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[No.1672]

  • (金)

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「表紙」2017年05月11日[No.1672]号

ザ夫婦

ザ・夫婦(み〜とぅ) 6


チューイチョーク株式会社 代表取締役 豊田 規秀さん
チューイチョークリビング株式会社 代表取締役 豊田 里絵子さん

仕事も育児も互いにフォロー

 「100年先を見据えて、理想の街をつくりたいんです」と、目標を掲げる豊田規秀さん(42)と妻の里絵子さん(42)。満足できる家に住み、すてきな店が周囲に立ち並ぶ住環境づくりを目指している。20年前に沖縄に移住した規秀さんは、内装を手掛けたカフェで里絵子さんと出会い意気投合。一緒に住むまでに、時間はかからなかったという。「感性が似ていて毎日おしゃべりが止まらない」2人は、親友と同居している感覚で時を重ねている。



2人で好きなこと続けたい

 大学で住空間を学んだ後、愛知県で大工として働いていた規秀さんは、1997年に沖縄を訪れた。

 「学生時代に旅行で数回来ていましたし、姉が住んでいたので縁を感じたんです」

 当初1年程度の滞在予定だったが、気が付けば数年が経過。とあるきっかけで規秀さんは那覇市内でカフェ開業時の内装を手伝い、開店後はスタッフに。そこで里絵子さんと運命の出会いを果たす。

 「東京の大学在学中にカフェブームを経験し、働くならカフェでと思っていました。卒業して実家に戻った当時、働きたいと唯一思えたカフェが夫のいる店だったんです」と、里絵子さんはほほ笑む。

 規秀さんは家具職人、里絵子さんは陶芸作家としての顔もあった。同じカフェで働き、物作りが好きという共通点もあった2人は、仕事を終えて毎晩のように飲みに行き、日常のことや夢を語り合った。出会って1年足らずの2000年から同居を始め、規秀さんの心には沖縄に根付こうという気持ちが生まれた。

苦労時代を乗り越えて

 プライベートでパートナーになった2人は、ビジネス面でもパートナー関係を築いた。

 「最初に立ち上げたカフェでは彼女が料理作り。僕は家具を作って店内に置き、気に入ってくださった方に販売したんです」と規秀さん。

 残念なことに最初のカフェは、経営難で閉店。アルバイトをしながら2人は苦労を乗り越えた。

 「あなたはサラリーマンタイプではないと笑いながら夫に伝え、生活から逃げる人ではないと信じ、何とかなると思ってきました」。里絵子さんのおおらかで前向きな姿と思いが、規秀さんの苦境を支えた。

 カフェを閉めて3年後に2人が手掛けたのは、浦添市港川の家具と雑貨の店「オハコ」。

 「自宅兼用で、はじめは月1回だけオープンしました。ブログなどで情報が広がり、月に7回開けられるくらいお客さまが増えていきました。自分たちができることをやってみたら、共感してくれる方たちがいたんです。本当にうれしかった。お菓子を出し始めたら、食べに来てくださる方もいたんです」と、里絵子さんは振り返る。

 「時代の流れもあったと思います。雑貨ブームが到来して、僕たちがそのはしりだったんですよね。好きなことをしつこく続けてきたからこその結果です(笑)」と、規秀さんは目を細める。

家作りはキッチンから

 2008年末には株式会社を設立し、翌年にはフルーツタルト専門店「オハコルテ」をオープン。

 「女性パティシエが長く働ける、理想のお菓子屋さんを形にした店です」。使命感に燃えた規秀さんは自信もつき、開店とほぼ同時期に里絵子さんと結婚。3人の子どもを授かり、事業面でも内装業と店舗拡大を続け、2人一緒に一歩ずつ前に進んだ。

 「キッチンから始まる家作り」をコンセプトに、間もなくホームセンターも開設。今後農場や牧場作りも本格的に始動したいという。借り手のニーズに合わせた賃貸住宅設備を整えるのも、2人の目標だ。

 「チューイチョークタウンという僕たちの理想の街をづくりたいんです。街の中にはオハコルテやホームセンター、そして家もある。その街で好きな物を自宅で作る作家になりたい。子どもたちの成長を見ながら、近所にあるお気に入りの店を散歩するのが夢です」と、未来像を語る規秀さん。うなずく里絵子さんと手を取り合って、二人三脚でさらなる夢をかなえていく。

(饒波貴子)



円満の秘訣は?

豊田規秀さん:尊敬すること。好きになった人がそのままでいてくれることがうれしいし、お互いのテリトリーには踏み込みません。相手を尊敬して人となりを認めたら、夫婦げんかはなくなると思います。

豊田里絵子さん:相手が楽しくしていると幸せを感じます。個性を尊重し、その人でいてもらうためにはどうしたらいいかと考えたいですね。つまらない理由でお互いを制限する必要はなく、自由な時間を持つことが大切だと思っています。

プロフィール

とよだ・のりひで:1975年生まれ、愛知県出身。国立高岡短期大学卒業後、1997年から沖縄で暮らし始める。家具と陶芸を製作・販売する「チューイチョーク舎」を2000年に個人経営で創業し、08年に「チューイチョーク株式会社」を設立。内装業をはじめ、09年にはフルーツタルト専門店「オハコルテ」を浦添市港川に開店した。現在5店舗の「オハコルテ」を経営中。住環境を整えるホームセンターの開業準備も進めている
とよだ・りえこ:1975年生まれ、那覇市出身。立教大学卒業後、沖縄に戻りカフェのアルバイト仲間として規秀さんと出会う。以降ビジネス、プライベート共に規秀さんとパートナー関係を築き、2009年に結婚。二男一女を授かった。

チューイチョーク株式会社 http://www.chewi-choak.com/

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西向 幸三さん 伊藝 梓さん
カフェや雑貨店経営の経験をステップに、好きなことを続け好きな物を販売している豊田規秀さんと妻の里絵子さん。規秀さんは家具職人で里絵子さんは陶芸作家の顔も持ち、100㌫の信頼を寄せ支え合っている=「オハコルテ」泉崎店(那覇市)にて
写真・村山 望
西向 幸三さん 伊藝 梓さん
オープンして間もない頃の「オハコルテ」港川本店の外観=2009年
西向 幸三さん 伊藝 梓さん
オハコルテのオープンから1年が経った頃、当時のスタッフとの記念写真
西向 幸三さん 伊藝 梓さん
二男一女を授かった豊田夫婦
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