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[No.1466]

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「表紙」2013年05月09日[No.1466]号

あちこーこー 6

アチコーコー 6(2013年05月09日掲載)
華流情報を発信する「アジアン天堂」

香港・台湾の芸能人♡

 韓国発の映画、ドラマ、歌などの大衆娯楽文化の流行を意味する「韓流」に対し、香港、台湾、中国などの中国語文化圏発の文化の流行を示す「華流(ファーリュー)」。この華流を愛する女性たちでつくるグループ「アジアン天堂」がある。台湾人アイドルグループで日本でも大人気の「F4」のメンバーを独自インタビューし、同人誌で発表するなど活動は本格的。華流の人気が高まりつつある中、メンバーの豊富な知識は県内外から注目され、イベントやラジオにも出演するなど活動の幅を広げている。

見る側から伝える側へ

 日本の人気少女漫画「花より男子」を基に製作された台湾ドラマ「流星花園」が2003年、日本に逆輸入され大ヒットした。これをきっかけに関心が高まった台湾芸能界。「華流」の言葉もこのころから使われるようになった。

 アジアン天堂の結成は、この華流ブームに先立つ。メンバーの饒波貴子さん、真謝尚美さん、豊川世利子さんは、ブーム前から香港映画ファンで、1998年ごろから情報交換などをしてきた。

大胆に取材活動

 2000年にレスリー・チャン主演の映画「恋戦オキナワ・ランデブー」が県内で撮影された際、「せっかくだから取材しよう」と、ロケ取材や監督インタビューを敢行。同人誌「アジアン天堂」を発行し、発表したことが活動の始まりになった。

 同人誌は、予想を上回る500冊が県内外で売れた。01年には、俳優アンディ・ラウらを取材した香港旅行記をまとめ、第2号を発行。02年発行の第3号は台湾を取り上げ、まだ日本では無名だったF4の一人を単独インタビューした。「今、考えると大胆。みんな仕事もあって忙しかったけど、楽しかった」と饒波さんは振り返る。

 華流が注目され始めると、培ってきた知識や人脈が重要視され、饒波さんは華流ライターとして活動するようになった。

 メンバーが集う那覇市内の台湾茶専門店「流求茶館」。12年11月、同店と合同企画で台湾映画の上映会を初開催した。期間中、饒波さんは「台湾エンタメ講座入門編」を開催。これまでの取材で記録してきた写真などを紹介した。県外からも参加するほど盛り上がった。

 この講座には、同店でアルバイトする岡田留美子さんも登壇した。「最初は中国語の名前を見ても男か女か分からなかった。でも知ってみると、みんな魅力的で面白い」。これを機に岡田さんも関心を持つようになり、今ではメンバーとして、饒波さんとラジオ番組に出演するほどになった。

異文化への入り口に

 3人共通して好きなのは香港映画だ。饒波さんは、子どものころからジャッキー・チェンらの映画に親しんできた。社会人になり香港を訪ねたとき、スターとファンの距離の近さに驚いたという。「事務所の人が撮影現場に連れて行ってくれたり、『日本からよく来てくれたね』と声を掛けてくれたりした」と目を輝かす。

 また1990年代、中国返還間近の香港が注目される中、香港映画が上映される機会も増えた。真謝さん、豊川さんはこのころ、香港映画に出合った。真謝さんは「映画も、混沌とした香港を反映していた。大スターがコメディーやアクション、悪役などもして『何でもあり』で面白かった」と語る。アンディら「四大天王」が活躍した当時を、豊川さんは「昔の日本の芸能界のような華やかさがあった」と説明する。

 「こんな長い間、活動が続くとは思わなかった。好きという気持ちを大切に続けている」と真謝さん。豊川さんも「今後も楽しみながら続けたい。映画上映会も機会があれば、また開きたい」と話す。饒波さんは「芸能情報は楽しいから、異文化理解への入り口になると思う。外国を知ってもらうきっかけになればいい」と期待する。大好きなエンタメ情報を楽しみながら発信するアジアン天堂。沖縄とアジア各地との距離を近づけている。

岩崎みどり/写真・呉屋慎吾



アジアン天堂
アジアン天堂の(右から)饒波貴子さん、真謝尚美さん、岡田留美子さん、豊川世利子さん=那覇市
アジアン天堂
台湾茶専門店「流求茶館」に集まり情報交換する3人。同店でアルバイトする岡田留美子さん(左から2人目)が加わり、話が弾む=那覇市牧志
アジアン天堂
アジアン天堂が発刊した同人誌や、映画上映会のチラシをはじめ、ライターとなった饒波貴子さんの記事を掲載した雑誌など

 Asian(アジアン)天堂
 天堂は、「天国」の意味。毎月第2火曜日18時〜、FMレキオで番組「エンタメ☆ワールド」を放送。同人誌「アジアン天堂」1号、2号は完売したが、F4のヴァネス・ウーさんのほか、ピーター・ホーさんらを取材した第3号は在庫がある。
ホームページはhttp://asiantendo.net/
問い合わせはメールで info@asiantendo.net

 メンバーの一押し映画 「花様年華」(2000年、香港) 「ラヴソング」(1996年、香港) 「言えない秘密」(2007年、台湾)  ドラマ「イタズラな恋愛白書」(2011年、台湾)  華流ファンでなくても、ぜひチェックを。
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