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[No.1944]

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「表紙」2022年08月11日[No.1944]号

うちなーむんの笑いと元気届けたい
うちなーぐちゆんたく王子
マイケル中本さん

うちなーぐちの妙技 楽しんで

 福祉施設やショッピングモールなどで、唄・三線、舞踊にうちなーぐちの漫談を織り交ぜた「お笑いバラ エティーショー」を披露するマイケル中本さん。時にうちなーぐちで観客と掛け合いを繰り広げるショー が評判となり、一躍おじぃ、おばぁのアイドル的存在に。現在では、ショーだけにとどまらず、コミュニ ティーラジオのパーソナリティー、週刊レキオのコラム執筆など、活躍の場を広げている。芸能活動10周 年を迎える今、その人気の秘密に迫った。

 「身長185㌢、かつらをか ぶると2㍍近くなります」と 話すマイケル中本さん。イオン タウン南城大里で定期的に行 われるショーでは立ち見が出 るほどの人気だ。

 南城市奥武島出身。家に三 線のある環境で育った。芸能活 動を始める前は、福祉施設に 勤務。「マイケル」という名前 は、ある利用者に「あんたはア メリカふーじーだから」という 理由から付けられたニック ネームだそう。

 人生の転機となったのは、2 011年の東日本大震災だ。 当時、中本さんは勤務していた 福祉施設で東日本大震災の報 道を目にした。船や車、人が流 れていく様子を見て、声も出な かったという。

 「亡くなった人たちも、まさ か自分がと思いもしなかった だろう。人生、いつどうなるか も分からない」

 そう思った中本さんは、 30 年 近く勤めていた福祉施設の退 社を決意。昔からやりたいと 思っていた唄や三線の演奏、う ちなーぐちを使った芸能活動 をスタートさせた。

遅咲きのスタート

 50歳を過ぎて新たな人生をスタートした中本さんが最初 に行ったのは、福祉施設への営 業活動だった。手作りのチラシ を持って、単身で老人ホームや デイサービスへの訪問営業を 繰り返した。無名だったため無 視されることも多かったが、め げずに何度も営業訪問を続け るうちに、少しずつだが依頼が 入るようになった。

 状況を大きく好転させたの は、イオンタウン南城大里への 飛び込み営業。夫婦二人三脚 で頑張っている中本さんたちの 姿を見た当時のマネージャー さんの後押しがあり、週1回 ショーの営業を開始した。最初 のうちは観客が3〜4人ほど だったが、ショーは口コミで評 判となり、次第に多くの観客 が集まるようになった。

 「公民館の区長さんや老人 会会長さんが見に来たりして、 施設やイベント等に呼ばれる ようになった」と中本さんはう れしそうに振り返る。そのうち に、活動地域も県内各地に広 がっていった。

うちなーぐちを伝えたい

 「とにかくお客さんが見てい て楽しく、ワクワクするように 心がけています」。ショーの出 演依頼があれば、観客に合わせ て演目を組み立てるという。

 芸を磨くことにも熱心だ。 歌三線は独学で、耳で覚えた が、舞踊の基礎基本は、活動を しながら舞踊教室に3〜4年 通って身に付けた。足のすり 方、扇子の持ち方、視線の向け 方などの基礎基本は守りなが ら、時折、滑稽な振りやしぐさ を織り交ぜて自己流にアレン ジし現在の形に行き着いた。

 マイケルさんがステージで繰 り出す達者なうちなーぐちを 聞き、年配の観客の目が輝き 出すことも多いという。うち なーぐちを生かし、5年前か ら糸満市のコミュニティーF M「FMたまん」のラジオパーソ ナリティーとしても活躍。FM たまんの照屋信吉会長から「こ んなにうちなーぐちでのやり とりが達者だから、番組持った らいいよ」と言われ、いきなり 2時間番組を持たされたそう だ。「ラジオの放送を通して、う ちなーぐちを伝えたい」と意気 込む。

 「沖縄の言葉を残さないといけない」との思いから、週刊レキ オに自ら企画を持ち込み、 21 年から第2週に「うちなー黄 金言葉」の執筆も開始した( 10 面に掲載)。

 「コロナ禍でなかなか活動がで きなかったが、また福祉施設や 地域の公民館、ショッピングセ ンターでショーをしたい。離島 など、まだ行っていない地域に も足を延ばしたいですし、各市 町村の歓迎会などでうちなー ぐちや歌三線を披露したい」と マイケルさんは抱負を話して くれた。今後の活動に期待した い。

(元澤 一樹)



マイケル中本 お笑いバラエティーショー
【日時】8月14日(日)13:00~13:45
【場所】イオンタウン南城大里
【問い合わせ】イオンタウン南城大里
☎098-943-3914



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マイケル中本さん
沖縄の伝統芸能に笑いのエッセンス を織り交ぜたショーが人気で、自ら 「うちなーぐちゆんたく王子」と名乗 るマイケル中本さん。今年芸能デ ビュー1 0 周年を迎え、その思いを 語ってもらった 写真:喜瀨 守昭
マイケル中本さん
お笑いチャンプルーショー。一般的な琉 球舞踊では使わない、派手な衣装にピ ンクの手ぬぐいが印象的
マイケル中本さん
唄・三線と同時に太鼓も叩く
マイケル中本さん
素顔の中本さん。司会のときはタキシード スタイル
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