沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1639]

  • (土)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2016年09月22日[No.1639]号

「オオゲジ」がTシャツに

 「オオゲジ」ってご存じですか? 一般的にはゲジゲジと呼ばれることが多い、長い脚がたくさんついた生き物の仲間です。なんと、そのオオゲジをあしらったTシャツがあるそうですが…。

(那覇市 ゲジラーさん)

「オオゲジ」がTシャツに!?

オオゲジ…。名前からして、なんだか恐怖感をあおりますね。そのオオゲジがTシャツの柄になっているって、想像もつきませんが、一体!?

30本の長〜い脚

 というわけで、まずは「オオゲジ」についてインターネットで検索。すると、画面に現れたのは、たくさんの長〜い脚がついた生き物の画像! この手の生き物が苦手な人には少々ショッキングかも?

 調べてみると、オオゲジとは、「節足動物門ムカデ綱ゲジ目」に属する生き物。日本のゲジ目の生き物には、ゲジととオオゲジの2種がいます。(「ゲジゲジ」と呼ばれることもありますが、正式な和名は「ゲジ」)

 で、今回の主役、オオゲジは、名前の通り大型のゲジ。県外でも関東以南に生息しているそうですが、南西諸島のオオゲジは特に体が大きいことで知られているそう。沖縄本島では森や洞窟などに住んでいますが、夜行性のため普段見かけることは少ないようです。

 体長は45〜60㍉ほど。意外に小さいと思うかもしれませんが、これは胴体の部分の長さ。30本もある脚を広げた全体はおよそ30㌢にも及ぶとか。そ、そんなに大きいの!?

意外とかわいい!?

 さらに調査を進めたところ、オオゲジのTシャツを制作しているのは、消しゴムハンコで沖縄の生き物のTシャツを作って販売している「まえだ工房」と判明。ネットでの受注販売が中心で、実店舗は構えていないそうですが、今回、特別にTシャツの実物を見せてもらえることになりました。

 出迎えてくれた主宰の前田聡子さんに、さっそくTシャツを見せてもらいます。

 どんな絵柄かとビクビクしていた調査員ですが…。あれ? 意外にかわいい!?

 ホラー系の雰囲気を想像していたのですが、写真で見るとちょっと気持ち悪いかも…と思っていたたくさんの脚も、オレンジで鮮やかに描かれており、ほっそり優雅に見えてくるから不思議です。

 「嫌われ者のオオゲジですが、よく見るととても美しい生き物なんです。30本の脚がからまることなく動く様子は本当にきれいですよ」

 なるほど、前田さんが消しゴムハンコを使って描いたオオゲジからは、その美しさが伝わってきます!

 「制作のきっかけは、沖縄こどもの国で今年の3月に開催された『ART with Zoo』というイベントに参加したこと。その説明会で、当時こどもの国さんで飼育していたオオゲジを見せてもらい、これはすごいと思って…」

 確かにインパクトがありますよね。

 「まえだ工房では、あまり注目されない沖縄の生き物のTシャツや手ぬぐいを作っているんです。それで、オオゲジはぜひやらなければ! と(笑)。」

 制作は大変だったんじゃないですか? 脚がたくさんありますし…。

 「彫るのは意外に簡単だったんですが、絵柄を決めるのが大変で…。1カ月かけて、何度もデッサンを描き直しました」

 反応はどうですか?

 「もちろん無理という人もいらっしゃるのですが、『かゆくなりそうね〜』なんて言いながらも買っていかれた女性もいますよ(笑)。あと、本土のハンドメード作品の通販サイトから声がかかり、取り扱ってもらえることにもなりました」

 オオゲジの優雅な魅力を引き出したまえだ工房のTシャツから、沖縄の生き物の魅力をまた一つ知った調査員でした!



このエントリーをはてなブックマークに追加


「オオゲジ」がTシャツに
まえだ工房の前田聡子さん
「オオゲジ」がTシャツに
ジャーン! これがオオゲジTシャツ。首元にオオゲジがあしらわれています。脚の形が意外にも優雅で繊細!?
「オオゲジ」がTシャツに
消しゴムを彫ったオオゲジハンコの原版。サイズが大きいため、いくつかのパーツに分けて彫っています
「オオゲジ」がTシャツに
前田さんが撮影した、かつて沖縄こどもの国で飼育されていたオオゲジ(現在は残念ながらいないそうです)
>> [No.1639]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>