沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1724]

  • (日)

<< 前の記事  次の記事 >>

「表紙」2018年05月10日[No.1724]号

もちもちの緑のおまんじゅう召し上がれ 城まんじゅう

家族で協力名物生み出す

 北中城村の名物として知られるアーサまんじゅう。天ぷらや、お吸い物に入れることが多いアーサだが、まんじゅうに使われるとは意外に思う人も多いのでは? 今回は同村仲順にある「城(ぐすく)まんじゅう」で製造・販売している「アーサまんじゅう」をリポート。

 「おばあちゃんが作るような素朴なおまんじゅうがあってもいいんじゃない?」

 この一言が、アーサまんじゅうの始まりだった――。

 夫の恒雄さんらとともに「城まんじゅう」を切り盛りする金城睦美さんはこう語る。

 「ここには世界遺産の中城城跡があって、観光客はたくさん来るのに、すぐ食べられるようなお土産らしいものがない。そこで『どんなものがいいんだろう?』と想像してみたら、城下町でおばあちゃんが手作りのおまんじゅうを売る姿が浮かんだ」

 そのことを恒雄さんに話すと「じゃあ、やってみたら」と言われ、それならと北中城村の特産であるアーサを使ってやってみようと思ったそうだ。



気負わず挑戦

 アーサまんじゅうには、生のアーサをピューレにして生地に練り込み、中に甘さ控えめの粒あんを入れる。アーサは食物繊維が豊富で、カルシウムやミネラルたっぷりなのがうれしい。

 化学調味料や保存料などの添加物は一切入れない。「健康オタク」だという恒雄さんのこだわりだ。

 同店の社長である恒雄さんは、実は元家電ショップのオーナー。睦美さんはトールペイント(木製品などに絵を描くアート)の先生だった。さらに一緒に働く睦美さんの妹・玉城真由美さんは元エレクトーン講師で、3人とも食に関わる仕事の経験がなかった。唯一、睦美さんの娘婿で店長の塩見巌(いわお)さんが飲食店で働いた経験があるものの、まんじゅう作りに関しては全くの素人だったという。 

 「数えきれないほどの失敗をした。でも苦労したとは思わず、それはそれで面白かったですよ」と睦美さんは笑う。

 真由美さんは「知恵を出し合って、和気あいあいとやってきた。誰一人として上から目線で見る者がいなかったから、うまくやってこられたのかもしれないですね」と振り返る。

 「こんな感じかな?」「まずはやってみよう」

 素人だからこそ、枠にとらわれることなく、気負わずに挑戦することができたという。

 睦美さんは、食べたあとに「もうちょっと食べたいな」と思うぐらいの「重くないあん」を目指した。

 ようやく、ちょうどいいあんばいのアーサまんじゅうが完成したのは、およそ半年後のことだった。

甘すぎない優しい味

 立ち上げから12年。城まんじゅうは地域の人々に支持される名物まんじゅうに成長した。他の市町村からも手土産などに買い求める客が少なくない。

 この日も常連客などが何度となく訪れ、睦美さんや真由美さんと談笑していた。店内には、まんじゅうを蒸したり、包んだりするときに欠かせないサンニンの香りが漂う。

 取材の終わりに蒸し上がったばかりのほっかほかのまんじゅうをいただく。もちもちした皮に甘すぎない粒あんが優しくて、どこか懐かしい味がした。

(﨑山裕子)



城まんじゅう
北中城村仲順230(仲順バス停前
☎098(935)3964
営業時間=9〜17時
売り切れ次第終了

このエントリーをはてなブックマークに追加



城まんじゅう
城まんじゅう作家の豊永盛人さんはオリジナルと古典的な城まんじゅうを制作している。写真の「鯉乗り童子」は、ピンク色が古北中城名物のアーサまんじゅう。蒸すとアーサの緑色が濃くなる
城まんじゅう
「城まんじゅう」の金城睦美さん(右)と玉城真由美さん
城まんじゅう
あんは多めだが甘さ控えめで重くない
城まんじゅう
冷蔵庫に1日寝かせたあん。奥はアーサを練り込んだ皮
写真・村山 望
城まんじゅう
城まんじゅう
アーサいなりや、塩麹(こうじ)にオリジナルのスパイスを入れ漬け込んだチキンの唐揚げも人気
城まんじゅう
パッケージは、睦美さんがトールペイントの経験を生かしデザインした
城まんじゅう
あんを手際よくまんじゅうの皮に載せて包む
城まんじゅう
あんを手際よくまんじゅうの皮に載せて包む
城まんじゅう
アーサまんじゅうと、粒あんの中にすりごまを入れたゴマまんじゅう。1個120円
>> [No.1724]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>