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[No.1484]

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「島ネタCHOSA班」2013年09月12日[No.1484]号

古波蔵には1丁目ない

 運送業の職に就いて約3カ月。担当している那覇市古波蔵には、2〜4丁目はあるのですが「1丁目」がありません。先輩に聞いても理由が分からず、ネットでもヒットしません。地名ってどうやって決まるのか教えてください。

(那覇市 さーねーさん)

古波蔵には1丁目ない?

 いやいや、1から始まるのが筋でしょう…と地図を確認してみると、あれー? 那覇市字古波蔵→古波蔵2丁目→同3丁目→同4丁目→おしまい。本当だ!なぜか抜けている1丁目。一つだけ残る字(あざ)。謎を解くべく那覇市役所へゴー!
 対応してくれたのは、都市計画部市街地整備課主幹の高良鋭さんと主査の石川清志さん。
 「まずは住所の仕組みを話しますね。住所は、土地の財産番号である地番と字(あざ)を組み合わせて○○番地として使います」と高良さん。番地は市役所に近い方から順に振っていくそうです。
 「しかし年月が経つと町は変わりますよね。土地を分けたり合わせたり、同じ敷地内に建物ができたりすると、欠番や飛び番、細かな枝番ができて規則性がなくなってしまうんです」と石川さんは説明します。お隣さんと何桁も違う番地になったりするということですね。でも、それって問題なんですか?
 「番地が不規則だと、郵便物などの誤配や遅配が起こりやすくなります。また、救急車などの緊急車両が現場を特定できず遅れる可能性もあります」と石川さん。
 番地の並びが複雑になると不具合があるんですね。「ですから、地域を道路や河川などでいくつかのブロックに区切り、住居表示を新しく整理していくわけです」と高良さんは続けます。

 隣接区と調整つかず…

 「古波蔵に関しては、3丁目と4丁目は埋め立て地ですし、2丁目は国道に沿っているので整理しやすかったんです」と当時を振り返る高良さん。では、なぜ字古波蔵は残ったんでしょう。高良さんは「もちろん1丁目として整理する予定でした。しかし保留になったのは、ほかの区と隣接していることが大きな要因ですね」と説明します。

 当時、隣接する与儀地区の土地区画整理が完了しないと字古波蔵を整理できなかったこと。そしてもう一つ理由がありました。「新しい住居表示をするには、地域の皆さんの理解が大事ですが、一部得られなかったようです」と高良さん。区画整理を機に、古蔵小学校を与儀区に編入しようという話があったそう。地域の名が付いた学校に愛着がある皆さんの気持ちをくんで保留になったそうです。

 実際に古波蔵一帯を訪ねました。3丁目、4丁目は道が碁盤状に走り、道路標示も分かりやすくなっています。国道507号を挟んだ2丁目は、一方通行の生活道が通る市街地のおもむき。対して字古波蔵地区は、車がひっくり返るかと思うほどの坂道や細い路地が入り組んでおり、土地勘がないと番地だけで目的地にたどり着くのは難しそう。

計画は生きていた

 「実は、取材の申し込みがあった時は驚いたんです。なぜ知っているんだろうって」と調査員に笑顔を向けるお二人。えっ?何の話ですか? 「ことし11月ごろ、古波蔵1丁目が誕生する予定なんです」と石川さん。なんとタイムリー。今回は約2年を掛けて「字古波蔵、1丁目へ生まれ変わるプロジェクト」(正式名称ではありません)を進行。住民説明会を重ねて理解を得、議会の承認も経て実現する運びとなりました。念願の古蔵小も1丁目です。

 これで1〜4までそろいますね。新しく古波蔵1丁目となった住居表示を早く見てみたい調査員なのでした。

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古波蔵には1丁目ない
高良鋭さん(左)と石川清志さん
古波蔵には1丁目ない
国道330号を挟んだ一帯
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