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[No.1551]

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「表紙」2015年1月8日[No.1551]号

gogo sports

GO!GO!スポーツ 8

トランポリン
ケンケン体操教室 喜納 女美さん(きな くのみ)

 ポーン! と高さ3㍍は跳びはねただろうか。連続してトランポリン台をけり上げ、天井近くまで跳び続ける。空中で手足を伸ばし、華麗に技を決めた。

 トランポリン競技は、ジャンプを10回連続して、空中での屈伸や回転などの技の組み合わせで高さやポーズを競う。

 うるま市具志川総合運動公園近くにあるケンケン体操教室に勤める喜納女美(きな くのみ)さん(30)=うるま市=は、県内大会17歳以上の女子の部で3年連続優勝する現役のトランポリン選手だ。「トランポリンは競技として魅力的だけでなく、レクリエーションとしても楽しくできて、後輩に教えているだけでも面白いです。3歳児からお年寄りまで楽しめますよ」と爽やかな笑顔で語ってくれた。



5分跳びはねる。運動量はジョギング1㌔相当

 トランポリンといえば、サーカスの曲芸や児童が遊ぶ遊具のイメージがあるかもしれないが、れっきとしたオリンピック正式種目の一つだ。日本では、2020年の東京オリンピックに向けて、正式な国体競技に導入される予定で、昨年10月に長崎県で開催された国体でトランポリンのデモンストレーション競技が行われた。

 沖縄にも本格的にトランポリンができるスポーツクラブが幾つかある。その中の一つ、ケンケン体操教室は、県内でトランポリン競技の普及に尽力する又吉健一さんが主宰するスポーツ教室だ。その教え子であり、同教室のインストラクターとして勤める喜納女美さんは、女性トランポリン選手としても活躍している。

 「中学で体操を始めて、2年生のときに外部コーチとして又吉先生から体操を教わりました。学校が終わっても又吉先生のスポーツ教室で体操のレッスンを続けました。高校卒業後はそのままインストラクターとして入社しました」

 時には、技がうまくできなくて挫折しかけたこともあったそうだが、又吉さんのスポーツ教室が好きだったので続けられたのだという。「先生がすごいところは、怒らないことなんです。厳しく指導しないのに教え子たちを上達させるのはすごいこと。トランポリンを始めたのはインストラクターになってから。私は、体操のキャリアが長いんですよ」

 意外にも“体操女子”だった喜納さん。実は体操の経験があったからこそ、空中でのアクロバティックな技が美しいのだ。同僚で後輩の砂川楓(かえで)さん(25)は、「私も体操選手だったのですが、喜納先輩のすべてのジャンプがとてもきれいで見習いたいです」と語る。今年4月に入社した砂川さんの存在は、喜納さん自身の練習にも張り合いをもたらしたとか。

 これまで県内では大人の女子トランポリン選手がほとんどいなかったので、同志として、またライバルとしてお互いに切磋琢磨しているようである。先輩としての喜納さんについて、「後輩たちに指導するときは厳しいところもあるのですが、喜納さんの厳しさに子どもたちが応えてくれるんですよ。信頼関係を築いているからこそなんですよね」と砂川さん。



体幹まで鍛えられる

 2人とも基礎の部分を体操で鍛えてきたが、体操をやってきた人にしかトランポリンができないのかといえば、そうではないらしい。

 「身体を動かしたい人であれば、年齢を問わず、自分の体力や能力に合わせて無理なくできます。小さなお子さんやご年配の方でも、最初はゆっくり揺れることから。それに慣れてきたら軽くジャンプ、そしてまっすぐに跳ぶ練習を始めます」と喜納さん。跳んでいるだけで、バランス力、体幹を整えられるという。

 「トランポリンを5分やることはジョギング1㌔を走る運動量と同じくらいなんですよ」

 軽々とそして楽しみながらインナーマッスルまで鍛えられるのがトランポリンの魅力なのである。

写真/編集 桑村ヒロシ

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ケンケン体操教室
躍動感あふれるジャンプ。空中で華やかに技を決めた。県内大会はTシャツなど動きやすいコスチュームで参加できる=うるま市・ケンケン体操教室
ケンケン体操教室
後輩に指導する喜納さん。教室の体操選手コースではトランポリンも習う
ケンケン体操教室
バネの力を使って、身体に無理せずに運動することができる
ケンケン体操教室
左から喜納女美さん、その後ろに砂川楓さん、そしてケンケン体操教室の皆さん。後列の右から2番目が又吉健一先生
ケンケン体操教室
ルール
 幾種類もの技の中から、競技では屈伸や横・縦回転など10種類の技を選び、10回連続して跳ぶ。ジャンプの美しさ、高さ、技の難易度で採点される。個人競技のほか4人1チームの団体戦、2人1組のシンクロナイズド競技、ダブルミニ競技、タンブリング競技などがある。その他にも、レクリエーションとしてのシャトル競技があり、最低6つの技をマスターさえすれば参加可能で、ゲーム感覚で楽しむことができる。

沖縄県トランポリン協会連絡先
ケンケン体操教室
TEL:098-973-8187
http://ケンケン体操教室.jp/
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