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[No.1682]

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「表紙」2017年07月20日[No.1682]号

ザ夫婦

ザ・夫婦(み〜とぅ) 16


シニアソムリエ 前森 裕人さん
インテリアコーディネーター 前森 章子さん

心地よい空間でワインを

 那覇市泉崎のワインとインテリアコーディネートの店「クラシコ」には欧州、南米、日本などのワイン約600種類がある。代表取締役で日本ソムリエ協会沖縄支部長、シニアソムリエでもある夫・前森裕人さん、店内をデザインしたインテリアコーディネーターの妻・前森章子さんの思いが詰まった店だ。「クラシコ」は、スペイン語で「伝統的な」「最先端」の意味。また、暮らしを豊かにという思いを込めて、暮らしをクラシコと重ねた。



2人の目標、やがて1つに

 2人は約30年前、県内の予備校で出会い、大学進学と同時に付き合い始めた。しかし、裕人さんは沖縄、章子さんは東京の大学。最初から遠距離恋愛だった。

 携帯電話やメールのない時代、2人は公衆電話で会話。また、2、3日に一度は手紙を出していたという。その手紙は青春の思い出として大切にしている。

 夏休みや春休みには、2人で日光や、箱根を旅行した。その時体感した、その土地ならではの建築物や美術品、地元の料理やお酒を楽しんだことは、2人の後の生活、職業に影響を与えることになる。

それぞれの道を歩む

 大学卒業後、裕人さんは「トップのホテルマン」を目指し、大阪全日空ホテル・シェラトン(当時)に就職、レストラン部門に配属される。

 ある日、仕事帰りのルーティンとなっていた阪神デパートのワイン試飲コーナーで「シャトー・ディ・ケム」という貴腐ワインを味わう機会に恵まれた。「心地よい甘味とかすかな苦み、厚みがあり、非常に長い後味の余韻、そこには、全ての味わいが含まれていると感じました」。そのとき、「ワインの素晴らしさを伝える仕事をしたいと思いました」と語る。

 3年間の大阪での仕事を経て沖縄に戻った裕人さんは、オープン間近の沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハ(那覇市前島)に就職した。同時に章子さんも東京から沖縄に戻り、約7年間続いた遠距離恋愛に終止符を打ち、結婚。裕人さんは、ワインの勉強も重ね、ソムリエの資格を取得した。そのお祝いにホテルの社長からフランスへの旅をプレゼントされた。社長と2人でワインの産地を巡り、土地の料理を味わい、名の知れたレストランへ行った。

 「それが今の自分のベースになっていて、とても感謝しています」と裕人さんは話す。

 結婚後、章子さんは幼い頃から好きだったインテリアへの関心を形にしていく。インテリアコーディネーター、2級建築士の資格を同時に取った。資格取得後は県内家具店とデザイン事務所で働き、その後独立。那覇市おもろまちに「アトリエ・ビス」を構えた。「ビス」は建築で使うビスの意味のほかに、ワイン用語の「コルク」という意味もあり、ワインをなりわいとしている夫といつか一緒に仕事が出来ればという願いを込めた。

再び2人の時間

 裕人さんは、沖縄かりゆしアーバンリゾート・ナハを退職し、フレンチレストランへ就職、30歳でシニアソムリエの資格を取得した。その後、ワインの輸入業社で勤務、2012年に「クラシコ」を開業。章子さんは店内をデザインした。

 それぞれが資格を取りながら、目標に向かっていった年月は、2人の息子の子育ての時期でもあった。裕人さんはレストラン勤務で、時間的に不定期なことが多く、子育ては章子さんが多くの時間を担当。「子どもたちには自分のやりたいことは全部やらせ、全力で応援しました。子どもたちが何かを選択した時、『楽しんでいるか? そこで輝いている自分がイメージ出来るか?』を必ず聞いています。また、楽しむには、目標に向かって本気で頑張らないといけないことも。現在2人は大学生。それぞれの目標に向かって楽しみながら頑張っています」と章子さんは話す。

 夫婦の時間が多くなった今、2人の共通の趣味である旅行やドライブで見聞を広めていきたいと語る。昨年末には、今人気の日本ワインが楽しめるワインバー「ル・ボワ」を那覇市牧志の桜坂エリアに開業した。もちろん、ワインを選んだのは裕人さん、店内のインテリアは章子さんだ。「ワインと料理を楽しむ場面を多くの人に提供したい」。そのために、2人はそれぞれの専門分野に磨きをかける。

(又吉喜美枝)



円満の秘訣は?

裕人さん:いろんなところに足を運び、共通の時間を過ごすこと。

章子さん:けんかしても次の日には持ち越さないようにしています。

プロフィール

まえもり・ひろと:1968年生まれ、那覇市出身。96年ソムリエ資格、99年シニアソムリエ資格取得。2004年、第3回全日本最優秀ソムリエコンクール沖縄代表、12年「ワイン&インテリア クラシコ」を開業。17年株式会社クラシコを設立、代表取締役に就任。西大学院でワイン入門担当の講師を務める

まえもり・しょうこ:1969年生まれ、那覇市首里出身。98年、インテリアコーディネーター資格、二級建築士取得。県内家具店、デザイン事務所勤務を経て、2005年「アトリエ・ビス」設立。12年11月、「ワイン&インテリア クラシコ」を設立。今年4月株式会社クラシコを設立し、取締役に就任。沖縄県インテリアコーディネーター協会理事

ワイン&インテリア クラシコ
那覇市泉崎2-2−3
☎098-854-7511

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前森 裕人さん 前森 章子さん
それぞれが好きなワインとインテリアで資格を取った前森裕人さん(写真左)と章子さん。思いの詰まった店「クラシコ」は、国内外のワイン約600種類が並ぶ。店内のインテリアは章子さんが担当=那覇市泉崎の「ワイン&インテリア クラシコ」
写真・村山 望
前森 裕人さん 前森 章子さん
ソムリエ資格取得後、フランスへ研修旅行
前森 裕人さん 前森 章子さん
昨年12月、那覇市牧志の桜坂エリアにオープンした「ル・ボワ」。日本のワインを中心にした店だ
前森 裕人さん 前森 章子さん
毎年写真館で家族写真を撮るのが楽しみ
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