? 謎の「爬虫類研究所」に潜入!?
大谷さんはワニの牙やヘビの脊椎を使ったユニークなアクセサリーも制作
>> [No.1824]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>