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[No.1891]

  • (金)

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「表紙」2021年08月05日[No.1891]号

市場と人々をつなぐコーヒー店
自家焙煎珈琲みちくさ

市場ににぎわい取り戻したい

 本部町の渡久地港に程近い本部町営市場。昭和の雰囲気が残る市場は国内外の映画のロケ地にもなってきた。築約60年の歴史を持つ市場に2009年4月に入居したのが、知念正作さん(42)、沙織さん(41)夫妻が経営する「自家焙煎珈琲みちくさ」だ。大好きな市場で開業してから12年。店の歴史は市場の再生への歩みとともにあった。

 昔ながらの精肉店や鮮魚店の他、雑貨店、スイーツ店、ネイルサロンなど、個性的な店舗が並ぶ本部町営市場。その一角にある「自家焙煎珈琲みちくさ」は、知念正作さん、沙織さん夫妻が営む自家焙煎の本格的な一杯が楽しめるコーヒー店だ。

 知念さん夫婦が本部町営市場に関わるきっかけとなったのは、約15年前。「もとぶ手作り市」を仲間と企画したことだった。

 当時の市場は、シャッターを下ろした空き店舗が目立つ寂しい場所になっていた。本部町で生まれ育った正作さんにとって、市場は幼少時代の遊び場。「おばあちゃんがこの市場で洋服屋をやっていたので、小さい頃から愛着があった」と話す。

 高校から那覇市で過ごし、市場から離れていた正作さん。大学卒業後に本部町に戻り、染め物工房などで働いた後、草木染め職人として独立。「お店をやるなら、本部町市場が一番面白そう」と思い、拠点を市場に求めた。店舗を借りようと役場に行くも、当時は新店舗の募集はしないという方針だった。それならば、商品を売るために市場でイベントを始めたいと交渉し、仲間たちと月に1回の「もとぶ手作り市」を始めた。

手作り市で集客に貢献

 2006年、町内の作家たちに声を掛け16店舗からスタートした手作り市。2年目以降はメディアでも取り上げられ注目を浴びるように。町内外からの出店者や客も増え、市場に活気が戻り始めた。加えて、クラシックコンサートや映画上映会などのイベントも開催。市場をアピールするためにさまざまなことを企画したという。

 役場も方針を転換し、再生に動き出した。「イベントの反響と並行して、外部から地域ブランドづくりのアドバイザーを入れたり、手作り市実行委員会と商工会、本部町、市場で話し合いを重ねたりした結果、店舗の貸し出しを再開することになった」と正作さんは振り返る。

 2009年、知念夫妻は念願のカフェと染め物の店をオープン。現在はカフェ専門になっているが、同店オリジナルのTシャツや手作り市に出店していた人たちのグッズや食品も販売している。手作り市出店経験者たちをはじめとする若い世代も店舗をオープン。約40店舗中、現在も空き店舗率がほぼゼロの状態を保っている。

 市場の活性化に一役買った手作り市は、新型コロナウイルスの影響や実行委員たちの家庭の状況により158回目の2020年12月に一旦終了となった。沙織さんは「自分たちがまたやりたくなったら再開すればいい。もうすでにやりたくなっている」と笑顔を見せる。

新店舗で相乗効果狙う

 知念夫妻は昨年6月に台湾などで親しまれているスイーツ「豆花(トウファー)」の店、「市場豆花店」を市場にオープンした。豆花は、豆乳をにがりで固めたもので、「みちくさ」の人気メニューだ。カラフルな外観の新店舗は市場の入り口にあり、2019年に引退をした乾物屋の店舗跡を引き継いだ。

 沙織さんは「市場のアイキャッチ的な存在になりたい。中にも面白いお店がいっぱいあると紹介して、市場の中にも誘導していくという作戦」と話す。

 市場あってこそという2人。「サンドイッチを出したらいいのに」と言う客もいるが、他店の商品の持ち込みも歓迎している。いろいろな店が詰まっているのが市場の強みだと感じているという。

 「今後も楽しいって思うことをやっていきたい」という沙織さんに、「店や市場を介して本部町を世界と結ぶ。そんな店がしたい」という正作さん。今後も市場の面白い魅力を発信していってくれそうだ。

(坂本永通子)



自家焙煎珈琲みちくさ
本部町渡久地4 本部町営市場内
☎ 090-6865-7720
営業時間=11:00〜18:00
定休日=月・火・第2・4水曜
※緊急事態宣言発令中はテークアウトのみの営業

市場豆花店
営業時間=12:00〜17:00
定休日=月・火・第1・3水曜
(持ち帰り専門)





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自家焙煎珈琲みちくさ
カウンターに立つ知念正作さん(右)と沙織さん。店頭で出すホットコーヒーは値段に影響されず、好きな味を選択できるようすべて一律で提供。今帰仁村の畑でコーヒー栽培も行っている=本部町渡久地の「自家焙煎珈琲みちくさ」 写真・村山 望
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店内はカウンター席(5席)の他ソファ席も
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