沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1680]

  • (金)

<< 前の記事  次の記事 >>

「表紙」2017年07月06日[No.1680]号

ザ夫婦

ザ・夫婦(み〜とぅ) 14


空想「標本箱」作家 根間 辰哉さん
アシュヴィニ・アーユルヴェーダスクール 主宰 根間 洋子さん

互いの個性を輝かせて

 インドの伝統医学・アーユルヴェーダを学び、講師として活躍中の根間洋子さん(54)。夫の根間辰哉さん(54)は、自身が集めたミニカーやキーホルダーなどを標本のようにガラスケースに並べた「標本箱」を製作する作家。それぞれに自分の世界を持つ2人だが、夫婦仲は円満だ。協力し合える部分では協力し合いながらも、お互いの個性を尊重し、「夫婦といっても別の人格。パートナーにはやりたいことをやってもらい、生き生きとしていてほしい」と笑う。



やりたいことを大切に生きる

 那覇市出身の辰哉さんと愛知県名古屋市出身の洋子さんは、19歳の時に出会った。お互い名古屋市内の別の大学に通っていたが、ボランティアサークルを通して知り合った。

 学園祭では、2人で力を合わせてカフェを出店した。辰哉さんが英字新聞、雑誌の切り抜きを活用してディスプレーしたカフェは評判となり、連日大盛況。その時、洋子さんは「このペア、いけるな」と思ったという。

 2人は順調に交際を続け、1987年に結婚。辰哉さんの故郷・沖縄に居を構え、2年後の89年には、那覇市内に共同でエスニック輸入雑貨店「タタバザール」をオープンさせた。

 お店の内装は、商品陳列用の棚を含め、ほぼすべて辰哉さんが手作りで仕上げた。

 「お金がないところで、どう見せていくかを工夫した」と辰哉さん。当時、手作りのテイストを生かしたディスプレーは珍しく、評判を呼んだ。

それぞれの道へ

 はじめは1店舗でスタートしたタタバザールは、やがて人気店へ。オリジナル商品の開発、リゾートホテルへの卸も手がけ、県内に5店舗を展開した。2人の生活は多忙を極め、365日ほとんど休みもとらずに朝から晩まで働き続けた。

 経営は順調だったが、創業20年が近づいた時、計画的に店を閉じた。「一番いい時にやめたかった」。辰哉さんは閉店の理由をこう語る。

 洋子さんは、20年続いた激務が原因で、肩こり・腰痛などの不調に悩まされるようになっていた。そのころ、インドの伝統医学・アーユルヴェーダと出合い、実践すると体が楽になった。

 もともとインドに魅力され、インド哲学や音楽に触れていた洋子さんは、本格的にアーユルヴェーダを学ぶ決意を固め、7年かけてコースを修了。14年5月に「アシュヴィニ・アーユルヴェーダスクール」を開校した。

 一方、辰哉さんは、子どものころから趣味で集めていたミニカーやキーホルダーなどをガラス張りの箱に集めて飾ってみたところ、「面白い」と評判を呼び、「標本箱」作家として個展を開くようになった。

 2人は、それぞれが持って生まれたものを突き詰めることで、道を切り開いていった。

若々しいオーラの秘密

 今年で結婚30周年を迎える辰哉さんと洋子さん夫婦とお会いして、まず感じたのは「若々しさ」だ。2人の周囲には、まるで若者のように生き生きしたオーラが漂う。

 話を聞くうちに、それは2人が「やりたいことを全力でやって生きている」からだと分かってきた。

 子どものころからインド文化に惹かれ続けた洋子さんはアーユルヴェーダの講師に。物を集めて飾ったり並べたりするすることが大好きだった辰哉さんは、「標本箱」作家に──。持って生まれた個性を輝かせているのだ。

 「ダッズ・ガレージ」と名付けられた辰哉さんの工房には、男の子の夢が詰まったコレクションがぎっしり。妻としては内心穏やかではないのでは……と洋子さんに心のうちを聞いてみると、「じゃまだと思ったことは1度もないですよ」との答えがすぐさま帰ってきた。

 「男の人は、好きなことをやっていないと元気がなくなる。やりたいことをやって、生き生きしていてほしいです」と洋子さんは笑う。

 もちろん、協力できることは協力し合う。スクールのチラシや名刺は辰哉さんがデザイン。洋子さんも、辰哉さんにアーユルヴェーダの健康法を教えることがある。

 1人娘も独立し、「学生時代に戻ったみたい」と話す2人。お互い、夢中になれるものをもった夫婦に、まぶしさを感じた。

(日平勝也)



円満の秘訣は?

辰哉さん:お互いができないことを助け合うこと。できることも一緒にやること

洋子さん:相手の自由を拘束しない。人にはそれぞれ人生があるので、その人がもっているものを大事にしていくこと

プロフィール

ねま・たつや: 1962年、那覇市生まれ。名城大学卒業。89年、妻の洋子さんとエスニック輸入雑貨店「タタバザール」をオープン。内装デザイン、什器製作、商品開発などを手がける。2010年、那覇新都心にデザイン工房「ダッズ・ガレージ」を開設し、ビジュアル・アート、オブジェ作品の製作を行う。
(個展)15年 第1回空想「標本箱」展(沖縄タイムスギャラリー)、16年 第2回空想「標本箱」展(沖縄タイムスギャラリー)、16年 「大人男子の夢ガレージ」(リウボウ)など

ねま・ようこ:1963年、愛知県名古屋市生まれ。南山大学哲学科卒業。2008年からドクター・クリシュナ U.K.に師事し、アーユルヴェーダを学び始める。14年、自身が主宰する「アシュヴィニ・アーユルヴェーダスクール」をオープン。琉球新報カルチャーセンター等でも定期講座を開講している

アシュヴィニ・アーユルヴェーダスクール
那覇市天久2-2-15 プラスコート4F
☎098(864)1996
ブログ http://ayuryoko.ti-da.net/

このエントリーをはてなブックマークに追加



根間 辰哉さん 根間 洋子さん
ミニカーやミニチュアの飛行機、ラジオなどを並べた自作の「標本箱」作品を手にする根間辰哉さんと、インドの民族衣装に身を包みアーユルヴェーダの専門書を持つ根間洋子さん=那覇市天久のアシュヴィニ・アーユルヴェーダスクール
写真・村山 望
根間 辰哉さん 根間 洋子さん
娘の星奈さんと一緒に=1990年ごろ、タタバザール店内
根間 辰哉さん 根間 洋子さん
県女性センターてぃるるにて、アーユルヴェーダの講座を行う洋子さん
根間 辰哉さん 根間 洋子さん
辰哉さんの工房「ダッズ・ガレージ」には、辰哉さんが収集したさまざまなオブジェが所狭しと並ぶ
>> [No.1680]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>