沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1937]

  • (金)

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「表紙」2022年06月23日[No.1937]号

ミュージシャン大集合! 31人でアルバム制作
ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン

沖縄ジャズ史を記録したようなアルバム

 第2次世界大戦終戦の1945年に始まったとされる沖縄ジャズの歴史。多くの人がコンサートを鑑賞するなど大衆の娯楽として親しまれ、政府がミュージシャンを育成し独自のジャズ文化を築いてきたという。このたび、黄金期の50~60年代より活動を続けるベテランから中堅・若手のミュージシャンが録音に参加したアルバム、「ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン」が完成。プロデューサーの真栄里英樹(まえざと・えいき)さんに話を聞いた。

 県内に多数の演奏施設があり、多くのジャズミュージシャンが活躍していたという1950~60年代の沖縄。アメリカの影響を受け他県とは異なるジャズ文化を構築した。「ウチナー・ジャズ」と呼ぶにふさわしい音楽文化といえるだろう。

 「沖縄のジャズは身近にある音楽だと思います。プレーヤーは聞く側に近付いて演奏すると感じますし、ジャズ系のライブハウスに行くと舞台と客席の距離の近さに気付いていただけると思います」と真栄里さん。「ウチナー・ジャズ」はジャンルとして確立していると話す。

 真栄里さんはトロンボーン奏者として人気バンド・ディアマンテスのサポートメンバーを務める他、県内外アーティストのレコーディングに参加するなど活躍中。2016年には沖縄ジャズ協会事務局長に就任し、「真栄里英樹 BIG BAND」を立ち上げるなどジャズの発展に力を入れてきた。

 「管楽器は学びと努力で演奏技術を磨きますが、学校卒業後にジャズプレーヤーとして仕事があるかというと、現実は厳しい。若手が活躍できる土壌を作る使命感からビッグバンドを立ち上げました」と語る。「ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン」というアルバムが世に広まり、県外・国外の人が沖縄に関心を持つきっかけになるといい、という期待もあるそうだ。

空気感を大切にし収録

 今回アルバムプロデューサーという大役を務めた真栄里さんは、選曲やミュージシャンへのオファーを主に行ったという。

 「戦後のジャズシーンを支え、活動を続けてきた大先輩たちに参加していただきたかったので、3つのカルテットを入れる構成にしました。みなさんからすぐに前向きな返事が来て、僕らより熱い気持ちで取り組んでくださったんです」

 レジェンドといえる先輩が演奏する姿と奏でる音はとにかく素晴らしく、真栄里さんは全てを本人たちに委ね、立ち会える幸せを感じたそうだ。

 なじみやすい選曲に加え、録音場所が「那覇文化芸術劇場 なはーと」だった点もこのアルバムの特徴として挙げられる。

 「劇場録音は最近あまりない方法だと思いますが、みんなで一緒に音を出す空気感を大切にしました。そろって演奏する機会がコロナ禍で減っているので、集まって音を出す喜びもありましたよ」と真栄里さん。

 安富祖貴子さんがボーカルの「月桃」録音終了時には、演奏した全員から感動のため息が漏れたという。「この曲すごいんじゃない!? と思えた瞬間でした。ビッグバンドの横でシンガーがマイクを立てて歌う環境も珍しいと思います」と真栄里さん。録音中に数々のエピソードが生まれたそうだ。

 沖縄民謡の「ヒヤミカチ節」や歌い継がれる「童神」などに並び、ジャズのスタンダード曲やオリジナル曲が収録されたこのアルバム。「昔ながらのアナログのサウンドで、みなさんご存じの曲もあり聴きやすく仕上がったと思います」と真栄里さんは胸を張る。「今年3月に録音しましたが、あの時にしかとれなかった音。機会をくださった発売元のリスペクトレコードさんに感謝しています」

全員出演のコンサートも

 アルバムの発売とともにうれしい知らせが届いた。参加ミュージシャンによるコンサートを7月30日に開催するとのこと。

 「31人全員が出演予定です。次回が未定なので、この日限りかもしれません。レジェンドのオーラや演奏はすごいとしか言いようがなく聴いて見て、全身の感覚で音を感じていただきたいです。ぜひお越しください」と、真栄里さんからメッセージ。

 ウチナー・ジャズのオールスター集合の奇跡の一夜。アルバムを聴き込んで出かけると、感動が深まりそうだ。

(饒波 貴子)



沖縄ジャズ界スター参加のアルバム 『ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン』
ウチナー・ジャズ・オール・スターズ
県内主要CDショップ・通販サイトで発売中
(解説・歌詞付きの28ページブックレット封入/3300円/発売元:リスペクトレコード)

『ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン』 ウチナー・ジャズ・オールスターズ スペシャル・コンサート決定!
日時:7月30日(土)19時開演
会場:ミュージックタウン音市場(沖縄市上地)
チケット:一般前売り3500円(要ドリンクオーダー)
問い合わせ:ミュージックタウン音市場 ☎098-932-1949



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ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン
沖縄ジャズ界のミュージシャン31人が参加して制作されたアルバム「ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン」。最高齢のアラン・カヒーぺさん(92歳)を筆頭に、上原昌栄さんら80歳を超えた演奏家たちも参加した貴重な作品だ。音を聞くと演奏や歌唱の素晴らしさはもちろん、戦後アメリカ統治下の中で刻まれてきたウチナー・ジャズの歴史までもが伝わってくる=那覇文化芸術劇場なはーとで撮影
  92歳の現役サックス奏者、アラン・カヒーぺさん、沖縄の代表的ジャズシンガー、安富祖貴子(あふそ・たかこ)さん、沖縄ジャズの中心人物、テリー重田(しげた)さん(81歳)、ウチナー・ジャズのシンボル、故・屋良文雄氏の息子で「寓話カルテット」を率いる屋良朝秋(やら・ともあき)さん、本作で見事なドラミングを披露した、ドラマーの上原昌栄(うえはら・しょうえい)さん(86歳)、「真栄里英樹 BIG BAND」のバンマスで、本作のプロデューサーを務めた真栄里英樹(まえざと・えいき)さん 写真:喜瀨 守昭
ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン
「真栄里英樹 BIG BAND」演奏中の録音風景(2022年3月撮影)
ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン
ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン
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