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[No.1491]

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「島ネタCHOSA班」2013年10月31日[No.1491]号

引き出物になぜ毛布

 生年祝いを盛大に行う沖縄。私たちも米寿、カジマヤーは毎年お祝儀を準備して長寿をあやかっています。そこで一つ疑問が…。お祝儀のお返しがどこも「毛布」なんです。毎年もらっているので家の中は大変です。どうして「毛布」なんでしょう? 何か理由があるのでしょうか。

(八重瀬町 K・Kさん)

引き出物になぜ毛布?

 あ〜確かにそうですね。引き出物って毛布やタオルが多い!
 県民にとって、タオルや寝具はそんなに縁起の良いものなのでしょうか? そういえば、理由は全く分からないですね。今までよく知らずに渡したり受け取っていたりしていたもんだ。ちょっと恥ずかしくなります。早速、調査していきましょう。

昔の貴重品「寝具」

 那覇市牧志の「有限会社池原タオル」にやってきました。創業40年の歴史あるタオル屋です。毛布もたくさん置いてありますね。では、2代目店長の池原明さんにいろいろと聞いてみましょう。

 県内では引き出物に毛布やタオルが多く選ばれていますが、それはどうしてなのでしょうか?

 「お祝いはめでたいことだから、記念に残るものとして選ばれているのかもしれませんねぇ。うちの店では米寿やカジマヤー用に琉歌と長寿を祝う人の名前を記したプリントタオルも販売しています。タオルは使い勝手も良いので、人気がありますよ」

 なるほど。タオルはいろいろな場面で活躍しますからね。しかし、毛布はどうでしょうか? 何か別の理由があるのですか?

 「これは僕の祖母から聞いた話ですが、昔は子だくさんの家が多く、食べるだけで精一杯で寝具は貴重品だったようです。引き出物に毛布を贈ると、とても喜ばれたそうですよ」

 そうなんですか〜。引き出物に寝具が選ばれる理由はそこにあったのかもしれませんね。今の私たちは恵まれているな〜。

年齢や行事で選ぶ

 いい話を聞いてほっこり。ふと、県内で人気の引き出物が何か知りたくなりました。宜野湾市普天間にある「総合ギフト商社 有限会社シャディ沖縄」の店長を務める小橋川真喜子さんに話を聞いてみます。

 小橋川さん、引き出物で人気の高い商品を教えてください。

 「フェイスタオルとハンドタオルの2枚入りなどは人気ありますね。金額も1000円〜とお手頃です。毎日使いますし、たくさんあっても場所を取らないところも良いのかもしれません。最近では子どもが喜びそうなかわいらしいタオルや寝具も引き出物用にたくさん入荷していますよ」

 同社では、引き出物のタオルや寝具を100種類以上販売しているそうです。選ぶのに迷ってしまいそうですね。そういえば、祝い事によって選ぶ基準はあるのでしょうか?

 「特に決まっているわけではないのですが、基本的な選び方はありますよ。例えば出産祝いはタオルが良いですね。成人祝いはタオルケット、カジマヤーは毛布など、年齢や行事に合わせて引き出物の大きさも変わっていきます。もちろん引き出物は気持ちなので、それぞれの感性で購入するのが一番です」

 聞いておいて良かった。今後の参考にします。

 それにしても、引き出物って奥が深いんですね〜。ビックリしました。ちなみに、県外での一般的な引き出物は何でしょうか?

 「弊社は大阪に本社があるのですが、引き出物にはやはりお皿などの食器が多く選ばれているようです。タオルや寝具は県内独特の文化ですが、それにはちゃんとした意味があるんですよ」

 え!? 何ですかそれは?

 「タオルは『衛生面を気遣う心』を意味し、寝具には『温かいぬくもりを感じてほしい』という願いが込められています。どちらも『健康でいてください』というメッセージがあるんですよ」

 え〜そうだったんですかー! 感動する調査員。一見、不思議な文化ですがきちんとした意味があったようです。

 普段何気なく受け取り、渡していた引き出物。これからは相手の健康を願って届けようと思う調査員でした。

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引き出物になぜ毛布
池原明さん
引き出物になぜ毛布
たくさんのタオルや寝具が販売されている=那覇市牧志の「有限会社池原タオル」
引き出物になぜ毛布
引き出物の人気商品「タオル2枚入り」=宜野湾市普天間の「総合ギフト商社 有限会社シャディ沖縄
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