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[No.1476]

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「表紙」2013年07月18日[No.1476]号

あちこーこー 16

アチコーコー 16(2013年07月18日掲載)

女子硬式野球チーム「ティーダバル」

快音を響かせて

 カキーン。バットに当たった白球が快音を響かせ、大きなアーチを描いて伸びていく—。硬式野球のだいごみともいえる、そんな光景にあこがれるのは男子だけではない。八重瀬町宜次グラウンドで練習する「ティーダバル」は、県内唯一の女子硬式野球チーム。現在、中学生から社会人までの16人が所属している。発足して4年。「硬式野球をやりたい」という女子の受け皿となり、着実に力をつけてきた。来月「全日本女子硬式野球選手権大会」に出場。初の決勝トーナメント進出を目指し、練習に気合いが入る。

チームからプロ選手を

 県内唯一の女子硬式野球チーム「ティーダバル」はもともと、県内で女子野球の親善試合を開催するために結成された。2010年12月、県外から2チームを招き、沖縄セルラースタジアム那覇で行われた親善試合。ティーダバルは2敗したものの、試合は成功裏に終わった。

 当初の目的を果たしたチームだったが、親善試合の後も「野球を続けたい」という声が強く、存続されることになった。今では、読谷村や沖縄市から通うメンバーもいる。

受け皿不足

 実は、日本は女子野球の強豪国だ。日本代表「マドンナジャパン」は、世界大会で3連覇中。国内では、女子のプロリーグも4年前に立ち上がった。女子野球は確実に広がってきている。さらに沖縄は、ほかの地域に比べて学童野球に参加する女子が多く、その人数は毎年増えているという。身体能力が高い沖縄の子どもたちは当然、女子野球でも活躍が期待できる。

 ただ中学生になると、男子に交り野球部に入る子もいるが、ほとんどの女子が別のスポーツを始める。高校でもファンが多い男子野球に比べ、女子野球部を持つ学校は県内にはない。ソフトボール部も多くはなく、学校での受け皿が不足している現状だ。

 小学3年生で野球に出合った、メンバー最年長の城間智子さん(31)はプロ選手を目指す野球少女だった。中学生になっても野球への思いは変わらず、女子野球部がある県外高校に進学した。「沖縄では硬式ができる環境がなかった。いずれはチームができてほしいと思っていた」と振り返る。「体が小さくても、バットの芯に当てれば遠くに飛ばすことができるのが楽しい」と話し、重いバットで体を鍛える努力家。「一歩一歩前に進み、いずれは全国優勝したい。その時まで現役で頑張る」と目を輝かせた。

全国に挑む

 着実に力をつけてきているティーダバル。プロを目標にする若い選手も出てきた。西原東中3年生の友利南海さんは、男子に交じり学校の野球部に所属していた。「ボールがバットに当たった時の感触、アウトにした時の喜びが大好き。ここで頑張って、将来は女子プロ野球の選手になりたい」と胸を張った。

 一方で運営面で課題もある。少人数のため活動費の捻出に苦労。練習場所の確保も大変だ。社会人メンバーが多いので、練習は夜間になり、ナイター設備が必要だが、条件が整っているグラウンドを借りると、予算オーバー。全国大会に出場するための経費とともに、負担が大きくのしかかる。

 それでも、関係者は、支援を惜しまない。ピッチャーの新垣友稀さん(東風平中3年)の母親で、チームの責任者を務めるかおりさんは、「沖縄に女子硬式野球を根付かせたいという思いがある。いつかプロ選手が出てくれたらうれしい」と語った。

 8月3日からは「第9回全日本女子硬式野球選手権大会」が愛媛県で開催される。出場チーム数は年々増加。ことしは全国から36チームが集まる。チームにとって3度目の出場。初出場した一昨年は2試合コールド負けだったが、昨年は1勝した。ことしは、2勝して、決勝トーナメント進出を目指す。

 主将の宮城安紀子さん(23)は、ことしが初めての大会参加。就職したばかりで、職場の後押しを受けて大舞台に挑む。「周囲の支援があって続けられる。全国大会の予選を突破したい」

 日が暮れたグラウンドで汗を流す16人。ひたむきな姿が、沖縄の女子野球に新たな歴史を刻む。

編集・岩崎みどり/写真・伊波一志



ティーダバル
バッティング練習をする友利南海さん。キャッチャーは奥間ひかりさん=八重瀬町の宜次グラウンド
ティーダバル
守備の練習をするメンバーたち=八重瀬町の宜次グラウンド
ティーダバル
監督の西原洋市郎さんを囲んで、練習後のミーティングをするメンバーたち
ティーダバル
 沖縄女子硬式野球チーム「ティーダバル」
 水曜日19時半からと土曜日14時から、八重瀬町宜次グラウンドで練習。責任者・新垣かおりさん、総監督・安次嶺康一さん、監督・西原洋市郎さん。メンバーは、主将・宮城安紀子さんほか15人。
☎070(5818)7794(新垣さん)
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