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[No.1917]

  • (金)

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「表紙」2022年02月03日[No.1917]号

おいしいそば、あります!
宮良そば

創業60年に向け一歩ずつ着実に

 浦添市当山にある「宮良そば」は、沖縄本島内で数少ない八重山そばを提供する店。八重山そばは麺が丸く、細切りの豚の赤身とかまぼこが載っているのが特徴だ。同店では原料から形状、ゆで時間などを指定し、糸満市の(株)西崎製麺所に麺を発注。歯応えや味、だしとの絡み具合にもこだわる。お客さま満足度を常に意識し、店を盛り上げる店主の宮良信介さんに話を聞いた。

 同店は1986年に創業。宮良信介さんの祖父が石垣島出身だったことから、父が八重山そば店を企画し、母の妹が開業した。当初の屋号は「八重山そば さくま」。その後、母が事業を引き継いだが体調を崩し、業績も悪化。宮良さんは事業を立て直すべく2014年に母から店を引き継ぎ、屋号を「宮良そば」に変更した。17年には母が、その翌年には父も他界し、父方の手掛けていたホテル事業も継ぐことになった。

事業再生に取り組む

 宮良さんは大学時代にファイナンシャルプランナーの資格を取得し、卒業後は税理士事務所のグループ会社へ就職。そばの店を継いだのは、まだ同社で働いているころだった。また、同時期に父方のホテル事業が立ち行かなくなり、その事業再生にも取り組んでいたため当時は3つの仕事をこなしていた。

 「もう寝る時間がないぐらい。それぞれ全く違う仕事なので、その都度優先順位を決めて、頭を切り替えながら仕事をしていました」と宮良さんは振り返る。

 まずはホテルの再生を果たし、20年ほど働いた税理士事務所のグループ会社を退職。その後は本格的にそば屋の再生に着手した。しかし、コロナ禍となり売り上げは半減。休業期間中に感染対策や店舗の改装もし、営業再開後にはなんとか売り上げも回復してきたという。

種類豊富なメニュー

 宮良そばでは、八重山そばのほか軟骨ソーキそば、てびちそば、中味そばなどがある。豚、かつお、昆布、野菜を使ったスープは、コクがあるのにさっぱりした味わいが自慢だ。

 そばのほかにも定食や単品料理など種類豊富で、小さな子ども用の「ミニそば」は無料で提供する。

 人気料理の一つに骨汁があるが、骨汁を知らない人のために同店のホームページでは「骨汁の食べ方」を丁寧に紹介する。豚の背骨とジャガイモを煮込んだ韓国の鍋料理、カムジャタン風に作られた夜限定メニューの「赤骨汁」も好評だ。

 また、家庭でも楽しめるよう骨汁のレトルトパックを始め、そばセットや生麺なども店頭に並ぶ。コロナ禍で一時期は厳しい状況もあったが、テークアウトやネット通販を利用する人が増え、昨年12月には過去最高の売り上げを達成した。

 宮良さんは「今年も1月からコロナ感染拡大により大きな影響を受けましたが、デリバリーの開始など新たなサービスや新商品開発に取り組んでいきます」と意気込む。さらに、「売り上げを維持しながら従業員の生活を守り、創業60年に向けて一歩ずつ着実に歩んでいきたいと思います」と前を向く。

 36年の歴史があり、「子どものころもよく食べにきました」と話す客もしばしばやってくるという同店。「これからも地域の人に必要とされる店でありたい」と宮良さん。

 今後もスープの味にこだわりながら、新しい料理にも挑戦するそうなので、個人的には見たことも聞いたこともないような独自のそばを期待したい。 

(﨑山裕子)





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宮良そば
(前列左から)店主・宮良信介さん、従業員の與那嶺浩子さん、(後列左から)松田南美子さん、平川恵さん。小さな子ども連れに好評の座敷席で 写真・村山 望
宮良そば
八重山そば(大820円、中720円、小620円)
宮良そば
レトルトパックの骨汁(750円)
宮良そば
生麺(各180円/150㌘)、三枚肉(350円)、八重山そばの具(350円)、軟骨ソーキ(400円)、だし(250円)
宮良そば
赤骨汁定食(900円)
宮良そば
宮良そば
浦添市当山1-7-17
☎︎ 098-876-7082
https://miyarasoba.com
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