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[No.1441]

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「島ネタCHOSA班」2012年11月08日[No.1441]号

国会議事堂に県産石!?

 知人から、国会議事堂は本部町でとれるトラバーチンという石で造られたと聞きました。本当でしょうか?(宜野湾市 Sさん)

国会議事堂に県産石!?

 トラバーチン? あ〜さてさて、何のことやら。トラをバチンとたたいて調査終了ではダメですよね? やっぱり? よっし!!調べてみようじゃ、あ〜りませんか!

瀬底に良質な石灰岩

 まずは、トラバーチンとはなんぞやとゴソゴソしてみたところ、どうやら琉球石灰岩だということが判明いたしました…が! 国会議事堂との結びつきまでは分からず。もう一度、トラをバチン…あ、もういいですよね。

 那覇から車で2時間。訪れたのは本部町字大浜の本部町立博物館。対応してくれたのは、職員の友利哲夫さんと、館内に事務所を置いている本部半島ジオパーク推進協議会の研究員、比嘉啓一郎さん。

 「誤解されている方も多いのですが、正確には琉球石灰岩=トラバーチンではないんです」と比嘉さん。

 「そもそも、『トラバーチン』という言葉はラテン語に由来するんです。イタリアのローマ近郊にチボリという町があるんですが、このチボリでとれる石という意味だったんですね。で、その石が非常に良質な石灰岩だったので、だんだんと、『良質な石灰岩=トラバーチン』と呼ばれるようになっていったんです」

 ほぇ〜ラテン語なんですか。てっきりウチナーグチかと思ってました。

 ちなみに本部のどこでとれるんですか?

 「瀬底島です。あの島はトラバーチンで形成された島といっても過言ではないですからね」

 ということは、瀬底島では、昔からトラバーチンの採掘が行われていたってことでしょうか?

「そうじゃないんですよ」と今度は友利さん。

 「昔からやっていたわけではなくて、国会議事堂の建設のために採掘されたようなんです」

 おおっと! 国会議事堂に使われているっていうのは事実だったんですね?

 「ええ(笑)。先回りしてしまいましたか?」

 実はそれがメーンの質問でして(笑)。でも、当初からその目的だったというのは驚きました。いつごろの話なんですか?

 「『本部町史』の中に何カ所か記述がありましてね。どうも、1929年ごろから始まったようなんです。当時の大蔵省が主導で採掘を始めたようですね」

 大蔵省ですか。でも、なぜ大蔵省は瀬底島にトラバーチンがあるって分かったんでしょうか?

全国各地の石を使用

 「それは私が」と再び比嘉さん。

 「実は国会議事堂に使われている石はトラバーチンだけではないんです。ほかにも、全国各地の特徴ある石が使われているんですよ。つまり、日本でとれる貴重な石が集められて建設されているというわけなんです。『日本産の石の博物館』と言えば分かりやすいですね。もともと全国各地の石を使って建設する目的が最初にあって調査をしていたら、瀬底島にトラバーチンが見つかった。ということなんです」

 へぇ〜! またもやびっくりです。友利さん、ちなみに、どんな風に採掘していたんでしょうか?

 「ダイナマイトで爆破させて、海に落としたものを回収して船で運んでいたようです。実は博物館で展示しているトラバーチンも、渡久地港の改修工事中に海底に沈んでいるのを70年ぶりに発見したものなんです。積み忘れか、はたまた落としてしまったのかは分かりませんが。今でも島のあちこちに採掘跡が残っていますよ」

 国の行く末を決める、国会議事堂。その建物には、確かに本部町瀬底島産の石が使われていました。政府の方々、あなたたちの仕事場には、沖縄産の石も使われていることを忘れないでくださいね! 忘れようものならバチンするよ。


国会議事堂に県産石!?
友利哲夫さん
国会議事堂に県産石!?
比嘉啓一郎さん
国会議事堂に県産石!?
瀬底島に残る採掘跡。縦に入った2本のラインがダイナマイトを仕込んだ跡
国会議事堂に県産石!?
採掘されていた当時の様子 (本部町立博物館提供)
国会議事堂に県産石!?
展示されているトラバーチン。スベスベピカピカです=本部町立博物館
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