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[No.1497]

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「島ネタCHOSA班」2013年12月12日[No.1497]号

ポンポンおじさんの正体は

 何年も前から県内でよく見る「ポンポンおじさん」。頭に大きな花を付けていてポンポンを持っているなど、外見がとても怪しいです。「息子を交通事故で亡くしたことから、沿道に立って交通安全を訴えている」など、いろいろなうわさ話も耳にしますが、真実が気になります。「ポンポンおじさん」について、詳しく調べてください。

                                           (34歳 男性 Mさん)

ポンポンおじさんの正体は?

 確かに! 「ポンポンおじさん」っていつから沿道に出ているんだろう。初めて見たときはとてもビックリしました。今も那覇市内でよく見かけるので、年齢も気になりますね。
 うわさの真相は本人に聞いてみないと分からないですね。よし! 早速探しに行ってきます。


目立つために外見飾る

 毎朝、出勤時に那覇市おもろまちにある「あっぷるタウン」前を通るのですが、向かいの道で何度か見かけた気がするので行ってみました。…いない。数日間、時間をズラして見に行ってみましたが、やっぱりいないようです。

 ひとまず、別件を済ませるため中部へ。宜野湾市宜野湾の沖縄国際大学前を通ると、正門の向かいにポンポンおじさんが立っていました。「えぇー!」驚く調査員。急いでポンポンおじさんに声をかけます。

 「ポンポンおじさん、こんにちは〜。」

 「私は『ポンポンおじさん』ではありませんよ。『おはようおじさん』です」

 あれ? そうだったんですか。失礼しました。おはようおじさん、ちょっと前まであっぷるタウンの沿道に立っていませんでしたか?

 「いました。一つの場所に一カ月ほどいて、その後は移動するようにしているんです。沖国には数日前から来ていますよ」

 そうなんですね。とにかく会えて良かった。しかし、おはようおじさん…相変わらずすごい格好ですね。この花の帽子は手作りですか? よく見ると、ヘルメットに花が付いていますね。ポンポンも、なぜ持っているのですか?

 「はい。ポンポンを持つ理由は、色がきれいだからです。時々、軍歌を歌いながらポンポンをふって踊っています。花はね、これがないと殺風景でしょ? 身なりが明るくないと目立ちませんからね。このままバイクに乗るので、風がある日は花が飛ばないように注意しています」

 ユニークなおはようおじさん!見る人が楽しめて、自身も目立つように工夫していたようです。

牧師目指してPR

 おはようおじさんは、話している最中にもバスが通ったら笑顔で手をふっています。通学中の学生など、不思議そうに見ている人もチラホラ。

 おじさん、名前や年齢を聞いてもいいですか? 県内のさまざまな場所に出没しているようですが、その理由も教えてください。

 「名前は金城博吉。糸満市出身の78歳です! 糸満高校の卒業生で、現在も糸満市に住んでいます。県内であいさつ回りをしている理由は、いつか牧師になりたいからなんです。独自で考案した教えを伝えていきたいと思っているのですが、それには支援者が必要です。ですので、県内のいろいろな場所に足を運んでPR活動をしています」

 そうだったんですね。牧師を目指して活動していたとは知りませんでした。「息子を交通事故で亡くしてから、沿道に立って交通安全を訴えている」といううわさは、どうやら違っていたようです。

 いつごろからPR活動をしているのでしょうか? また、それ以外はどう過ごしているのですか?

 「47歳までは横浜で新聞配達をしていました。地元に戻ってきて、約30年前からあいさつ回りを開始しています。私は朝起きてから11時までは、地理や歴史などの分からないことを勉強します。正午から準備してあいさつ回り。夜には帰宅します。土日も関係なく毎日出かけていますよ」

 なるほど〜。糸満市から、遠くは沖縄市までバイクに乗って幅広く活動しているおはようおじさん。怖くて近寄れないイメージがあったのですが、気兼ねなくいろいろ話してくれました。

 また道で見かけたときは、手をふってあいさつしようと思います。でもおじさん…バイクを運転するときは気を付けて。



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ポンポンおじさんの正体は
手作りの「花のヘルメット」。大きくてボリューム満点だ
ポンポンおじさんの正体は
ポンポンを持って踊る「おはようおじさん」こと金城博吉さん
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