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[No.1969]

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「表紙」2023年02月02日[No.1969]号

劇団員は全員芸人。手話で笑いを届ける
劇団アラマンダ

「食堂」舞台の新作を代表作に

 「聴こえる人、聴こえない人、全ての方に笑いを届ける」ことをモットーに掲げ、手話で喜劇を 演じる劇団アラマンダ。旗揚げから5年の間にさまざまな公演を行い、手話講座も主催するなど、 彼らにしかできない活動に取り組んでいる。稽古では、せりふに合わせて手話を付けていくとい う。本番では舞台に立ち、せりふとともに手話を披露する彼らには、一般的な舞台劇を演じる時 とは違う苦労がありそうだ。劇団員それぞれの思いを語ってもらった。

 よしもとの養成所・NSC 沖縄の1期生芸人として活躍 中の大屋あゆみさん。聴覚障が いを持つ両親と手話で会話を する彼女が立ち上げたのが劇 団アラマンダだ。芸人仲間の中 で「手話で表現する喜劇を一緒 に演じたい」と思ったメンバー に声を掛け、劇団をまとめてき た。2月には久しぶりに那覇で 公演する。

 「新作を発表しますが、劇団 の代表作にしたいと思っていま す。台本を手掛けたのが劇団員 の又吉広人くんで、みんなで意 見交換をしながら仕上げま す」と大屋さん。劇団員作の台 本を演じるのは初で、これを きっかけに全員の個性を活動 につなげたいというイメージを 持っていると話す。

 「『私たちが作り上げていま す』という気持ちで取り組むの が、アラマンダらしいと思ってい るんですよ」と目を輝かせた。 「台本を頼まれうれしくて即 引き受けましたが、書き始めて こんなにキツイのかと気付き ました」と苦笑いする又吉さ ん。紆余曲折を経て「食堂を舞 台にしよう」とアイデアを固めたそうだ。「座長の大屋さんが 店長を演じ、息子や常連客の 間で起こるドタバタぶりを描 きます。公演当日最初に笑いが 起こったらホッとして、自分の 演技に集中し手話も頑張れる はずです」

手話の文法に苦労

 仲間が手掛けた台本を劇団 員全員が絶賛。中でも「今回の 舞台は楽しくなりますよ」と 自信たっぷりなのが、島袋忍さ んだ。5年の活動で彼は「手話 は文法が難しい」と話す。「手話 の単語は覚えてきましたが、発 する言葉との文法の違いで苦 労します。笑いが起きたり『楽 しかった』と感想をいただいた りすると、アメリカ人に英語が 通じた時と同じうれしさです」

 「日常で使う手話は自然に 出てくるようになってきまし たし、このせりふの手話での表 現はこうした方がいいのかなど 多少分かるようになってきま した」と話すのはゆかさん。テン ブスホールでの初公演は、新た な観客が来場するきっかけに なるといいと期待する。「新作 なので、過去に来場した方も楽 しめます。家族やお友達をお誘 い合わせの上、お越しくださ い」と笑顔を見せた。

 イラスト描きが得意なリョ ウジさんは、画力が入団のきっ かけ。「実は手話のぎこちなさ の方が目立って笑いが取れるの で、上達しないように気を付け ているんです」と笑顔。「台本を 覚えて立ち稽古して、手話も 入れる。普通の芝居より行程 が多く不安もありますが、この メンバーなら大丈夫という自 信があります」と、リョウジさ んは力強く語った。

劇団の成長感じてほしい

 今回の公演には新入りと 助っ人劇団員もいるという。

 「昨年 11 月の糸満公演が初舞 台で、意外に楽しく演じられ ました。手話はアドリブがきか ないので普段のお笑いとは違い ます。みんなの足を引っ張らな いよう、真剣に頑張ります」と 語る新入団員のガザオさん。 手話の経験はほぼなかったが、 演じることを楽しむ気持ちで 続けるそうだ。

 「過去公演を数回見ていま す。今回初めて手話を演じます が、取り立てて特別なことはあ りません。人前でのパフォーマ ンスは、お笑いの舞台と同じで す」と話すのは島智大(しま・ ともひろ)さん。本メンバー岩 田勇人(いわた・ゆうと)さんに 代わって出演するという。「み んなが表現することをしっか り伝えられるよう、お手伝いし 「食堂」舞台の新作を代表作に ます」と宣言した。

 座長の大屋さんは「私の役 目は劇団員を信じて楽しむこ と。他にも表情豊かな演技がで きる2人、マエショーとちあき というメンバーもいます」と語 る。「旗揚げから5年、初めて 手話に触れたみんなが頑張っ てくれて続けられています。今 回の公演でも観客のみなさま に笑っていただきますし、公演 の回数を重ねるごとに手話の 変化や成長を感じていただけ る劇団だと思います。ぜひご来 場ください」

 芸人が手話で喜劇を演じる のは、日本の演劇界でも特徴が あるといえるだろう。彼らが届 ける笑いを楽しんでみたい。

(饒波 貴子)



那覇市ぶんかテンブス館 木曜芸能公演
劇団アラマンダ「食堂アラマンダ~跡取り息子とおふくろの味~」
日時:2月23日(木・祝)
開場:13時30分/開演:14時
会場:テンブスホール(那覇市ぶんかテンブス館4階)
料金:一般1500円・高校生1130円・小中学生750円・身障者割750円※障がい者手帳の提示をお願いします
問い合わせ:よしもとエンタテインメント
沖縄☎098-861-5141
よしもと沖縄公式HPより、メール受付可

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劇団アラマンダ
2018年に旗揚げ。手話を学びながら活動を続けているコメディー集団「劇団アラマ ンダ」。全員がよしもと沖縄所属のお笑い芸人で、2月23日(木・祝)に予定されて いる新作公演に向け、現在稽古中。その意気込みや見どころを聞いた。写真前列は 座長の大屋あゆみさん(左)とゆかさん。後列は左から島袋忍さん、又吉広人さ ん、リョウジさん、ガザオさん、島智大さん=那覇市内にて撮影
写真・村山 望
劇団アラマンダ
劇団員全員集合で記念写真(提供写真)
劇団アラマンダ
手話を使った公演中の様子(提供写真)
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