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[No.1442]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2012年11月15日[No.1442]号

国会議事堂に県産石!?

 僕のアパートはごみ出しのマナーが悪く、特に燃やすごみの日は、袋が荒らされ、生ごみなどのにおいがひどいです。他の地域はどうなっていますか? また、ごみ収集車で作業をしている人たちはどのような気持ちなんでしょうか?(浦添市 A・Sさん)

ごみ出しに地域差?

 なるほど。今まで、ごみを出す側の立場でしか人生を考えていませんでした。現場主義の調査班、さっそくアプローチしてみましょう。さて、どのエリアに出掛けるべきか…。調べてみると、特徴的な2市が挙がりました。
 まずはうるま市。環境省の全国調査で、1人1日当たりのごみ排出量(人口10万人以上50万人未満)の少なさが全国トップ10の常連です。2009年は全国2位、最新の2010年調査では、729・1g/人日で全国6位。携帯電話約8個分です。
 朝8時。うるま市立あげな小学校前で、うるま市清掃事業協同組合の理事長・平川宗眞さんの収集車と合流。後を追いかけます。住宅街の両側に、2戸に1カ所の割合で整然と置かれているごみ袋。先述の調査に表れている通り、1世帯当たり中型の袋1個程度しか置かれておらず、荒れた袋も見あたりません。収集車を追いかける調査員を「?」な顔で見ながらごみを出していた男性に声を掛けてみました。

地域全体で見守る

 「ごみ出しのルールはきちんと守るようにしていますよ。収集車が一度Uターンして、うちの前を通る時間に合わせて出しています。近所の人たちが互いに声を掛け合っているのが大きいと思いますね」

 さらっとおっしゃいますが、なかなか難しいと思いませんか。都市部でも地域の目が行き届いていることの大切さを改めて感じます。平川さんは、手際良く作業を進めながら、「以前は市と事業所が個別に契約をしていましたが、組合を作ったことで横の連携も図れるようになりました。市民一人一人の意識の高さもありがたいですが、私たち回収する側も互いに勉強し合っていくことが大切だと思いますね」と話します。

 「おはようございます」「お疲れさまです」—。収集する側とされる側があいさつを交わす姿が、朝日にまぶしく映りました。

16種まで細分化も

 さて、次に出掛けたのは名護市。県内で最も分別が細かく、2009年2月から16種まで細分化しています。同市環境対策課の謝花良竹さんは、「最初は戸惑いの声も聞かれましたが、きれいにして分けることで資源になると訴えることで、徐々に受け入れていただいていると思います」と評価します。

 同市の「総ごみ処理量の推移」を見ると、2008年の21907tから、2009年は17254tへ。たった1年で4653tも減り、市民意識が数字にはね返っています。

 朝8時。名護市環境企業組合の惣慶忍さんと共に、宇茂佐地区を回りました。この日は、プラスチック製容器包装回収日。惣慶さんは、袋を手に持ち、瞬時に回収・非回収を判断します。「まずは手に取ってみてください」と促された2つのごみ袋。同じ大きさ、中身はどちらもパンパンですが、一方は軽く、一方はずっしり重みがあります。

 「そう、重さも判断基準になります。こんな風に、紙に包んだりして回収できない物が隠されているでしょう。16分別導入時はね、1エリアで何百枚も非回収のシールを貼りましたよ」

 ある集合住宅のごみ置き場は圧巻。アパートの部屋のように番号が打たれ、「私が出しました」と分かるようになっています。 今回、2カ所の現場を回り、それぞれの市民の顔が見えた調査員。出したら終わり、ではない事実を教えてくれた平川さんと惣慶さんに敬意を表しつつ、足元のごみに「生まれ変わって帰って来いよ」と話し掛けたくなるのでした。


ごみ出しに地域差?
作業にあたる平川宗眞さん(左)=うるま市内
ごみ出しに地域差?
ごみ袋を手にする惣慶忍さん=名護市宇茂佐
ごみ出しに地域差?
ティッシュの箱1個も回収できない
ごみ出しに地域差?
1戸に1つ割り振られたごみ入れ
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