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[No.1883]

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「表紙」2021年06月10日[No.1883]号

ようこそ沖縄文化体験の入り口へ
沖縄古民家民宿ごーやー荘 オーナー 野下秀広さん

人とつながり笑顔でいられることが楽しい

 沖縄市胡屋の住宅地にあるごーやー荘は、1963年に建てられた古民家を利用した民宿だ。2003年4月のオープンから、ほぼそのままの姿で営業している。そのたたずまいに引かれ足を運ぶと、入り口で咲き誇る鮮やかな黄色いアリアケカズラに晴れやかな気持ちになった。民宿を始めて18年のオーナー野下秀広さんを訪ねた。

 長崎県出身で大学進学を機に沖縄に来た野下さんは、卒業後県外で就職し、大阪や東京で日々忙しく働いていた。しかし沖縄への思いが再燃、12年の会社員生活を終え沖縄市で民宿を営むことに。そのきっかけは、かつて泊まった沖縄のとあるゲストハウスでの体験が影響したようだ。

 「学生から年配の方までいろいろな人と出会い話を聞いていると、考え方がとても自由なんです。そのとき働きづめだった自分とは、まったく違う世界を生きている人たちがいるんだなと思いました」

 仕事で疲弊していた野下さんにとって、目の前が開けた瞬間だった。「視野が狭く、人生を楽しむといったことが自分には足りなかったのかもしれません。だからこそ人とつながって、笑顔でいられる仕事をやってみたいと思ったのかな」と振り返る。

アラフィフの聖地?

 民宿を始めるため物件を探していたころ、夢の中で「ごーやー荘」という名前が浮かんだ。後日、不動産屋から紹介された物件が沖縄市胡屋にあったことから、「じゃあ胡屋だからごーやー荘だ」といって夢の通りになった面白いエピソードがある。

 実際に建物を見ると、しっかりしていて状態もよく、欄間の細工や天井の角を扇状に組んでいるところなど気に入ったという。

 ごーやー荘は賃貸物件だが、当時は民家を宿泊施設として貸し出すことはあまりなかったそうだ。しかし、家主は「若い人が沖縄で頑張るなら応援したい」と快く賃貸契約をしてくれた。

 宿泊客は20代から80代までと幅広く、中でも40代から60代が多く「アラフィフの聖地」だと、50代の野下さんは笑顔を見せる。だが、ここへ来る人は何かしら通じるものがあるといい「うちはぜんぜん年齢関係なく、みんな一緒になって盛り上がることが多いですよ」とのこと。

 一人旅もいれば、グループやファミリー層もいて、それぞれに古民家体験を満喫していく。民宿のコンセプトは「沖縄文化体験の入り口」だ。ここでは三線や沖縄料理体験を楽しめる。また、沖縄市観光物産振興協会認定の沖縄市観光ガイドでもある野下さんの案内で「まち歩き」もできる。

 県外を中心に世界各国、ときには沖縄の北部や離島から来る人もいて、実にさまざまな人との出会いがある。お国柄や宗教観など、野下さん自身もいろいろな経験を重ね、知識が広がると話した。

自然と「人の力」が魅力

 「民宿を始めてから、自然を感じられるようになりました。月もそうだし、身近な草花もそう。ガジュマルの幹を見ているだけでも楽しいです。自然って探そうと思えば、すぐ目の前にあるものなんですよね」

 都会では味わえなかった自然に魅力を感じるようになり、さらに「沖縄には人とのつながりで事がどんどん進んでいくことがあり、『人の力』もまた沖縄の魅力」だと結んだ。

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 風情ある沖縄の古民家民宿は居心地がよく、落ち着く。おまけに野下さんの親しみのある笑顔に癒やされ、終始楽しい取材となった。

(﨑山裕子)



沖縄古民家民宿ごーやー荘
沖縄市胡屋1-5-32
☎︎ 050-1205-2758

沖縄古民家民宿ごーやー荘 オーナー 野下秀広さん

ごーやー荘のオリジナルTシャツ(2,500円)とタオル(1,500円)


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沖縄古民家民宿ごーやー荘 オーナー 野下秀広さん
野下さんは沖縄市観光物産振興協会認定ガイドで、エイサー検定特級保持者の「エイサー親方(ウェーカタ)」、さらに沖縄観光コンベンションビューローが任命した「ウェルカムんちゅリーダー」でもある=沖縄市胡屋
写真・村山 望
沖縄古民家民宿ごーやー荘 オーナー 野下秀広さん
客間の一番座、手前は仏間として利用されていた二番座。普段は真ん中をふすまで仕切り別々の部屋として使う。仕切らず大勢で泊まることも可能
沖縄古民家民宿ごーやー荘 オーナー 野下秀広さん
奥まった場所にある裏座はベッドを置いて洋室に
沖縄古民家民宿ごーやー荘 オーナー 野下秀広さん
居間として利用されていた三番座
沖縄古民家民宿ごーやー荘 オーナー 野下秀広さん
庭のカウンター。おしゃべりしたり、三線を弾いたりして楽しめる場所
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