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[No.1864]

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「表紙」2021年01月28日[No.1864]号

店主亡き後、仲間によって
復活コーヒーハウス 響(ひびき)

憩いの場 残したい

先代オーナーの洲鎌盛雄さん(故人)が、2009年にオープンした「コーヒーハウス 響(ひびき)」。クラッシックやジャズなどの臨場感あふれる音楽が流れる喫茶店だ。多くのファンに愛された同店は、2019年洲鎌さんの急逝により閉店。復活を待ち望む声が上がる中、約半年後にオーディオ仲間たちが週末限定で再開。存続に向け奮闘している。

 沖縄市八重島の一角にある「コーヒーハウス響」。ドアを開けると、そこは異世界。レコードの温かい音が鳴り響くノスタルジックな店内には、圧倒的な存在感を放つ英国タンノイ社の巨大スピーカー「ウエストミンスター」の他、レコードプレーヤー、真空管アンプなど、アナログなオーディオ機器が並ぶ。

 同店は2009年8月に前オーナーの洲鎌盛雄さんが、かつて歓楽街だった沖縄市八重島を活性化できたらと市役所を定年退職後に開店した。クラシック音楽を愛し、オーディオ愛好家でもあった洲鎌さん。自宅からオーディオ機器を持ち込んで念願の喫茶店をつくり上げた。

レコードの音流れる空間

 開店当初こそ客が来なかったものの、オーディオや音楽愛好家の他、ミュージシャン、ゆんたくを楽しみに訪れる団塊の世代たちが集まり始め、洲鎌さんの博学で温かい人柄とともに多くの人たちに愛された。しかし、2019年2月、洲鎌さんが他界。同店は閉店することになった。

 そんな喫茶店が約半年後の同年7月に復活した。再開に向け動き出したのは兼城和彦さん(56)と中村憬さん(68)。飲食店経営者の兼城さんは洲鎌さんとは約30年にわたるオーディオ仲間。中村さんもジャズ喫茶経営の経験を持つオーディオ愛好家で、初来店時から洲鎌さんと意気投合したという5年来の常連客だ。

 「ゆんたくして、コーヒーを飲んで帰る『サロン』のような場所だった。生前洲鎌さんは兼城さんに『自分の後は任せるよ』と託していたので、兼城さんがやってみればという話が持ち上がった」と中村さんは振り返る。

 後継者として名前が挙がったものの「自身の店の経営もあり、一人ではできなかった」という兼城さん。中村さんが協力を引き受けてくれたことで、店舗を継承することを決意した。

 中村さんは土曜日、兼城さんは日曜日を担当し、週末の午後限定でオープン。再開した時は継続を願っていた多くの常連客が訪れたという。

 洲鎌さんの妻・和美さん(73)も復活を喜んでいる。「(夫は)団塊の世代の人たちに『ずっと続けてほしい』と言われていた。亡くなった後も、常連の方たちから継続を希望する声が上がっていた」と話す。洲鎌さんの生前、ケーキ作り担当だった和美さんもサービスのケーキを作り、今も店に届けて支えている。

 現在は週2日の営業のため、利益はなし。皆、ボランティアだ。それでも店を守る2人は「楽しい」という。

 「お客さんも皆個性的だし、朝一番に来て、音楽を流しながら掃除する時間は至福の時間。常連の方たちにまたここに来てもらえればという気持ちでやっている」と中村さんはほほ笑む。

営業日数増やすのが目標

 「復帰前からの建物でアナログレコードの音が聞けるのが魅力」と同店について語る新オーナーの兼城さん。昨年9月には写真と映像による展示会も開催した。展示会やSNSの発信で、新たな客も来るようになったという。

 兼城さんは「リクエストがあれば企画展などをまた行って、このスペースをうまく利用したい。今後は営業日と休みの日数が反対になれば」と期待を込める。懐かしく温かい音が響く空間をこれからもつないでいく 。

(坂本永通子)



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コーヒーハウス 響(ひびき)
(左から)先代の洲鎌盛雄さんの妻・和美さん、現オーナー・兼城和彦さん、中村憬さん。先代の遺影(カウンター上)と共に=沖縄市八重島のコーヒーハウス響
コーヒーハウス 響(ひびき)
Aサインバーだった建物の内装は設計士でもあった洲鎌さんがデザインした
コーヒーハウス 響(ひびき)
コーヒーハウス 響(ひびき)
店内には、クラシックやジャズのレコード、レコードプレーヤー、真空管アンプ、スピーカーなどが並ぶ。ジャンルを問わずレコードなどの持ち込みも可
コーヒーハウス 響(ひびき)
店内に置かれている、洲鎌盛雄さんの遺影。コーヒーが供えられている
コーヒーハウス 響(ひびき)
コーヒーハウス響
沖縄市八重島2-7-48
営業日:土・日曜13:00〜16:30
【メール】kaneshiro0405@gmail.com
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