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[No.1393]

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「島ネタCHOSA班」2011年12月08日[No.1393]号

袋詰め「お任せ派」、それとも…

沖縄のスーパーでは、当たり前のように店員さんにしてもらう「レジでの袋詰め」。他府県ではしてくれないので、移住して来て驚きました。何か理由があるんでしょうか?(2011年12月08日掲載)

袋詰め「お任せ派」、それとも…
(40代・主婦)

 週一度、スーパーで買いだめする調査員にとって、マイバッグに手際よく詰めてくれる店員さんの所作を眺めることも楽しみの一つ。へたに自分で詰めると、卵割れるわ、豆腐つぶれるわ、えらい損失を被るので「お任せ派」なのですが。

 まずは現場と言うわけで、株式会社リウボウストア本部へ。対応した企画室の上原貴子さんと管理部の平良みゆきさんは、調査員の質問に多少お困りの様子。

 「いろいろ調べたんですけど、なぜ始めたか明確な理由は分からないんですよね。ただし…」

 聞くと、この袋詰め”サービス“、同ストアでは、始めたりやめたり、縮小したりと、試行錯誤した経緯があるそうだ。

 「23年前に開店した1号店では、確かに袋詰めはすべてお客様にお願いしていました。その後、各店舗で袋詰めサービスを始め、しばらくして中部の1店舗で試験的にやめてみたんですが…」

 「何でしてくれないのー」という「お任せ派」の苦情が殺到。袋詰めサービス休止は、半年も持たなかったそうだ。

 「この中部の店舗を含め、昔からの住宅地にある地域密着型の店舗では、レジ担当の”ファン“がいらして、袋詰めの間のゆんたくを楽しみにしているんですよ」。「あんた昨日休みだったねー」と声を掛けられたり、時には差し入れをもらったり。客とレジ係との間が近いマチグヮー(商店)の雰囲気が残っているんですね。

 「沖縄はお年を召した方が一人で買い物にいらっしゃることが多い。そして、妊婦さんとお子さん連れ。それが、袋詰めを続ける大きな理由です。全国的な高齢化を受けて、最近は、九州などでもポツポツ出始めているサービスのようですが、まだまだ主流じゃないようですよ」

 と話してくれた。

 「22年前、本格的に袋詰めサービスをスタートしました。おそらく、県内で最初だと思います」

 と話すのは、大小店舗を展開する株式会社サンエー。「県外などに視察に行きますが、レジの袋詰めサービスは沖縄独特のものだと思います」と、本社販促企画部長の吉田安之さんは言う。

 「開店当初は、レジも手打ちで両手がふさがるので、お客様にお願いするのが当たり前でした」。

 その後、レジのシステム化が進んだのと同時に、創業者の「困っているお客様には袋に詰めてあげなさい」というアイデアでサービスが始まったと話す。前出と同じく、「お客様にやさしく」という気持ちからだった。

 「一時県内で展開していた県外資本の店舗のレジは、まるでベルトコンベアー。衝撃でした」

 記憶に残っている方もいるのでは? 客が自分で商品をレールに乗せ、店員の「ピッ」を待ち、商品を回収して袋詰めをする。 「おそらく欧米の大型店舗を模倣したんだと思いますけど…。沖縄のお客様には不評で、続かなかったと聞いています」。

 「やりなさい派」は定着しなかったようで…。

 どっち派も選べます

 「習慣の違いって、どんな世界でもあるでしょう? 実は、他府県からいらした一部の方には、袋詰めサービスが不評なんです」とは、同社レジスタッフ。「こんなに並んでいるのに、なんで時間のかかる袋詰めをするのか」というクレームは、日常茶飯事なのだそう。他府県の方は、待たされる=時間のロスに敏感な方が多いのかもしれない。だって買物に手間取って快速(電車)逃したり、終電行っちまったら大変。「自分でやる派」にとってはサービスならぬ余計なお世話?

 「ですから、セルフレジを設けたり、ピーク時はセルフに切り替えたりしているのですが、認識されていないお年寄りが並ばれると袋詰めしないわけにはいかなくて…。後ろに並ばれていた他府県のお客様に、”なんでセルフで袋詰めするんだ!“って30分近くも怒られてしまい、結局ご納得いただけませんでした」

 シュン。でも責めた方を責めるなかれ。セルフもルールだし、「育ってきた環境が違うから~」と歌にもあるではないか。あなたが他府県のスーパーで袋詰め「してもらえなかったら」怒っちゃうかもしれないですよね。

 さらに市町村の「指定有料ゴミ袋」と全国で3番目に取り入れた「レジ袋有料化」で新たな一派が。しばし客を観察していると、野菜や果物の食品トレーを、一つひとつバラしてリサイクルボックスに置いていく客が。「自分でやりたい派」であります。

 さぁ、今日のあなたはどっち派?いまはどちらも選べる良い時代。今日もいそいそとスーパーへ。「あい、店員さん、髪切った?」。


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