沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1777]

  • (木)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2019年05月23日[No.1777]号



 先日、北部へドライブに行ったのですが、恩納村真栄田岬の近くの県道6号線沿いに小さなシーサーらしきものがところどころに置かれていました。夕方だったのではっきり見えなかったのですが、あれって何ですか?

(那覇市 ぶた丸さん)

県道6号線に点在するシーサー!?

 それ、調査員も見掛けたことがあります。地域の人が置いたシーサーなのかな〜、なんて思ったりしていたのですが、どうなんでしょう? それでは真相を確かめるべく、恩納村へ行ってきます!

看板代わりに設置

 国道58号から県道6号線へ入り、真栄田岬方面へ進んでいくと―。あっ、ありました! 左側にポツン、ポツンと小ぶりのシーサーが点在しています。しばらく走ると、今度は右側に。おや、以前は気が付かなかったのですが、シーサーの下に何か書いてあります。しかも色がきれいに塗られています。車を安全な場所に止め、見てみると「たつ房」と書かれています。スマートフォンで調べると「手作り工房 たつ房」という工房が見つかりました。

 地図を見ながら工房へ行くと、屋根や庭、入り口付近などあちこちにシーサーがいます。いかつい顔、かわいい顔、ユニークな姿をしたシーサーに迎えられ、中に入るとまたまたたくさんのシーサーがずらり。

 さっそく代表の比嘉辰弥さんにお話を伺いました。

 「県道6号線に最初にシーサーを置いたのは5〜6年前のことで、当時は『ひで房』という父の工房でした。シーサーは案内のための看板みたいなものですね。だいぶ色あせたり、台風の影響で破損したりしていたので、昨年から修復をしているところです」

 そうだったんですね。比嘉さんは、ありきたりな看板よりは「これ面白いな」と思ってもらえて、かつ地域の人に嫌がられないようなものを置きたいと考えているとのこと。一つ一つ色を塗り直し、シーサーのそばにジンベイもくっつけるなどバージョンアップさせているそうですよ。

 「実は、シーサーが一体いなくなったことがあるんです。『え〜、どこ行ったんだろう〜』と思っていたら、一週間後に戻されていました。いろいろ考えてみたんですが、たぶん子どもが持って行ったんじゃないですかね? それで、お母さんに『あんたどこから持ってきたの! 戻してきなさい!』とか言われて元に戻したのかなって。持って行くこと自体よくないことだけど、私たちはそんなにほしかったのかと、ちょっとうれしさもありました」と笑います。毎朝、比嘉さんはここを通るたびにシーサーがいることを確認しては「よし、今日もいる。頑張れよ!」とつぶやいているそうです。

 一方、シーサーがダンプカーにひかれて粉々になったというエピソードも。悲しいですね…。

楽しんでもらいたい

 同工房にあるのはすべて漆喰シーサーで、かわいらしいシーサーが多いです。ユニークな作品も飾られていて、その一つに「南来琉(なんくる)戦士シーサーンチュ」があります。一見、普通のシーサーなのですが、顔に仮面をカパッとはめて戦士に変身させることができるのです。他にも、ポーク缶に乗せたシーサーがいて、ボタンを押すと沖縄民謡が流れたり、護得久栄昇先生の「チャメー!」という声が聞こえたりと楽しい仕掛けも。

 比嘉さんは「シーサーといえば『たつ房』だよね、ここって楽しいよね、と言ってもらえたらうれしい」と話します。これからも工房内に手を加え、さらに楽しい空間にしていくそうなので、しばらくは訪れるたびに何かしら変化のある工房になりそうですね!



手作り工房 たつ房
☎098-964-4210

このエントリーをはてなブックマークに追加


県道6号線に点在するシーサー
代表の比嘉辰弥さんとスタッフの玉那覇督子さん
県道6号線に点在するシーサー 県道6号線沿いに設置されたシーサーたち
県道6号線に点在するシーサー
「南来琉戦士シーサーンチュ」
>> [No.1777]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>