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[No.1503]

  • (金)

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「表紙」2014年01月30日[No.1503]号

情熱アチコーコー 40

情熱アチコーコー 40(2014年01月30日掲載)

腕相撲のイベント「腕我最強」

腕一本の真剣勝負

 力自慢の真剣勝負・腕相撲。2010年から那覇市国場で行われているイベント「腕我(わんが)最強」は13年12月の大会で20回を数えた。素人でも分かりやすい独自のルールを設け、県内の腕相撲を盛り上げてきた。同大会への参加をきっかけにアームレスリングを始めた実行委員の国吉真義さん(34)=チーム西原=は「『腕我最強』で腕相撲をする人が増えた。腕相撲は誰でもできる。体格は関係なく、細くても強い人がいるので面白い」とその魅力を語る。腕一本で勝負する男たちに熱い思いを聞いた。

日本王者目指して

 テーブル一つあれば、誰でも気軽にできる腕相撲。向かい合って互いの手を握り、相手の腕を押し倒すことで勝敗がつく。

 トーナメント方式で闘う腕相撲のイベント「腕我最強」は、嘉数幸輝さん(38)が同級生と始めた。「最初は遊びで腕相撲をやっていたが、県外で大会があることを知り、知人に呼び掛け、試合を始めた。専用の競技台まで作ったよ」と振り返る。嘉数さんが経営する那覇市国場の居酒屋「旬鮮厨房 味だより」を会場に、約30人が参加して2010年6月に第1回大会を開いた。

回重ね参加者増加

 その後、3カ月に1回程度、大会を開催。回を重ねるごとに参加者が増え、現在は約80〜100人がエントリーするまでになった。20〜40代の会社員や消防士、自衛隊員、建築業など、さまざまな職業の男たちが力比べをする。

 現在は男子の右腕の試合を開催。初心者などの「アマチュア」と、同大会で成績を残すなど条件をクリアした「プロ」の部に分けて闘う。体重で階級を分けた勝ち抜き戦だ。

 腕相撲に似たアームレスリングは専用の競技台を使い、細かいルールの下で行われるが、「腕我最強」は誰でも分かりやすいシンプルなルールを設けて対戦する。同大会をきっかけに腕相撲やアームレスリングを始める人が多く、アームレスリングのチームは宮古・八重山も含めると10チーム以上あるという。

 これまで嘉数さんを中心に大会を行ってきたが、今年から若い人に運営を任せようと、「イーストブルー」「ガレージNAO」「経塚アーム」「チーム西原」の4チームの主要メンバー6人が実行委員になり、新体制がスタートした。

汗の分だけ力強く

 15人が所属する「チーム西原」は週に1回、実際に対戦して練習している。金城晃さん(35)は、第1回大会からの参加者だ。「昔はよく居酒屋で腕相撲をやっていたので大会に出てみたが、1回戦で負けて火がついた」と言う。悔しさをバネに練習を重ね、第4回大会で優勝を果たした。13年にはアームレスリングの第15回長崎選手権大会でも優勝。「流した汗の分だけ強くなれる。アームは男同士のスポーツ。男なら誰でも腕相撲に勝ちたい。西日本で優勝し、全日本での優勝を目指したい」と抱負を語る。

 3年前に立ち上げた「イーストブルー」は、21〜44歳までの幅広い年齢のメンバー約20人が参加。週に2回、練習をしている。女子のメンバーもいる。監督兼選手の前田亘さん(36)は「ダンベルで筋肉はつくがアームは強くならない。一人一人、手の握り方や太さが違うので、対戦すればするほど強くなる」と話す。「アームはテーブルがあればどこでもでき、同じ志で向き合え、腕一本で語り合えるところがいい。アームを通して知り合ったメンバーは互いに強くなるのはもちろん、何かあった時に手を差し伸べてくれる大切な仲間」とチームの結束の固さが自慢だ。

 「腕我最強」の今年初の試合は2月23日。これまでは個人戦を行ってきたが、1チーム5人で初の団体戦を繰り広げる。国吉真義さんは「これまで築いてきた大きな土台は崩さず、新しい発想を取り入れながらやっていきたい。『腕我最強から日本王者』を目標に、全国にどんどん出ていきたい」と力強く語る。

 全身から気迫が感じられる選手たち。沖縄から日本一が誕生する日が楽しみだ。

豊浜由紀子/撮影・桜井哲也

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腕我最強
全身全霊を傾けて闘う「チーム西原」の金城晃さん(左)と「イーストブルー」の前田亘さん。相手の腕を倒すまで男同士の真剣勝負だ=那覇市国場の「旬鮮厨房 味だより」
腕我最強
「イーストブルー」に所属する親川鑑(かん)さん。実行委員の中でも筋肉が自慢の一人
腕我最強
熱戦が繰り広げられる競技台。左手で握るバーと右ひじを置くクッションなどが設置されている
腕我最強
(写真左から)親川鑑さん、松原恭兵さん、国吉真義さん、下地寿宏さん、金城晃さん、嘉数幸輝さん、上間安彦さん
「腕我(わんが)最強」
2010年6月から那覇市国場の居酒屋「旬鮮厨房 味だより」で開かれている腕相撲の大会。初心者でも分かりやすい独自のルールで、13年12月までに20回の個人戦を行う。現在は約80〜100人が参加し、プロ・アマの体重別に分かれて闘う。初心者の参加も大歓迎。2月23日(日)には初の団体戦を開催する。
 問い合わせは、☎098(854)6203〔味だより〕
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